【2025年最新版】抹茶ブームは終わってしまうのか…?抹茶の現在地と今後の展望を徹底検証!

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拡大する抹茶市場、その勢いは本物か?失速の兆しは?

(出典:https://www.gnavi.co.jp/dressing/article/22140/)

2025 年現在、ロサンゼルス近郊では週に一軒のペースで抹茶専門カフェが開店し、テキサス州ヒューストン郊外でも 7 月 26 日に新たなバー形態の店舗〈Casa Matcha〉がオープンしたばかりだ。(引用元:Community Impact
市場データもそれを裏づける。英 The Business Research Company は、世界の抹茶市場が 2025 年に 41.7 億 USD、2034 年には 63.5 億 USD に達し、年平均成長率(CAGR)は 11.1 % と予測する。(ザ・ビジネスリサーチカンパニー
Google Trends で「matcha powder」をみると 2024 年 7 月の検索指数 45 が 2025 年 7 月に 91 へ倍増、ピークは 2025 年 4 月と 7 月に現れた。(Accio

抹茶の需要は今まさに膨張しており、その質的な深まりが問われるステージに入っている。本稿では 「流行は本物だが、数年以内に沈静化するリスクはあるのか」 を軸に、タピオカなど過去の一過性ブームと比較しながら、抹茶が向かう着地点を占う。

ブームの成り立ち──「SNS」発ではなく「機能価値」発

抹茶ブームの“決定打”になったのは映え写真ではなく科学的に裏づけられた機能価値だった。2010 年代半ば、ラテアート写真が Instagram を席巻したことで抹茶は「フォトジェニックな緑の飲み物」として世界的な注目を浴びたが、検索数が一段と跳ね上がったのは健康メリットが報じられ始めた 2016–18 年からだ。

まず抹茶ブームの原動力となったのは抗酸化力である。粉末状の抹茶は茶葉を丸ごと溶かして摂取するため、抽出液だけを飲む煎茶より 総ポリフェノール含有量が約 2 〜 3 倍多いとする比較研究が複数報告されている。例として Rusak ら(2021)は、in vitro 消化過程を通じても 抹茶の総フェノール量とフラボノイド量が煎茶を上回り、α‑グルコシダーゼ阻害活性(血糖上昇抑制指標)も優位だったと結論づけた。(ResearchGate

さらに、遮光栽培で生成が促進される ルテインやクロロフィル a/b も煎茶より高濃度で、最新の HPLC‑MS² 解析では「抹茶のクロロフィル比率は 62–81 %、他の緑茶は 30–55 %」と統計的差異が示された。PMC これら色素は美しいグリーンを演出すると同時に、脂質過酸化抑制やブルーライト網膜障害のリスク低減が期待される抗酸化成分である。

抹茶特有のアミノ酸 L‑テアニン も大きな差別化要因だ。L‑テアニンは脳波の α 波を増強しリラックスを促すと同時に、カフェインの覚醒作用を“穏やかに”転換することがヒト試験で示されている。(PubMed)抹茶1杯(約 2 g)に含まれるカフェインは 35 mg 前後、同量のコーヒーの 1/3 程度にとどまる一方、L‑テアニンは 20–40 mg 含有されるケースが多く、「集中力は欲しいが多量のカフェイン摂取は避けたい」というニーズを満たす「機能ブレンド」として評価された。

つまり、SNS で映えるビジュアルはあくまで「導火線」にすぎず、ヘルス&ウェルネスという巨大な火薬庫に点火したことで抹茶需要は持続的な上昇曲線を描くようになった――ここが高糖質デザート飲料として一過性に流行し、糖質過多やカロリー過多の逆風で急速にしぼんだタピオカブームとの決定的な違いである。

最新メタアナリシスでも「抹茶(1–2 g/日)を 12 週間摂取した被験者は、血清酸化ストレスマーカー(MDA)が平均 14 %減少し、脂質プロファイルが改善した」と報告されており、「映えから実益」へと評価軸が移ったことが現在の拡大フェーズを支えている。

