その抹茶、本当に安全?海外輸入品に潜むリスクと正しい見分け方
抹茶は今や世界中で“スーパーフード”として人気を集めています。アメリカやヨーロッパだけでなく、中南米やアジア各国でも抹茶を使ったスイーツやドリンクが急増し、その需要は年々拡大。
輸出量は過去10年で約2.5倍に増え、日本の茶業界にとって大きな追い風となっています。
しかしその一方で、粗悪品や模倣品の横行、農薬基準の違いによる安全性の問題、鮮度劣化など、私たち消費者が見過ごせない課題も浮き彫りになっています。
中には「抹茶」と表示されているものの、実際は他の粉末茶や着色料を混ぜた商品も少なくありません。
この記事では、海外輸入抹茶の潜在的リスクと、本物を見極めるためのポイントを詳しく解説します。
日本国内外で安心して抹茶を楽しむための知識を、今日から身につけましょう。
\抹茶粉末をお探しの企業様へ/
弊社では、京都・宇治をはじめ、鹿児島・福岡・静岡など日本各地の産地から、
有機JAS認証付きのセレモニアルグレードから加工用まで、幅広いグレードの抹茶を取り揃えております。
「案件はあるのに、安定して抹茶を仕入れられない…」
「カフェの新メニューで抹茶を使いたい!」
そんなお悩みをお持ちの企業様は、ぜひ抹茶タイムズにご相談ください。
まずはお気軽にお問い合わせください。
世界的な抹茶ブームと日本国内への影響

ここ数年の抹茶人気は、かつてないほどの高まりを見せています。米国では「Matcha Latte」がカフェの定番メニューとなり、ヨーロッパでは高級スーパーの棚に抹茶パウダーが並びます。
財務省貿易統計によると、2023年の抹茶を含む緑茶の輸出量は7,579トン、輸出額は292億円と過去最高を更新。10年前と比べて輸出量は約2.5倍に、輸出額は約4倍に増加しています。輸出額の7割以上が抹茶など「粉末状の茶」です。
しかし、このブームは日本国内の流通にも大きな影響を与えています。
なぜ世界が抹茶に熱狂しているのか?
- 健康志向の高まり
抗酸化作用のあるカテキンやEGCG、集中力を高めるテアニンなど、栄養価の高さが評価されています。 - 多用途性
ラテ、スムージー、スイーツ、サプリメントなど、幅広い食品に利用可能。 - 和文化ブーム
茶道や日本の美意識と結びついたストーリーが海外消費者を惹きつけています。
こうした背景から、海外企業や飲食店がこぞって抹茶を導入し、需要が一気に拡大しました。
日本国内は“空っぽ”に?
京都・宇治や愛知・西尾などの有名産地では、訪日観光客の「爆買い」や輸出優先により、地元の茶店や百貨店でも品薄が続いています。
ある老舗店では、高品質な抹茶が売り切れ、入荷まで数か月待ちの状況も。小売店が購入個数を制限したり、予約販売のみ対応するケースが増えています。
海外輸入抹茶の3つのリスク

需要の急拡大に伴い、海外市場には多種多様な「抹茶」が流通しています。
しかし、そのすべてが本物で安全とは限りません。実際には、品質や安全性に重大な問題を抱えるケースも少なくないのが現状です。ここでは、特に注意すべき3つのリスクを詳しく解説します。
1. 粗悪品・模倣品の横行
抹茶ブームに便乗し、日本の有名ブランドを模倣した商品が中国や東南アジアで大量に出回っています。
例えば、京都・宇治の老舗「丸久小山園」が販売する高級抹茶「五十鈴」に酷似したパッケージで、「宇治五十鈴」という名称を使った中国産商品が販売される事例があります。外装は本物そっくりでも、中身は全く異なる品質のものです。
模倣品の問題点
- 抹茶本来の旨味や覆い香がなく、色もくすんで苦味だけが強い
- 原材料が抹茶ではなく粉末緑茶や着色料を混合したもの
- 消費者が誤って購入し、ブランド価値を損なう
特に深刻なのは、国や地域単位での誤解です。
実際、ベトナムでは「宇治茶=中国産」という認識が広がっているとの報告があります。これにより、日本産抹茶の信頼性が大きく揺らぎ、正規品の販売機会が失われています。
また、こうした模倣品は高額転売も横行しており、定価1,500円の商品がタイやシンガポールでは3倍近い価格で販売されているケースも確認されています。これは観光客の「お土産需要」を狙った悪質な商法の一環です。
2. 農薬基準の違いによる安全性リスク
もう一つの大きなリスクは、農薬基準の国際的な違いです。
EUでは、ネオニコチノイド系農薬(クロチアニジン、イミダクロプリド、チアメトキサムなど)の使用が生態系や人体への影響を理由に原則禁止されています。しかし、日本では逆に基準を緩和し、使用が認められています。
例として、ネオニコチノイド系の一種「クロチアニジン」の残留基準は、ほうれん草でEUの13倍という高い値が設定されています。
この農薬は神経系に作用し、ミツバチの大量死や群れの消滅の原因とされるほか、人間に対しても以下のような影響が指摘されています。
潜在的な健康リスク
- 神経系や発達への影響(特に胎児・子ども)
- 男性の生殖能力の低下(国際研究チームによる報告)
- 発達障害(自閉症、ADHDなど)のリスク増加の可能性
海外輸入抹茶の中には、こうした農薬基準が緩い国で栽培された茶葉が使われている場合があります。
検査体制が不十分な生産国では、残留農薬が国際基準を大きく上回るケースもあり、長期的な健康リスクが懸念されます。
また、安全基準を満たさない抹茶は、国によっては輸入禁止や規制強化の対象になることもあり、流通経路そのものが不透明になるリスクも伴います。
3. 品質劣化や異物混入
抹茶は非常にデリケートな食品で、光・酸素・湿度の影響を受けやすく、輸送・保管条件によってはすぐに劣化します。
特に海外製や長距離輸送された輸入品は、以下のような問題が発生しやすくなります。
品質低下の例
- 鮮やかな緑色が失われ、茶褐色や黄緑色に変色
- 覆い香が消え、青臭い匂いや粉っぽい口当たりになる
- 湿気による固まりやダマが発生
さらに、製造・加工過程の衛生管理が不十分な場合、異物混入やカビの発生、輸送中のパッケージ破損による汚染も起こり得ます。
これは特に温湿度管理が甘い工場や倉庫、常温で長期間放置される小売店舗で顕著です。
鮮度劣化が起こる要因
- 長距離輸送(数週間〜数か月)
- 高温多湿の港湾や倉庫での保管
- 真空・窒素充填がされていないパッケージ
こうした状態の抹茶は、たとえ外観がきれいでも味・香り・栄養価が大幅に低下している可能性が高く、健康面・品質面の両方でリスクを抱えています。
本物の抹茶を見分けるポイント

