【2025年最新版】世界的な抹茶ブームの実態と広がる可能性|健康志向とSNSが後押し

世界中で「MATCHA」が熱視線を浴びる理由とは?

いま、抹茶が世界的なブームとなり、アメリカ・ヨーロッパをはじめ中東や東南アジアまでその人気は広がりを見せています。
SNSを通じた拡散や健康志向の高まりを背景に、抹茶は日本発のトレンドから世界的なライフスタイルへと進化しつつあります。

本記事では、最新データや現場の声をもとに、世界的抹茶ブームの実態と今後の展望を徹底解説します。

健康志向が後押し|抹茶が「スーパーフード」として注目される理由

抹茶の健康効果に科学的エビデンス

抹茶は、抗酸化作用に優れたカテキンリラックス成分のテアニン、ビタミン・ミネラルなどを豊富に含むことから、
世界中で“スーパーフード”として注目されています。

主な健康効果:

  • カテキンによる抗酸化作用・免疫力向上・美肌効果
  • テアニンによる集中力アップ・リラックス促進
  • EGCGによる脂肪燃焼・代謝向上
  • ビタミン類(A・C・E)や食物繊維の摂取も可能

2020年に発表されたMolecules誌のレビュー(Molecules, 2020)では、抹茶に含まれるポリフェノールの抗酸化力が、一般的な緑茶や紅茶よりも高いことが確認されています。

カテキンによる抗酸化作用・免疫力向上・美肌効果

出典:大井川茶園 (https://www.ooigawachaen.co.jp/blog/2021/04/12/825)

抹茶が“スーパーフード”として注目される最大の理由の一つが、「カテキン」による健康効果です。 緑茶に多く含まれるカテキンは、強力な抗酸化成分であり、免疫力の強化・アンチエイジング・美肌づくりといった現代人のニーズにマッチした機能性を備えています。

抗酸化作用|“活性酸素”から体を守る

カテキンはポリフェノールの一種で、私たちの体を老化や病気の原因となる「活性酸素」から守ってくれる成分です。

  • 紫外線やストレスによるダメージを軽減し、シミ・シワの予防に貢献
  • 加齢とともに減少する体内の抗酸化酵素の働きをサポート
  • 酸化による細胞のサビつきを抑え、若々しさをキープ

茶カテキンは“第7の栄養素”とも呼ばれ、抗酸化物質としての注目度が高まっています。

免疫力アップ|風邪やウイルスに負けない体へ

カテキンの中でも「エピガロカテキン」には、免疫機能を高める働きがあることが研究で明らかになっています。

  • マクロファージ(免疫細胞)を活性化し、ウイルスや細菌の侵入を防ぐ
  • 水出し緑茶など低温抽出でも効果が得られやすい
  • 長期的に摂取することで、自然免疫系のバランスを整える作用も

風邪やインフルエンザの季節には、カテキン豊富な抹茶が日常の守りとなります。

美肌効果|「酸化」と「糖化」のWケアで若々しい肌へ

茶カテキンは、肌の老化を引き起こす酸化糖化の両方を抑える働きがあり、**スマートエイジング(賢く老いに向き合う)**に欠かせない存在です。

  • シミ・シワ・たるみの原因である活性酸素を除去(抗酸化)
  • 肌のくすみ・黄ばみの原因となるAGEsの生成を抑制(抗糖化)
  • 真皮のコラーゲンやエラスチンの劣化を防ぎ、弾力ある肌をキープ

お茶10杯分=1日500mg以上のカテキン摂取が推奨されています(※J. Agric. Food Chem., 2001)。

テアニンによる集中力アップ・リラックス促進

現代人が抱えるストレスや集中力の低下。その対策として注目されているのが、抹茶に多く含まれる「テアニン」です。 テアニンは、お茶特有の旨味成分でありながら、心身のリラックスと集中力の向上という一見相反する効果を両立させる、注目のアミノ酸です。

テアニンでリラックス|脳にα波を誘導する“癒し”の力

テアニンには、ストレスを軽減し、リラックス状態をもたらす作用があることが科学的に確認されています。

  • テアニン摂取から約30分後、脳内にリラックス時特有のα波が優位に(※脳波測定実験による)
  • 神経伝達物質「GABA」「グリシン」の活性化により、ストレスを緩和し気分を安定
  • 睡眠中の交感神経の活動を抑え、副交感神経を優位に(=眠りの質向上)