タピオカとの決定的な違い

(出典:https://www.walkerplus.com/trend/matome/article/202012/)

タピオカ(バブルティー)
2018〜19 年 にかけて日本国内で専門店が一挙に 700 店規模へ増殖し(矢野経済研究所推計)、最長 90 分待ちの行列や SNS 投稿そのものが“体験価値”になった。ところが 2020 年のコロナ禍で外出制限が発動すると、行列・写真映えというレジャー動機が消滅し、市場はわずか1年で半減 したとティー&コーヒー・トレードジャーナルは報告している。(Tea & Coffee Trade Journalリッチング抹茶

抹茶
抹茶ブームが本格化したのは 2022 年以降――飲食店の客足が戻り、海外旅行が解禁され、SNS で “home matcha café” 動画が爆発的にシェアされたタイミングだ。外出自粛が “おうちカフェ” という新習慣を布石 として残し、2021 年には米国でオンライン茶販売が前年比 18.5 % 増と急伸した。(Verified Market Research)地域別では 北米市場が 2024 年 10.2 億 USD → 2035 年 23 億 USD に倍増 する予測が出ており(MRFR)、自宅飲み需要と DTC(直販)サプリが需要を牽引しているとされる。(マーケットリサーチフューチャー) このため、抹茶消費は “店頭体験” に依存せず オンライン小売・家庭内調理 の比率が拡大している点で、行列&写真映えに収束していたタピオカとは真逆の成長軌道と言える。

それでも潜む「ピークアウト」の3要因

① 原料ひっ迫と高コスト――「プレミアムの宿命」が供給の首を絞める

抹茶の原料である碾茶は、日本の荒茶生産量のわずか 約6 % に過ぎないうえ、遮光栽培・長期被覆・石臼挽きといった手間のかかる工程を経なければならない。そのため生産量は天候リスクに大きく左右される。2025 年は京都・宇治を襲った連続猛暑と春先の凍霜害が直撃し、一番茶の収量が前年比から2〜4割減少した。京都オークションでは十茶(碾茶)1 kg 当たり 8,235 円 と過去最高値を付け、前年から +170 % の急騰となった。(Reuters) さらに京都茶業協会の速報では、手摘み一番茶(最高級)の平均価格が前年比 +116 % を記録した。(Premium Health Japan
価格高騰のあおりで、北米や欧州のカフェチェーンはレシピ当たりの抹茶使用量を削減したり、メニューから一時的に外したりする動きが散見される。原価が安定しなければ、カフェはコストを吸収できず、抹茶濃度を薄めるか“グリーンティーフレーバー粉末”など安価な代替品へスイッチするリスクが高まる。長期的に需要を維持するには、鹿児島など温暖地で進む煎茶→碾茶への転作と、冷涼産地でのスマート被覆管理による増産が急務だ。

② プレミアム化の行き過ぎ――「高嶺の花」はライトユーザーを遠ざける

世界的な健康志向と和食ブームを背景に、有機 JAS 認証手摘みシングルオリジンといったハイエンド抹茶が脚光を浴び、市場全体の平均単価を押し上げている。ところが供給制約が重なる 2024〜25 年、品質上位グレードへの需要集中は「買い占め」現象を招き、一保堂丸久小山園など老舗が一部銘柄の販売停止・数量制限に踏み切った。TIME 誌は「想定外の注文増に生産が追いつかず、複数ブランドが購入制限を導入した」と報じている。(TIME
北米小売でもオンライン在庫に“LIMIT 2 BAGS PER CUSTOMER”の表示が付き、オーガニック品は真っ先に売り切れる状況だ。この結果、価格弾力性の高いライトユーザーが離脱し、代替粉末や抹茶味飲料(実際の抹茶含有量はごく少量)へ流れるケースが増加している。過度なプレミアム志向が裾野を狭めないよう、“ブレンド等級”や“加工用グレード”を確保し、手頃な価格帯を維持することが今後の市場拡大には欠かせない。