粗悪な輸入抹茶や模倣品を避け、安心して抹茶を楽しむためには、購入前の確認が欠かせません。
特にオンライン購入や海外旅行先での購入では、見た目や価格だけで判断しないことが重要です。以下の3つの観点を押さえることで、本物かどうかを見極められる可能性が高まります。
1. 原産地・加工地の確認
まずはラベルや商品説明の「原産地表示」を必ずチェックしましょう。
「宇治抹茶(京都府産)」のように具体的な地名と都道府県が明記されているものは信頼性が高い傾向にあります。
- 原料・製造・加工のすべてが日本国内で行われているかを確認
→ 「原料原産地:日本」「加工地:京都府」など、工程ごとの記載があると安心 - 「Made in Japan」の表記だけでは不十分な場合も
→ 原料は外国産、加工のみ日本国内というケースも存在します
注意点
海外製の模倣品は、「Uji」「Matcha Kyoto」などと表示してあっても実際には日本産でないことがあります。地名を使っただけの表記や、あいまいな「Premium Matcha」などの表現には要注意です。
2. 認証マークの有無
抹茶の安全性と品質を客観的に担保するのが、第三者機関による認証です。以下のマークがパッケージに表示されていれば、一定の基準を満たしている証拠になります。
- 有機JAS認証(日本)
化学肥料や農薬を使わず、有機栽培で育てられた農産物に付与されます。 - EUオーガニック認証(EU)
EUの厳格な有機基準を満たした農産物や加工品に付与されるマーク。 - 日本茶輸出促進協会の認定マーク
海外市場での日本茶ブランド保護を目的とし、品質基準をクリアした製品に付与されます。
補足
海外市場では、有機認証を取得していない抹茶は現地輸入が制限される場合があります。
逆に、有機認証を偽装した模倣品も存在するため、公式認証機関のWebサイトで登録番号を照会するのが確実です。
3. 外観・香り・舌触り
本物の高品質な抹茶は、見た目・香り・味わいのすべてで違いがわかります。購入時や開封後に以下のポイントをチェックしましょう。
色合い
- 新鮮な抹茶は鮮やかで深みのある緑色
- くすんだ黄緑や茶色がかっている場合は酸化・劣化の可能性
香り
- 高品質な抹茶は、海苔のような香ばしい「覆い香」とほんのり甘い香りが特徴
- 草や枯れ葉のような青臭さは低品質や劣化のサイン
舌触り
- 石臼で丁寧に挽かれた抹茶は粒子が非常に細かく、口当たりが滑らか
- 粉っぽさやザラつきを感じる場合は、粉末緑茶や粗悪加工の可能性あり
消費者ができる安全対策