“穏やかな気分でいながら、思考が冴える” ─ テアニンは、まさに心のバランサーです。

テアニンで集中力向上|α波が脳のパフォーマンスを底上げ

テアニンのもうひとつの注目効果が集中力の向上です。
リラックスした状態こそが、「ゾーン」に入りやすくなる環境であることがわかっています。

  • 高不安傾向の学生18名に対する実験では、注意力試験の正答率が上昇・反応速度が短縮
  • アルファ波が多いほど思考の明晰さや創造性が高まる傾向も確認
  • 日中の眠気を引き起こさず、仕事・勉強時にも使える集中サポート素材

「エナドリで無理に覚醒」ではなく、“静かな集中”を促すのがテアニンの特徴です。

睡眠の質向上にも貢献|夜のストレスリセットに

テアニンは夜のリラックスサポートとしても優秀です。

  • 成人男性への実験で、起床時の疲労感が軽減、中途覚醒も減少
  • 更年期女性やADHDの子どもにも、中途覚醒の減少・睡眠の質改善が確認
  • グルタミン酸などの興奮性神経伝達物質の過剰を抑える作用も報告

睡眠薬のような副作用はなく、「自然な眠りの質」を高めるという点が、テアニンの魅力です。

なぜ抹茶が効果的?|“テアニンを残した茶葉”だから

テアニンは本来、茶葉の甘味成分として生成されますが、光合成によりカテキンへと変化してしまいます
そのため、日光を遮って育てられる抹茶用の茶葉(=玉露や碾茶)には、テアニンが豊富に残っているのです。

  • 抹茶はテアニンを含んだ葉をまるごと摂取できる
  • 通常のお茶では摂取しにくい量でも、抹茶なら効率よく取り込める
  • テアニン含有量が多い=旨味の強い高級茶の証でもある


摂取目安と注意点
  • テアニンの推奨摂取量は1日200mg程度
  • 煎茶約80mlに含まれる量は10mg前後なので、お茶だけでの摂取は20杯相当
  • カフェインの摂取や利尿作用に注意が必要な方はサプリメント併用も有効

血圧降下作用があるため、降圧薬との併用には注意してください(医師相談推奨)。

EGCGが脂肪を燃やす!緑茶のダイエット&代謝促進パワーとは?

抹茶や緑茶に含まれる成分「EGCG(エピガロカテキンガレート)」は、脂肪燃焼と代謝向上に効果的な“自然由来のダイエットサポート成分”として注目されています。
近年の研究では、EGCGとカフェインの相乗効果によって、運動効果が倍増し、体脂肪の減少・エネルギー効率の向上が報告されています。

緑茶×運動で脂肪燃焼が加速する

英国・アングリアラスキン大学の研究によれば、EGCGを摂取したグループは、そうでないグループに比べて脂肪燃焼率が25%アップ・体脂肪1.63%減少という結果が得られました。

  • 運動前に緑茶を摂取することで、脂肪をエネルギーとして利用しやすくなる
  • EGCGがミトコンドリアでの脂肪酸代謝を促進
  • カフェインとの相乗効果でより長時間・高強度の運動が可能に

つまり、「緑茶+運動」=効率的な脂肪燃焼のゴールデンコンビなのです。

食事と併用で「脂肪の吸収抑制」にも貢献

EGCGは「燃やす」だけでなく、「溜めない」働きも持っています。

  • 消化酵素リパーゼの働きを阻害し、脂肪の吸収を抑える
  • 糖質の吸収を緩やかにし、血糖値上昇の抑制に貢献
  • 食欲を抑える効果もあり、過食防止にもつながる

高温(80℃以上)で淹れた緑茶にEGCGは豊富に抽出されるため、食事中・食後に取り入れるのがおすすめです。

持久力・運動パフォーマンスの向上もサポート

EGCGとカフェインの働きは、脂肪燃焼だけにとどまりません。
運動パフォーマンスや持久力アップにも寄与することが明らかになっています。

  • グリコーゲン(糖エネルギー)消費を抑え、脂肪を優先的に使う体質へ
  • 抗酸化作用により筋肉の疲労軽減・回復促進
  • 運動中の集中力維持や、心肺機能のサポート効果も期待

