抹茶の種類を徹底解説|品種・産地・濃さの違いで味わいはどう変わる?

抹茶は一見どれも同じように見えますが、その風味や色合いは「濃さ・産地・品種」によって大きく異なります。

本記事では、抹茶の基本的な定義や製法の違いから始め、茶道で用いられる濃茶と薄茶の違い、さらに宇治・西尾・静岡といった代表的な産地の個性、やぶきた・さみどりなどの茶葉品種による味わいの差までを徹底解説。

抹茶をより深く知りたい方、選び方に迷っている方へ、「自分にぴったりの一杯」に出会うためのガイドとしてご活用ください。

\抹茶粉末をお探しの企業様へ/


弊社では、京都・宇治をはじめ、鹿児島・福岡・静岡など日本各地の産地から、
有機JAS認証付きのセレモニアルグレードから加工用まで、幅広いグレードの抹茶を取り揃えております。

「案件はあるのに、安定して抹茶を仕入れられない…」
「カフェの新メニューで抹茶を使いたい!」

そんなお悩みをお持ちの企業様は、ぜひ抹茶タイムズにご相談ください。
まずはお気軽にお問い合わせください。

抹茶とは何か?その定義と製法

抹茶の種類を理解するには、まず「抹茶」とは何かを正しく知ることが大切です。
見た目が似ていても、抹茶と粉茶・粉末茶はまったく異なる製法・成分・味わいを持ちます。

抹茶の原料は「碾茶(てんちゃ)」|覆い下栽培が鍵

抹茶は、摘採の2〜3週間前から茶畑を覆い、日光を遮って育てた茶葉を蒸し、揉まずに乾燥させた「碾茶」を石臼で丁寧に挽いて作られる粉末茶です。
この覆いによって生まれる「覆い香(おおいか)」と、うま味成分であるテアニンが多く残ることが、抹茶独特のまろやかさと深い香りにつながります。

抹茶の製法は非常に手間がかかります。
以下が主な工程です。

  • 茶畑に寒冷紗や菰(こも)などで覆いをする(遮光栽培)
  • 新芽を丁寧に手摘みまたは機械摘み
  • 蒸して酸化酵素の働きを止める
  • 揉まずに乾燥(煎茶とは異なり“揉み”工程なし)
  • 茎や葉脈などを取り除き、選別・ブレンド
  • 石臼で微細な粉末にする(1時間に40g程度)

この工程を経て得られた抹茶は、なめらかで香り高く、鮮やかな緑色が特徴です。

「抹茶」「粉茶」「粉末茶」は全くの別物

よく混同されがちですが、「抹茶」「粉茶」「粉末茶」は以下のように明確に違います。

種類原料製法特徴主な用途
抹茶覆い下栽培の碾茶石臼で挽く鮮やかな緑、うま味、香り高い茶道、和菓子、飲用
粉茶煎茶製造時の細かい粉揉み工程の副産物渋みが強め、お寿司屋の“上がり”急須で抽出
粉末茶煎茶を粉砕機械粉砕、インスタント化色は黄緑、苦味ありペットボトル・家庭用

ポイント
抹茶は「碾茶 × 石臼挽き」で初めて本物と呼べる
粉末緑茶は煎茶ベースで色・香り・味すべてが異なる
粉茶は急須で淹れるため、茶殻が出る

国際的にも明文化された「抹茶の定義」

2022年には、日本の農研機構が中心となってISO(国際標準化機構)による技術報告書「ISO TR 21380」が発行されました。ここでは、抹茶の国際的な定義として次の3条件が明示されています。

  1. 遮光栽培(被覆栽培)された新芽を使用すること
  2. 収穫後に揉まずに乾燥した「碾茶」を原料とすること
  3. 石臼で微細な粉末に加工すること

この定義は、抹茶が単なる粉状の緑茶ではなく、独自の歴史と製法を持つ特別なお茶であることを世界に示すものです。

抹茶の種類①:濃茶と薄茶の違いとは?

抹茶には「濃茶(こいちゃ)」と「薄茶(うすちゃ)」という2つの飲み方があり、それぞれに風味や点て方、茶道での役割まで大きな違いがあります。

まずは、その特徴と違いを詳しく見ていきましょう。

薄茶(うすちゃ)|すっきりとした軽やかさと親しみやすさ

薄茶は、日常的に楽しまれている抹茶のスタイルで、多くの人にとって馴染みのある一杯です。

  • 抹茶の使用量は1人前で約2g
  • 湯量は60ml程度(90℃前後)
  • 茶筅でシャカシャカと泡立てて点てる
  • 見た目は泡が立ち、色は明るめの緑

味わいは軽くて爽やか。渋みのあるお茶と和菓子の相性が抜群で、気軽なお茶会にも最適です。

また、茶碗も季節感のある絵柄付きのものなど自由に選ぶことができ、会話を楽しみながら飲まれることが多いのも薄茶の魅力です。

濃茶(こいちゃ)|とろりと濃厚、格式高い一服

濃茶は、格式ある茶事の中核を担う、特別な抹茶の飲み方です。

  • 抹茶の使用量は1人前で約4g
  • 湯量は40ml程度(80℃前後)
  • 点て方は「練る」と表現し、泡立てずになでるように混ぜる
  • 見た目は泡がなく、濃厚でツヤのあるとろみ

