抹茶の等級と価格の違いを解説|グレードの見分け方と失敗しない選び方
「高い抹茶と安い抹茶、何が違うの?」と感じたことはありませんか。実は、抹茶の価格差はブランドや流通の違いではありません。そのほとんどは、製造工程の差によって生まれています。そのため、グレードの違いを理解するだけで、選び方が大きく変わります。また、BtoBバイヤーにとっても、グレードの判断基準は仕入れ選定の重要な軸です。さらに、「産地=品質の保証」という誤解が選択ミスにつながるケースも少なくありません。そこで本記事では、価格差が生まれる理由・グレードの見分け方・用途別の選び方を体系的に解説します。
この記事では、以下のことがわかります:
- 抹茶の価格差が生まれる理由と製造工程の違い
- グレードごとの特徴と見分け方
- 用途別おすすめグレード(茶道・ラテ・日常用)
- 初心者向けの選び方と価格帯の目安
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価格差が生まれる3つの製造工程

なぜ同じ「抹茶」でも価格がここまで異なるのか。 それは、製造に要する手間とコストが段階的に異なるからです。 また、工程が変わるだけで味・香り・色のすべてに影響が出ます。 そのため、価格差を理解するには、まず製法の違いを把握することが先決です。
① 被覆方法の違い(棚がけ vs 直がけ)
抹茶の原料・碾茶(てんちゃ)は、新芽を日光から遮る「覆い下栽培」で作られます。 また、この工程で甘みや旨みの成分であるテアニンが多く残ります。 さらに、遮光方法には2種類あり、それぞれコストと品質が異なります。
- 棚がけ被覆:支柱と棚で覆う。遮光率95〜98%。品質が高いが設置コストも高い
- 直がけ被覆:茶葉に直接シートをかける。遮光率約85%。量産向き
そのため、棚がけを使った抹茶は、テアニンが豊富で旨みが強くなる傾向があります。 つまり、被覆方法の差がグレードAとDの味の違いを生む最大の要因のひとつです。
② 摘採方法の違い(手摘み vs 機械摘み)
摘採方法もまた、品質とコストに直結します。
- 手摘み:新芽だけを丁寧に摘む。1時間に約1〜3kg。コストが高く品質は非常に高い
- 機械摘み:バリカン状の機械で収穫。古葉や茎が混ざる場合があるが、大量生産が可能
また、自然仕立ての茶園では、手摘みによりさらに上質な茶葉を育てられます。 一方、機械摘みは量産に適しており、加工用や業務用途に向いています。 そのため、手摘みは品質重視、機械摘みはコスト重視の選択です。 つまり、どちらが「正しい」かではなく、用途に合わせた使い分けが合理的です。
③ 粉砕方法の違い(石臼挽き vs 粉砕機)
- 石臼挽き:昔ながらの製法。1時間に約30〜50gしか作れない。熱による劣化が少なくなめらかな口当たり
- 粉砕機(ミル):大量生産が可能。ただし摩擦熱が発生しやすく、風味が落ちるケースもある
そのため、石臼挽きは希少性と品質の高さから、価格に直結します。 また、同じ手摘み一番茶でも、粉砕方法が違えば口当たりと香りが変わります。 つまり、粉砕方法は「見えにくいが価格を左右する最後の工程」として重要です。
抹茶のグレードを見分ける基準
抹茶には公的な等級制度はありませんが、茶葉の栽培・加工工程により、一般的なグレード分類がされています。
| グレード | 被覆 | 摘採 | 茶期 | 粉砕 | 特徴 |
| A | 棚がけ(本ず) | 手摘み | 一番茶 | 石臼 | 極上の品質。主に濃茶で使用される希少品 |
| B | 棚がけ(寒冷紗) | 手摘み | 一番茶 | 石臼 | 高品質な薄茶にも適したグレード |
| C | 直がけ | 機械摘み | 一番茶 | 石臼 | 飲用としての品質を保つ中級グレード |
| D | 直がけ | 機械摘み | 一番茶 | 粉砕機 | スイーツ・ラテ向け。苦味が引き立つ |
| E | 直がけ | 機械摘み | 二番茶以降 | 粉砕機 | 食品加工用。用途により有効 |
※「一番茶」とはその年の最初に摘まれた新芽で、もっとも品質が良いとされます。
目的別に選ぶ抹茶のグレード