運動前に緑茶を一杯。これがジム習慣やランニングの新定番になる日も近いかもしれません。

EGCGの効果を引き出すベストな摂取方法とは?
シーン方法効果
運動前緑茶1〜2杯(約30分前)脂肪燃焼効率UP、持久力向上
食事中〜後緑茶を1杯ずつ脂肪吸収の抑制、食後血糖のコントロール
日常習慣1日3〜5杯総合的な代謝改善・体脂肪減少

なお、EGCGの推奨摂取量は1日300〜500mg前後。急須で淹れた緑茶1杯に約120mg含まれているため、1日4杯を目安にするとよいでしょう。

がん予防やアンチエイジングにも期待

EGCGは脂肪燃焼だけでなく、抗酸化力・抗ウイルス作用も強く、多くの研究で以下のような効果が報告されています。

  • がん細胞の酸化耐性を下げ、選択的に死滅を促す(ペンシルベニア州立大学の実験より)
  • 血中脂質の酸化抑制により、動脈硬化や生活習慣病の予防
  • 肌や細胞の老化予防=アンチエイジング効果

まさに“飲むだけで全身が若返る”ポテンシャルを秘めた天然成分です。

ビタミン類や食物繊維もたっぷり|抹茶で美容と腸内環境を同時にケア

抹茶はカテキンやテアニンだけでなく、野菜や果物にも匹敵するほどの「ビタミン類」や「食物繊維」を豊富に含んでいる飲み物です。
日常の食生活で不足しがちな栄養素を、手軽に補えるという点でも、抹茶は“飲むサプリ”のような存在として注目されています。

ビタミンA・C・Eが肌と体の健康をサポート

抹茶には、次のような抗酸化作用をもつ3大ビタミンが含まれています。

  • ビタミンA(βカロテン):皮膚や粘膜の健康維持に必要。不足すると肌荒れや免疫力低下の原因に。
  • ビタミンC:コラーゲン生成を助け、美肌や免疫機能の強化に役立つ。ストレス対抗ホルモンの生成にも不可欠。
  • ビタミンE:細胞の酸化を防ぎ、**老化予防(アンチエイジング)**に貢献。

抹茶はこれらを丸ごと摂取できる数少ない飲み物
特に、熱に弱いビタミンCも、抹茶では比較的安定して摂取できます。

食物繊維が豊富な理由|茶葉を“まるごと飲む”からこそ

通常の煎茶やほうじ茶はお湯に抽出した成分しか摂取できませんが、抹茶は違います。

  • 茶葉を粉末にして飲むため、食物繊維や脂溶性ビタミンなど“お湯に溶けない栄養素”も丸ごと摂れる
  • 食物繊維は、水溶性・不溶性の両方が含まれ、腸内環境を整えるのに効果的
  • 日本人の1日平均食物繊維摂取量は目標値に届いておらず、抹茶はその補完に最適

1杯(約2g)の抹茶には、レタス約1/4個分の食物繊維が含まれるという試算もあります。

健康と美容、どちらも叶える“緑の万能茶”

抹茶に含まれるビタミンや食物繊維には、以下のような幅広い健康効果があります。

成分期待できる効果
ビタミンA視力維持、粘膜強化、肌の新陳代謝向上
ビタミンC抗酸化、美白、ストレス耐性向上、免疫力強化
ビタミンE血行促進、老化防止、ホルモンバランスの安定
食物繊維腸内環境改善、便秘予防、血糖値上昇の抑制

美容にも健康にも気を使いたい現代人にとって、抹茶は一石二鳥のスーパーフードです。

毎日の習慣に、手軽な“インナービューティー習慣”を

  • 朝の1杯に抹茶ラテやスムージーを取り入れる
  • 昼食後や間食時に抹茶スイーツやドリンクで補う
  • 忙しい日々の中でも、湯さえあればすぐ飲める“インスタント美容”

ビタミンサプリや整腸剤に頼る前に、まずは自然な栄養補給手段としての抹茶を選んでみてはいかがでしょうか?