上質な抹茶だけが使用されるため、旨味と甘味が際立ち、贅沢な味わいに。
濃茶は茶杓に山盛り3杯を使い、一椀を2〜3人で回し飲みするなど、儀礼的な所作を伴います。

また、使用する茶碗も楽焼や萩焼など格の高い無地のものが選ばれます。
一楽・二萩・三唐津と言われるように、格式と精神性が重視されるのが濃茶の世界です。

作法・道具・用途の違いまとめ

項目薄茶(うすちゃ)濃茶(こいちゃ)
使用量約2g約4g
湯量約60ml(90℃前後)約40ml(80℃前後)
作法点てる(泡立てる)練る(なでるように混ぜる)
茶碗絵柄付きなど自由に選択無地で格の高い茶碗(楽焼など)
飲み方1人1碗ずつ1碗を数人で回し飲み
雰囲気会話を楽しむカジュアルな席厳粛な正式の茶会や茶事

濃茶と薄茶で使う抹茶の質にも違いがある?

抹茶そのものの製法は同じですが、濃茶には特に上質な抹茶が必要です。
苦味や渋みの強い下級茶葉を濃茶に使うと、飲みにくくなってしまうため、旨味と香りが豊かな上級品が選ばれます。

一方、薄茶では比較的グレードの低い抹茶も使用可能で、価格を抑えて日常使いできるのが魅力です。

💡 抹茶の銘柄名で見分けるヒント

  • 濃茶用:名前に「昔(むかし)」が付く(例:平安の昔)
  • 薄茶用:名前に「白(しろ)」が付く(例:山月の白)

初心者はまず「薄茶」から楽しもう

茶道のお稽古では、まず薄茶の点前(てまえ)から学びます。
薄茶の作法は種類が豊富で自由度も高く、抹茶を知る入り口として最適です。

一方、濃茶は「茶事の中心」とされる重要なもてなし。
茶席の空気も厳粛で、作法の一つひとつに意味があります。慣れてきたらぜひ挑戦してみてください。

濃茶と薄茶、どちらが「本当の抹茶」?

どちらも「抹茶」ですが、茶道の文脈では濃茶が本流とされています。
千利休の時代において、抹茶=濃茶を意味し、薄茶は「後の薄茶」として区別されていたほどです。

現在では、カフェなどでも濃茶を提供する店舗が増えており、より多くの人がその奥深さに触れる機会が生まれています。

抹茶の種類②:代表的な産地とその個性

宇治(京都)|覆下栽培の源流。上品な香りとまろやかな旨味

特徴: 上品な香り、奥行きのある旨味、後口のまろやかさ。茶道でも重宝される定番産地です。
背景: 鎌倉〜室町期から発展し、覆下栽培(被覆栽培)を確立。覆いによってテアニンが保たれ、渋みが抑えられます。和束町や城陽市などが主要産地として知られ、伝統的なよしず・藁による被覆を継承する地域も。
品質の裏づけ: 2020年の全国茶品評会「てん茶」部門では、1〜37位が京都府産(うち25点が宇治市)という結果もあり、品質の高さが示されています。
おすすめ用途: 茶席の薄茶・濃茶
、来客時の一服、香りを活かすストレート飲用に。

一言メモ
宇治=ブレンドの妙、という側面も強く、合組(ごうぐみ)による“味の設計力”が長所。安定した完成度の高い一杯になりやすいです。

西尾(愛知)|“西尾の抹茶”ブランド。深いコクと冴えた色

特徴: コクが深く、色が濃く冴えるのが持ち味。泡のきめも出やすく、視覚的な満足感が高い抹茶です。
背景: 地域ブランド「西尾の抹茶」で知られる全国有数の産地。矢作川流域の川霧や肥沃な土壌、整備された生産体制が品質を支えます。市内生産の約96%がてん茶という徹底ぶりで、国内てん茶の約2割を担う規模感があります。
おすすめ用途: 抹茶ラテやスイーツなどミルク・砂糖と合わせるレシピに好相性。色映えを重視したいメニューにも。