茶道で使うなら
- 濃茶:Aグレードなどの本ず栽培・手摘み・石臼挽きで作られた抹茶が最適。
- 薄茶:B〜Cグレードでも十分楽しめます。香りや旨味のバランスが重要です。
抹茶ラテ・スイーツなら
- 苦味・渋味が欲しい場合:Dグレードが適しています。ラテや製菓にすると抹茶の風味が引き立ちます。
- 上級抹茶の使用は非推奨:まろやかで繊細な風味がミルクや砂糖にかき消されやすく、コスト面でも非効率です。
初心者におすすめの価格帯
- 30gで1,000〜1,500円前後が目安です。
- この価格帯は石臼挽き一番茶が中心で、飲用にも加工にも使いやすいバランス型です。
- 飲み比べることで、自分好みの味わいを見つけやすくなります。
品種・産地・製造背景によるさらなる違い

品種による風味の違い
抹茶に使われる茶葉の品種によって、風味や香りに個性が出ます。特に「オグラミドリ」「アサヒ」「サミドリ」などの優良品種は、旨味・香り・色合いに優れています。現在は多くの抹茶が複数の品種をブレンドして仕上げられており、バランスの取れた味が実現されています。
産地による特徴と誤解
京都・宇治や愛知・西尾などが有名産地とされていますが、産地=品質の保証とは限りません。特に宇治抹茶は名の知れたブランドではありますが、グレードや加工方法の違いによって品質は大きく異なります。京都府産というだけで高品質とは言い切れないため、あくまで中身=茶葉の条件で判断するのが適切です。
メーカーごとのブレンド技術の違い
抹茶の品質は「原料そのもの」だけでなく、「製造技術やブレンドセンス」にも左右されます。同じ価格帯でも、使用されている原料や製造工程によって味や香りに大きな差が出ることがあります。メーカーによって営業コストや広告費を抑え、より良い原料に予算を回しているケースもあるため、信頼できる茶舗を選ぶことも大切な判断基準です。
飲用抹茶と加工用抹茶の線引き
「飲用抹茶」と「加工用抹茶」の区分に明確な公的基準はなく、各メーカーが独自の基準で分類しています。苦味や渋味の強さから飲用に向かないと判断されたものが加工用とされる傾向がありますが、製品によっては加工用として販売されている抹茶が他社では飲用として提供されることもあります。
さらに、食品用途向けに性能を調整した「着色加工抹茶」や「撹拌性を高めたペースト状抹茶」「油脂添加で退色を防いだ抹茶」などもありますが、これらは純粋な抹茶とは異なり、添加物が含まれる場合があります。
味・色・香りに見る抹茶のグレードの違い
| 比較項目 | 高級抹茶 | 加工用・低価格抹茶 |
| 味 | 甘味・旨味が強い。苦味が少ない | 渋味・苦味が強い。旨味は控えめ |
| 色 | 鮮やかな濃緑色 | 黄緑〜ややくすんだ色味 |
| 香り | 覆い香(特有の甘い香り)が豊か | 香りが弱い、覆い香が感じにくい |
※抹茶は光・湿気・酸化に弱いため、開封後は冷暗所で密封保存し、冷蔵保存する場合は結露を防ぐために常温に戻してから開封しましょう。目安として、未開封で6か月、開封後は1〜2か月以内の消費が推奨されます。
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まとめ
結論として、抹茶の価格や等級の違いは、栽培方法・収穫方法・加工技術などの手間と品質の積み重ねにより決まります。
濃茶や薄茶、スイーツ、ラテなど、それぞれの用途に適したグレードを選ぶことが、美味しさを最大限に引き出すポイントです。
初心者の方はまず中価格帯の抹茶からスタートし、飲み比べや用途によって、自分に合った抹茶を見つける楽しみを味わってみてください。