SNSとセレブが火付け役|抹茶ブームはこうして広がった

出典:Forbes JAPAN (https://forbesjapan.com/articles/detail/70543)

抹茶ブームの世界的な拡大には、SNSとセレブリティの影響力が大きく貢献しています。 特にInstagramやTikTokを中心に、「#matcha」や「#matchalatte」のハッシュタグ付き投稿が急増し、その美しいビジュアルと健康的なライフスタイルの象徴として、多くの若者の心をつかみました。

“映える抹茶”がZ世代・ミレニアル世代に刺さる

出典:Pretty Online (https://www.pretty-online.jp/news/4458/)

抹茶の最大の魅力のひとつは、その鮮やかな緑色と滑らかな質感。TikTokやInstagramでは、透明なグラスに注がれた抹茶ラテのグラデーションや、抹茶スイーツの動画が何百万回も再生されるなど、「ビジュアル映え」する飲み物・食べ物として人気が爆発しています。

  • グラデーションの美しい抹茶ラテ
  • 抹茶パンケーキや抹茶クッキー
  • キュートな型の抹茶氷ラテ(例:クマ型など)

たとえば、2024年にはTikTokで「#matcharecipe」の再生回数が5億回を超え、ユーザー投稿が大手メディアでも取り上げられるほどの話題となりました。

海外セレブやインフルエンサーが“抹茶愛”を発信

出典:FRONTROW (https://front-row.jp/_ct/17067934)

抹茶ブームを後押ししているのは、インフルエンサーやセレブたちの影響力です。

  • エマ・チェンバレン(Emma Chamberlain)は、自身のブランドで抹茶ラインを展開。SNSでは抹茶ラテの点て方動画を多数投稿。
  • モデルのSanne Vloetは、ヘルシーな抹茶レシピ動画を発信し、自身のウェルネスブランドで抹茶製品を販売。
  • K-POPアイドルのミンギュ(SEVENTEEN)や、ミランダ・カー、ビリー・アイリッシュなども、抹茶を取り入れた生活をSNSで発信。

このように、セレブが紹介した商品やライフスタイルが一般層に波及し、抹茶は「ヘルシーで洗練されたライフスタイル」の象徴として認識されるようになりました。

抹茶は“日常のエナジードリンク”へと進化中

出典:Glimpse (https://glimpse.jp/articles/new-matchaenergydrink-20200801)

セレブの間で抹茶は単なる嗜好品ではなく、日々のパフォーマンスや美をサポートする“ウェルネスドリンク”として注目されています。

  • 抹茶+ミントやジンジャーの「抹茶エナジードリンク」
  • ゴールデンミルク(ターメリック+抹茶)のレシピ
  • ヨーグルトやスムージーへのアレンジ

特にニューヨークやロサンゼルスでは、抹茶を提供する専門カフェ「Matcha Bar」や「Cha Cha Matcha」が人気を博し、“健康的な朝のルーティン”としての抹茶文化が根づきつつあります。

カフェ文化や和食ブームとの相乗効果

出典:讀賣新聞オンライン (https://www.yomiuri.co.jp/national/20250414-OYT1T50146/)

抹茶の輸出増加には、世界的なカフェ文化の拡大和食ブームが密接に関係しています。実際、2025年4月の輸出実績を見ると、カフェ需要が高い国での粉末茶(=抹茶)輸出比率が極めて高いことが明らかです。

粉末茶比率90%以上の国々は“カフェ大国”

農林水産省資料によると、2025年4月の輸出実績で粉末茶の構成比が90%以上を超えたのは、以下のような“カフェ文化”が浸透した国々です:

国名輸出金額(万円)粉末茶比率
アメリカ20,50485.0%
イギリス3,35196.4%
ドイツ3,12792.4%
カナダ2,39196.6%
シンガポール1,30697.6%
UAE1,20592.4%
サウジアラビア1,16296.5%

これらの国では、抹茶ラテ・抹茶フラッペ・抹茶スイーツといった商品がコーヒー店やカフェチェーンの定番メニューとして定着しつつあります。

和食人気と組み合わせた“抹茶ペアリング”も増加

出典:るるぶ&more (https://rurubu.jp/andmore/article/19399)

さらに、和食ブームも抹茶需要の後押しに。寿司、天ぷら、うどんといった和食メニューとの相性の良さが再評価され、レストランでは食後の「抹茶デザート」や「抹茶ティー」提供が標準化