一言メモ
合組で“色・コク・香り”のバランスを出すのが得意。レシピ開発で再現性を取りたい事業者にも向いています。

静岡|やぶきたの厚み。バランス良好で用途が広い

特徴: やぶきた系を中心に、甘み・渋み・香りのバランスが良く、日常飲用から製菓まで幅広く使いやすい風味。
背景: 日本有数の茶処。煎茶・深蒸し茶のイメージが強いものの、てん茶(抹茶原料)も各地で生産。歴史的には徳川家康ゆかりの地として茶との関わりが深く、岡部町の朝比奈は玉露・てん茶の名産地としても知られています。
おすすめ用途: 料理・製菓・日常の一杯に。バランス重視で“どんなシーンにも合わせやすい”万能型。

一言メモ
品種ではおくみどりなど“色が鮮やか”なタイプもあり、製菓の緑の発色を狙う時に重宝します(渋みが出やすいので配合は少量から)。

産地別・用途の目安(クイックガイド)

  • 茶道・贈答・ストレート重視: 宇治(香り・旨味・余韻)
  • ラテ・スイーツ・色映え: 西尾(コク・冴えた緑・泡立ち)
  • 日常飲用・料理・汎用性: 静岡(バランス・扱いやすさ)

※他にも、八女(福岡)は甘みとコクに優れ、鹿児島は温暖な気候を活かした品種多様性で近年存在感が増しています。比較テイスティングで“自分の定番”を見つけるのがおすすめです。

抹茶の種類③:代表的な品種と味の違い

抹茶に使われる茶葉には品種ごとの個性があります。以下に、代表的な6つの品種と特徴をまとめました。

やぶきた

日本で最も生産されている品種。バランスの取れた味で、抹茶ラテや製菓にもおすすめ。

さみどり

宇治在来種。色が鮮やかで、香りも豊か。軽い口当たりで薄茶に最適です。

あさひ

旨味とコクが濃厚な高級品種。濃茶向きで、お茶会でも人気の銘柄。

ごこう

芳醇な香りと深い緑色が特徴。ミルクとの相性がよく、ラテにするとクリーミーな味わいに。

おくみどり

まろやかな甘みと上品な香り。お菓子やスイーツとの相性が抜群です。

うじひかり

濃厚な旨味と華やかな香りが楽しめる、京都・宇治産の高級品種です。

単一品種 vs ブレンド抹茶|どちらを選ぶべき?

単一品種の抹茶

1つの品種のみで作られる抹茶。個性がはっきりしており、味わいの違いを楽しみたい人におすすめです。

ブレンド抹茶(合組)

複数の品種をブレンドして安定した味を実現。市販されている抹茶の多くはこちらに該当します。

選び方のヒント
・味の違いを楽しみたいなら「単一品種」
・失敗したくないなら「ブレンド」が安心

抹茶をもっと楽しむための点て方・練り方

薄茶の点て方

1~2gの抹茶を80℃のお湯(60ml)で泡立てる。茶筅でシャカシャカと空気を含ませながら点てるのがコツ。

濃茶の練り方

5gの抹茶に40ml程度のぬるめのお湯を少しずつ加えながら、ゆっくり丁寧に練り上げる。濃厚で芳醇な味わいが楽しめます。

抹茶タイムズからのご案内|世界の抹茶トレンドをもっと深く

海外で広がる抹茶ビジネスの最前線を、もっと深く知りたい方へ。
「抹茶タイムズ」では、アメリカ・ヨーロッパ・アジアを中心に、世界で起きている抹茶ブームの“”を一次情報に基づいてお届けしています。

  • 各国市場のデータ分析(市場規模・成長率・消費動向)
  • 現地ブランドやカフェの成功事例
  • 生産者・茶師・バイヤーへの独自インタビュー
  • 抹茶をめぐる最新のサステナビリティ・輸出・規制情報

単なるニュースではなく、「数字の裏にあるストーリー」や「文化を動かす人の声」にまで踏み込んだ分析を展開。
日本の抹茶が世界でどう評価され、どのように進化しているのかを、現場の視点で掘り下げています

ビジネスパーソン・生産者・カフェオーナー・ブランド担当者など、
“本気で抹茶市場を理解したい方”に向けた専門メディアです。

世界の抹茶がどう動いているかを知ることは、
次のビジネスチャンスを掴む第一歩です。
あなたの抹茶ストーリーを、ここから一緒に広げていきましょう。

まとめ|抹茶の種類を知ればもっと美味しくなる

抹茶の種類は、濃さ・産地・品種・ランク・用途によって多様です。自分の好みやシーンに合わせて選ぶことで、より豊かな抹茶体験ができます。

LINE
記事の広告掲載はこちら