③ 味覚の飽和と代替飲料の登場――「ラテ一辺倒」では文化になれない

抹茶ラテがヒットしたことで「濃厚でクリーミーなグリーンティー」という味覚イメージが定着したが、同一フォーマットの乱発は消費者に飽きをもたらしやすい。実際、米国のウェルネスメディアは 2025 年夏のトレンドとして「アダプトゲン×抹茶」「マッシュルーム×抹茶」など機能性ミックス飲料を数多く取り上げ、純粋な抹茶ラテを「置き換えオプション」に格下げしつつある。(Athletech News) 英国ではディスカウントチェーン ALDI が £1.49 の粉末マッチャ・ラテを発売し、低価格・多用途レシピ動画が TikTok で拡散。抹茶そのものではなく「抹茶風味の商品」が大量に流通する兆しが強まっている。(The Sun
食文化として長期定着するには、抹茶を「非日常のご褒美」ではなく 「日常の一杯」 へ落とし込むバリエーションが不可欠だ。日本茶専門家が推奨する「薄茶 1 g+常温水 150 ml」の水出しや、糖質ゼロの「抹茶ソーダ」など 低濃度・低糖・低価格 の日常型レシピを広げ、コーヒー・紅茶のような「当たり前の選択肢」に昇華できるかが、ポストブームのカギを握るだろう。

これら3つのリスクは互いに連動しており、供給逼迫→プレミアム化→価格上昇→味覚飽和 という負のスパイラルを避けるためには、

  1. 産地多元化とスマート農業による安定供給
  2. 中価格帯商品のラインナップ拡充
  3. 薄茶・水出し・無糖 RTD など日常志向の提案

をバランスよく進める必要がある。そうしてこそ抹茶は“一過性の流行”を超え、紅茶やコーヒーと肩を並べる生活文化へと成長するだろう。

抹茶はコーヒーや紅茶のような文化に育つのか?

結論だけ先に言えば、「カルチャー化は十分射程内だが、クリアすべき三つの層がある」と言えるだろう。
文化として根づく飲料は、①日常消費、②街区インフラ、③生産地観光の三層が揃う。コーヒーがスターバックスとサードウェーブ系ロースター、そしてコロンビアやエチオピアへの産地ツアーを持つように、紅茶が英国のティールームとスリランカ高原観光を抱えるように――抹茶も同じ階段を上る必要がある。以下、各層の現在地と数値的根拠を整理しよう。

① 自宅・オフィスでの常飲――「粉末92 %」が示す日常シフト

  • 粉末形態が市場の 92.4 % を占める(2024 年 Market.us 報告)。家庭用パウダーが依然としてマジョリティであり、ティースプーン1杯で済む手軽さが常飲文化を後押しする。(Market.us
  • ストレーツリサーチは 2025‑2033 年 CAGR 7.12 % を予測し、「伸びを牽引するのは家庭用粉末と菓子カテゴリー」と明記している。(Straits Research
  • さらに、サブセグメント別では RTD抹茶が最速成長カテゴリー と確認されており、コンビニや冷蔵ケースで“第二のボトルコーヒー”になる兆しが見える。(Verified Market Reports

→ 日常消費の条件はすでに半分以上クリア。粉末優位+RTD 拡大は「家でも職場でも飲める」ことの証左である。

② 専門店の街区定着――サードウェーブ型“ローカルハブ”が急増

  • 2025 年だけでロサンゼルス周辺に少なくとも 5 店以上の新規抹茶専門店(例:Kettl Los Feliz、Matcha Ren Arts District、Casa Matcha Houston)が開業。各店は産地別シングルオリジンや店内石臼挽きを打ち出し、カフェ文化の次なる潮流を形成しつつある。(Eater LAMarket Data Forecast
  • Cha Cha Matcha など既存チェーンもビバリーヒルズに新旗艦店をオープンし、米国だけで 15 店舗超に拡大。(Cha Cha Matcha