  • 北米では「SUSHI + MATCHA」のコース提供が人気
  • 欧州の高級和食店では「抹茶ティラミス」や「抹茶フォンダン」が定番
  • 中東・ASEANでは現地食材(ココナッツ、ナツメグなど)とのフュージョン抹茶がトレンド

店頭からSNSまで拡散される“抹茶体験”

抹茶はその鮮やかな緑色から「映える素材」としても世界のSNSで拡散。インフルエンサーやカフェ経営者たちが抹茶を取り入れる動きが加速し、結果として輸出量・認知ともに伸長。

  • TikTokでは「#matchalatte」が5億回以上再生
  • 海外の「MATCHA BAR」や「抹茶セレモニー体験」も観光客に人気


輸出額・市場規模は過去最高へ|数字が語る抹茶ブーム

出典:中日新聞 (https://www.chunichi.co.jp/article/1018896)

抹茶ブームはもはや一過性の現象ではなく、国際的な実需と統計データによって証明された持続的トレンドです。とりわけ、2025年4月の輸出実績は、過去と比較して飛躍的な成長を示しています。

2025年4月:緑茶輸出額は前年同月比185.7%増の約47億円

2025年4月、日本茶全体の輸出額は47億778万円(うち抹茶など粉末状は約67%)となり、前年同月比で約1.85倍に急増。

  • 総輸出量:3,920トン → 4,708トン(120%増)
  • 総輸出額:約25.3億円 → 約47.1億円(185.7%増)
  • 粉末茶(主に抹茶)の割合は金額ベースで83%

主力市場:

  • アメリカ合衆国:2,050百万円(前年比176.5%)
  • イギリス:335百万円(前年比568.1%)
  • ドイツ:312百万円(前年比262.8%)
  • タイ:312百万円(前年比390.1%)
  • UAE・フィリピン・ベトナム・サウジアラビアも前年比100%以上の伸び

抹茶は“グローバル・カテゴリー”に

アメリカでは全体の85%以上が抹茶を含む粉末茶であり、イギリスでも実に96%が粉末形状。これは、抹茶ラテやプロテイン、菓子などでの利用が浸透していることを示しています。

北米・欧州・ASEAN・中東の4大圏において、

  • 「MATCHA LATTE」は定番ドリンクに
  • コスメ・スキンケア向けの原料需要も増加
  • オーガニック認証取得の日本産抹茶が高評価

国内の生産体制も急ピッチで拡大

抹茶人気の高まりを受けて、国内では「てん茶(抹茶の原料)」の生産が急増中。

  • 鹿児島県:全国の抹茶生産量の約半数(2,000トン以上)
    • 志布志市では、てん茶工場が2016年1拠点 → 2024年5拠点へ
    • 有機農法を確立した西製茶工場では想定超の海外需要に対応中
  • 宇治・京都:高級抹茶の品薄により、数量制限や販売休止を実施する老舗も

農林水産省も、抹茶の重点輸出品目化を推進し、機械化・有機認証・輸出基準整備などの支援を強化しています。

課題:転売・価格高騰・模倣品リスク

国際市場の急拡大とともに、以下のリスクも顕在化しています。

  • 国内で購入した抹茶が海外で3〜5倍の価格で転売
  • 品質表示を偽った中国産“宇治抹茶”模倣品の流通
  • 高品質の手摘み抹茶は供給が追いつかず、希少化が進行

実際、2025年には京都の老舗「丸久小山園」や「一保堂茶舗」が販売制限や価格改定に踏み切りました。

中東・東南アジアでも加熱するMATCHAブーム

世界的な抹茶ブームは、欧米だけでなく中東や東南アジアにも確実に広がりを見せています。その背景には、健康志向の高まり、SNSによる視覚的訴求、そして日本文化への関心の高まりといった複数の要因が絡み合っています。

中東|イスラエルやドバイで“本格抹茶ラテ”が人気急上昇

中東地域では、抹茶が“ウェルネス志向”のシンボルとして急成長しています。
特にイスラエル・ドバイ・サウジアラビアでは、次のような現象が確認されています。

  • イスラエル・テルアビブでは、抹茶ラテを扱うカフェが続々誕生
     →「HOC」や「T-LAB」では茶筅で点てる本格的な抹茶ラテを提供し、ヴィーガン対応やメイプルシロップ入りなど多様なバリエーションが人気
  • ドバイでは、高級ショッピングモール内の抹茶ラテ専門カフェが若者の間で定番に
     →オーガニック志向や見た目の美しさを重視するZ世代・ミレニアル世代の支持を得て拡大中
  • 日本文化への関心も背景にあり、茶道のワークショップや和スイーツとのペアリング体験も人気