海外輸入抹茶やネット購入品は、外見だけでは品質や安全性を判断できません。
しかし、購入時の行動や確認ポイントを押さえておけば、粗悪品や模倣品を避けられる確率は大きく上がります。以下は、日常的に取り入れたい具体的な対策です。
1. 正規代理店・公式オンラインショップから購入する
- 信頼できるブランドの公式サイト、または認定販売店から購入するのが基本
- 楽天やAmazonなどの大手ECでも、必ず「正規販売店」表示を確認
- フリマアプリや個人輸入サイトは偽物や転売品のリスクが高い
模倣品は外観が本物そっくりでも、中身の品質や衛生管理が保証されません。正規流通であれば、産地・加工地・保管条件も追跡可能です。
2. 口コミや第三者レビューで評価を確認する
- 購入前にGoogleレビューやSNSで実際の利用者の声をチェック
- 味や香りだけでなく、「パッケージ破損」「色がくすんでいた」などの品質コメントに注目
- 海外購入品の場合、現地での評判や専門家レビューも参考にする
レビューがすべて高評価で、内容が似通っている場合はサクラ(偽レビュー)の可能性もあります。
3. 不自然に安い価格の商品は避ける
- 高品質な抹茶は生産・加工に手間がかかるため、一定以上の価格になります
- 市場価格より極端に安い場合、粉末緑茶や着色料混合の可能性が高い
- 海外では正規品より高値で転売されるケースもあるため、「安さ=お得」とは限りません
高級抹茶は20gで1,000円〜3,000円程度が一般的(国内正規流通価格)
4. 長期保存せず、少量をこまめに購入する
- 抹茶は光・酸素・湿度に弱く、開封後は2〜4週間程度で使い切るのが理想
- 大容量パックよりも、小分け包装や少量サイズを選ぶ
- 使用後はしっかり密閉し、冷暗所または冷蔵庫で保管
輸入抹茶は製造から時間が経過している場合が多く、開封時点ですでに鮮度が低下していることもあります。
5. 旅行や越境ECでの購入時は慎重に確認する
- パッケージに原産地・加工地・製造者情報が明記されているか確認
- 賞味期限・ロット番号が印字されているか
- ラベルが多言語対応しているか(正規輸出品の証拠)
- 空港や免税店での購入時も、価格と中身を照合する
観光地のお土産店では、外装は日本ブランド風でも、中身は現地生産の粗悪品というケースがあります。
模倣品・粗悪品対策は業界全体の課題
現在、日本の茶業界は政府や業界団体と連携し、知的財産権の保護や輸出管理を強化しています。
京都府茶協同組合は、中国での「宇治」商標権を巡る訴訟や、不正商標登録の無効化に取り組んでいます。
また、国内の一部ブランドでは、転売防止のため購入数量制限や住所単位での注文制限を導入しています。
抹茶タイムズからのご案内|世界の抹茶トレンドをもっと深く

海外で広がる抹茶ビジネスの最前線を、もっと深く知りたい方へ。
「抹茶タイムズ」では、アメリカ・ヨーロッパ・アジアを中心に、世界で起きている抹茶ブームの“今”を一次情報に基づいてお届けしています。
- 各国市場のデータ分析(市場規模・成長率・消費動向)
- 現地ブランドやカフェの成功事例
- 生産者・茶師・バイヤーへの独自インタビュー
- 抹茶をめぐる最新のサステナビリティ・輸出・規制情報
単なるニュースではなく、「数字の裏にあるストーリー」や「文化を動かす人の声」にまで踏み込んだ分析を展開。
日本の抹茶が世界でどう評価され、どのように進化しているのかを、現場の視点で掘り下げています。
ビジネスパーソン・生産者・カフェオーナー・ブランド担当者など、
“本気で抹茶市場を理解したい方”に向けた専門メディアです。
世界の抹茶がどう動いているかを知ることは、
次のビジネスチャンスを掴む第一歩です。
あなたの抹茶ストーリーを、ここから一緒に広げていきましょう。
まとめ|安全な一杯が抹茶文化を守る
世界的な抹茶ブームは、日本茶文化を広める絶好のチャンスですが、その裏では粗悪品や模倣品、農薬基準の違いによる安全性リスクが存在します。
消費者一人ひとりが正しい知識を持って本物を選ぶことが、未来の抹茶ブランドを守る力になります。
今日からできることは、
- 正規販売ルートで購入する
- 原産地・加工地を確認する
- 鮮度や色・香りを見極める
- 不自然な安さに惑わされない
といった基本的な行動です。
抹茶は単なる嗜好品ではなく、日本の誇る食文化そのもの。あなたが選ぶ一杯が、その文化を次世代に繋ぎます。
こちらもおすすめ
- 高品質な粉末抹茶を安定供給
\抹茶粉末をお探しの企業様へ/ 弊社では、京都・宇治をはじめ、鹿児島・福岡・静岡など日本各地の産地から、有機J… 続きを読む: 高品質な粉末抹茶を安定供給 - エルサルバドルの抹茶事情|コーヒー大国で抹茶は受け入れられるのか?
\抹茶粉末をお探しの企業様へ/ 弊社では、京都・宇治をはじめ、鹿児島・福岡・静岡など日本各地の産地から、有機J… 続きを読む: エルサルバドルの抹茶事情|コーヒー大国で抹茶は受け入れられるのか? - イスラエルの抹茶事情|抹茶ラテがトレンドに?
世界的に抹茶人気が広がる中、中東・イスラエルでも「Matcha」という言葉を目にする機会が増えています。結論か… 続きを読む: イスラエルの抹茶事情|抹茶ラテがトレンドに?