→ ローカルハブの芽は十分。 専門店が郊外や二級都市に波及すれば、抹茶は「街に必ず一軒ある」ポジションへ近づく。

③ 産地ツーリズム――インバウンド3,690 万人と「テロワール体験

  • TIME 誌によると、2024 年の訪日外国人は 3,690 万人で過去最高。その一部が宇治・西尾・鹿児島など茶産地を訪れ、茶畑ツアーや石臼体験が人気アクティビティになっている。(TIME
  • 京都府宇治市は 2024 年に「Uji Tea Experience」プログラムを拡充し、手揉み実演+挽きたて抹茶体験 を年間 3 万人規模で受け入れると地元紙が報道。(Nippon

→ まだ芽吹き段階だが、ワイナリー見学に近い“テロワール体験”の基盤が成立しつつある

まとめ:三層の「進捗率」と条件付きの理由

現在の進捗追加で必要なもの
自宅・オフィス常飲粉末 92 %・RTD 最速成長で 手頃価格のミドルグレード維持、サステナ包装
専門店ハブ大都市でチェーン&独立店が急増 地方都市への波及、ローカルロースター的存在
産地ツーリズムインバウンド体験が拡大中 英語ガイド整備、アクセス交通網の拡充

したがって 「カルチャー化=可能性高いが条件付き」 とは、

  1. 価格最適化:原料高騰が長引けば家庭用パウダー層が薄まり、①が揺らぐ。
  2. 供給・品質安定:専門店が増えても抹茶濃度を薄めれば信頼を失い、②が停滞。
  3. インフラ投資:茶産地へのアクセスや多言語対応が整わなければ③が育たない。

Straits Research の CAGR 7.1 % 予測と粉末シェア 92.4 % という事実は、抹茶が「コーヒー・紅茶に次ぐ第三の常飲カテゴリー」へ移行しつつあるシグナルと読める。今後 5 ~ 8 年でこの三層をバランス良く押し上げられるかが、「流行」で終わるか「文化」で根づくかの分水嶺になるだろう。

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総括

2025 年現在、抹茶市場は 年 7 %超の成長率、粉末シェア 92 %、専門店急増という複合指標が示すとおり拡大フェーズの真っただ中にある。しかもその需要は単一のラテメニューに依存せず、機能性飲料・菓子・プロテインバー・スキンケア・サプリメントにまで広がり、「飲料+α」 の多面的カテゴリーへ深化している。タピオカのように SNS バズだけで一気に燃え上がった消費とは異なり、抹茶ブームのエンジンは カテキン・ルテイン・L-テアニン という科学的裏づけを伴う「健康価値」だ。この機能価値を基盤としたライフスタイル提案は、一過性ではなく継続的トレンドとして市場を支える土台になっている。

しかし、生活に根づく までにはまだ越えなければならないハードルがある。鍵を握るのは向こう3年間に――

  1. 原料安定:鹿児島の新工場稼働やスマート農業による増産が予定どおり進み、天候リスクを吸収できるか。
  2. 価格適正:プレミアム化が行き過ぎず、ミドルグレードを保ちながら RTD・家庭用パウダーを「手頃な日常品」として供給できるか。
  3. 消費シーン多様化:専門店の地方波及、ローカル・ツイストレシピ、茶産地ツーリズムの整備で「飲む・体験する・学ぶ」を同時に満たせるか。

この三条件がそろえば、抹茶は コーヒーと紅茶に次ぐ「第三極」として文化に昇華し、世界中のカフェ・職場・家庭に常備される存在となる。逆に、供給逼迫による価格高止まりや品質ばらつきが続けば「高級嗜好品」のまま裾野を広げきれず、ピークアウトのリスクを背負うことになる。

言い換えれば、抹茶の未来は「量を増やしながら質を守る」かどうかにかかっている。産地・メーカー・流通・カフェの全レイヤーが連携し、透明な品質基準と適正価格を保ったうえで、多様なレシピと体験価値を届けられるか――。その成否が、抹茶を「流行」で終わらせるか、「文化」として根づかせるかを決める分水嶺となるだろう。

LINE
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