特筆すべきは、抹茶ラテにアーモンドミルクや豆乳を合わせた“ヘルシー・ラグジュアリー”な演出が受け入れられている点。これは、健康と美意識が高い層を中心に“抹茶=日常のエナジードリンク”として定着しつつあることを示しています。

東南アジア|暑い気候と相性抜群な抹茶フラッペが若年層にヒット

東南アジア地域でも抹茶の人気は右肩上がり。とりわけタイ・ベトナム・フィリピン・マレーシア・シンガポールなどでの広がりが顕著です。

  • マレーシアでは“茶筅で点てる本格抹茶ラテ”を提供するカフェが登場
     →ローカル客がSNSに動画投稿し、「本格的なのに親しみやすい味」として話題に
     →ストロベリー抹茶ラテや、抹茶×ココナツミルクのアレンジも定番化
  • フィリピンやベトナムでは、抹茶フラペチーノ・抹茶ティーが人気メニューに
     →現地の大手カフェチェーン(Bo’s Coffee, Highlands Coffeeなど)が抹茶商品を期間限定で導入 →定番化へ
  • タイでは、抹茶スイーツ・ドリンク市場が過熱
     →“Matcha + タピオカ”や“抹茶モンブラン”など、東洋×和のハイブリッド商品が若者に支持されている
  • SNSやYouTubeでも「抹茶レシピ」動画が急増中
     →ビジュアル映えするドリンク・スイーツが拡散され、インフルエンサー発信で認知度拡大

さらに、東南アジアでは日本からの抹茶輸入だけでなく、現地企業による抹茶製品開発も進行。オーガニックやビーガン仕様など、“東南アジアならではのヘルシー路線”との親和性も高く、今後の市場拡大が見込まれます。

アジア圏全体での抹茶市場成長と未来展望

  • 健康・美容志向の高まりによって、抹茶が「飲むスキンケア」としても注目
  • オーガニック・ナチュラル系食品への関心が高まる中で、抹茶の機能性が評価されている
  • 家庭向け抹茶製品(パウダー、スナック、ベーカリー材料など)の流通が拡大
  • 現地製造×日本技術のOEM展開も増加中

アジア各国では、今や抹茶は“伝統的な茶”にとどまらず、新しいウェルネス文化の象徴として若年層・女性層・健康志向層を中心に生活の一部へと浸透しています。

中東・東南アジアは抹茶第二の成長市場へ

中東・東南アジアにおける抹茶ブームは、単なる“流行”ではなく、地域の文化・気候・消費スタイルに合わせた形で深く根付き始めていることが明らかです。

抹茶は、日本文化の発信源であると同時に、グローバルウェルネス市場の中核を担う存在へと進化中。今後の抹茶市場を語る上で、中東・東南アジアは欧米に次ぐ第二の成長エリアとして、注視すべきエリアです。

需要拡大の裏にある課題|供給・転売・価格高騰

世界的な抹茶ブームの高まりは、日本にとって大きな商機である一方、現場ではさまざまな「ひずみ」も顕在化しています。需給バランスの崩壊、価格高騰、転売行為といった課題が、産地や消費者に大きな影響を及ぼしているのです。

生産現場の逼迫|老舗茶商も「今年は落札できず」

京都・宇治をはじめとする高級抹茶産地では、碾茶(てんちゃ)の入札価格が過去5年間で約4倍に高騰。
2025年春の入札では、創業170年の老舗・中村藤吉本店すら「高値安定のため入札を見送った」と報じられました(読売テレビ, 2025)。

抹茶人気の急拡大に対し、生産体制が追いついていないのが実情です。

  • 生産者の平均年齢は65歳以上
  • 手摘みの上級茶葉は元々生産量が少ない
  • 石臼での製粉には時間がかかり、生産スピードが上げられない

こうした状況から、宇治や西尾の高価格帯抹茶は品薄状態となり、店頭では販売制限が常態化しています。

✅ 参考:碾茶は品質維持のため石臼でゆっくり挽かれ、1時間で約40g程度。大量生産には不向き。

転売と“爆買い”の実態|国内茶道関係者にしわ寄せも

出典:FNNプライムオンライン (https://www.fnn.jp/articles/-/879568?display=full)

供給不足に追い打ちをかけているのが、海外転売目的の「爆買い」と高級抹茶の高値転売です。

  • 日本で数千円で購入した宇治抹茶が、海外で2〜5倍の価格で販売されている例も
  • 個数制限や販売休止が相次ぎ、茶道家や稽古用抹茶の確保が困難に

とくに茶道では濃茶に用いるため、高品質な手摘み一番茶が必要不可欠です。しかし、「本当に必要な人のもとに抹茶が届かない」という声が、現場から数多く上がっています。

💬 茶道の先生:「価格は倍に。稽古代に反映させるか、自己負担で赤字になるかという選択に直面している」

国内需要への影響|煎茶・玉露の希少化も進行中

需要の集中は抹茶だけでなく、日本の茶業構造そのものに波及しています。

  • 煎茶から抹茶用の碾茶栽培へ転換する農家が増加
  • 結果として、煎茶・玉露の生産量が減少し、価格は20〜30%上昇
  • 一部の老舗では煎茶商品の生産終了も検討中

この変化は、抹茶の一人勝ち状態によって、日本茶の多様性が損なわれるリスクを示唆しています。

🔍 日本茶AWARD関係者:「抹茶は起爆剤だが、煎茶や和紅茶も支える仕組みが必要」

生産コストの上昇と気候変動のダブルパンチ

抹茶の価格高騰には、肥料・燃料などのコスト増加気候変動の影響も無視できません。

  • 肥料価格は2020年比で1.6〜1.8倍
  • 高温障害や異常気象で茶葉品質が不安定に
  • 熟練技術者の高齢化と担い手不足が加速

こうした背景により、生産者の間でも「抹茶は儲かるどころかリスクが大きすぎる」と慎重な声が増えつつあります。

「本物の抹茶を知りたいあなたへ」

「抹茶タイムズ」では、抹茶の今をリアルに伝える記事を多数公開中。

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ぜひお気に入りの一杯を見つけてください。

まとめ:MATCHAブームは一過性か、それとも未来の文化か?

抹茶は今や、健康・美・文化・ビジュアルの全てを兼ね備えた“次世代のグローバル飲料”としての地位を確立しつつあります。

しかし、

  • 安定した生産体制
  • 適正価格での流通
  • 転売対策と品質維持

など、ブームを「文化」に昇華するための課題も明らかです。

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参考文献・出典一覧

  1. Fact.MR(2025年)『Matcha Tea Market Outlook 2025–2033』
    https://www.factmr.com/report/matcha-tea-market
  2. The Business Research Company(2025年1月)『Matcha Global Market Report 2025』
    https://www.thebusinessresearchcompany.com/report/matcha-global-market-report
  3. 農林水産省(2024年3月)『お茶の輸出動向 令和5年版』
    https://www.maff.go.jp/j/tokei/index.html
  4. The Guardian(2024年7月31日)”The new green giant: how matcha took over the world”
    https://www.theguardian.com/food/2024/jul/31/matcha-boom-paris-london
  5. 読売テレビ(2025年1月)『【異変】海外でブーム「抹茶」京都で何が?』
    https://www.ytv.co.jp/news
  6. Japan Forward(2025年2月3日)『“宇治抹茶”が品薄、輸出急増の背景』
    https://japan-forward.com
  7. Chalait Blog(2025年6月)『The Rise of Matcha in the Global Beverage Market』
    https://chalait.com/blogs/news/matcha-global-rise
  8. ARAB NEWS JAPAN(2025年6月1日)『緑茶の波が中東のコーヒー文化を覆すか?』
    https://www.arabnews.jp
  9. Thai Rath(2025年3月12日)『抹茶が世界中で品薄状態に』
    https://www.thairath.co.th/
  10. Molecules Journal(2020年)“Health Benefits and Chemical Composition of Matcha Green Tea: A Review”
    https://www.mdpi.com/1420-3049/25/9/2081
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