データで読み解く抹茶ビジネス2025|市場規模・消費者インサイト・今後の成長シナリオ
本記事は、国内外の抹茶市場規模や直近の成長率の全体像を整理し、Z世代からミレニアルまでの消費者インサイトを具体例とともに描き出します。さらに、2025年以降の成長ドライバーと潜在リスクを俯瞰し、新規参入企業に役立つ機会領域と実装のヒントを提示します。
この記事でわかること
- 国内外の市場規模と成長率の今
- Z世代〜ミレニアルまでの消費者インサイト
- 2025年以降の成長ドライバーとリスク
- 新規参入企業にとってのビジネスチャンス
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はじめに|「抹茶バブル」が拓く新市場

抹茶は「ヘルシー」「サステナブル」「マインドフル」という3つの価値と高い親和性を持ち、ウェルネスを軸としたグローバル消費の変化により需要が一段と高まっています。2024年時点の世界市場規模はおおむね32億〜39億USDのレンジで推計され、ミレニアル世代を中心に飲料やスイーツ、パーソナルケアへと用途が拡大した結果、2034年には約58億USD規模までの成長が見込まれます。(出典: market.us)
日本国内でも状況は好転しています。訪日客の再拡大による「体験需要」と、若年層によるSNS発信が相乗し、2018年に約200億円とされた国内市場は、2024年には300〜400億円規模へ到達。外食・物販の双方で抹茶のプレゼンスが高まる中、素材の高付加価値化(産地・等級・挽き方)も進み、プレミアム市場の形成が加速しています。(出典: xs326787.xsrv.jp/matchatimes-demosite/)
1. 市場規模と成長率

1‑1. グローバル市場
世界市場は2024年時点で32億USD規模、翌年には複数の民間推計で41.7億USD前後まで伸長すると見込まれています。牽引役は北米と欧州で、両地域だけで約5割弱を占める構造です。背景には、カフェチェーンやRTD(Ready‑to‑Drink)領域でのメニュー拡充、植物由来原料の採用拡大、そして「砂糖に依存しない甘味設計」への移行があります。中長期的にはCAGR(年次平均成長率) 6〜11%のレンジで堅調に拡大し、機能性やサステナビリティ訴求を備えた商品が主戦場となるでしょう。(出典: market.us, The Business Research Company)
ポイント:北米と欧州が「ヘルシー系プレミアム飲料」として牽引し、2025年時点で全体の約48%を占有。
1‑2. 国内市場
国内では2018年に200億円規模だった市場が、インバウンド再開や外食のV字回復、土産需要の復活を背景に2024年には約330億円(編集部試算)へ増加し、2025年は370億円前後(前年比+12%)までの拡大が視野に入ります。京都・静岡・愛知といった主要産地の原料価格は2024年比で平均+25%上昇しており、原材料のひっ迫と高付加価値化が同時進行しています。(出典: xs326787.xsrv.jp/matchatimes-demosite/)
ポイント:インバウンド再拡大と外食・土産需要のV字回復が主要因。京都・静岡・愛知産の原料価格は2024年比で平均+25%上昇。
1‑3. 用途別構成比(世界)
| 用途 | 構成比(2024) | 年次成長率(25‑34) |
|---|---|---|
| 飲料(RTD含む) | 46% | 7.2% |
| 食品・菓子 | 31% | 5.8% |
| パーソナルケア | 12% | 9.5% |
| その他(サプリ等) | 11% | 8.1% |
用途別に見ると、飲料(RTD含む)が約46%で最大、次いで食品・菓子が約31%、パーソナルケアが約12%、サプリ等が約11%というバランスです。2025〜2034年の成長率では、抗酸化価値を訴求しやすいパーソナルケアと、利便性に優れたRTD飲料が相対的に高い伸びを示す見通しです。
2. 消費者インサイト|“誰が・なぜ”抹茶を選ぶのか

2‑1. 年代別ニーズ
Z世代(18‑29歳)はSNSで発信しやすいビジュアルや、環境配慮型のパッケージ・サプライチェーンを重視します。氷水で点てるコールドブリュー抹茶や、乳・卵不使用のヴィーガンスイーツはまさに彼らの価値観に合致します。ミレニアル(30‑44歳)世代はワークアウトや在宅業務と相性の良い機能性ドリンクを好み、テアニン由来の「穏やかな集中」を期待して抹茶を日常使いする傾向が見られます。シニア(60歳以上)世代ではポリフェノールやテアニンの健康価値に関心が集まり、飲みやすい微糖タイプや、胃にもたれにくいミルク設計が支持を得ています。
2‑2. 行動トレンド
matchalatteは2025年2Q時点で累計87億再生に達し、短尺動画プラットフォームでの拡散力が飲用シーンの多様化を後押ししています。検索行動でも2019年比2.4倍の関心増加が観測され、海外市場では家庭用の抹茶セットや点て方ガイドへの需要が拡大しています。日本産抹茶の輸出額も2024年に364億円(前年比+25%)と高水準で推移しており、ブランドは「産地・製法・等級」のストーリーテリングを通じて価格プレミアムを維持・強化することが容易になりました。(出典: Reuters)
3. 成長ドライバー5選

- ウェルネス志向:低カロリー・抗酸化作用を訴求した機能性表示食品の拡大。
- カフェ文化の進化:サードウェーブコーヒーショップが抹茶メニューを導入。
- D2Cモデル:サブスク型抹茶セットやエシカルパッケージが若年層に支持。
- コスメ・スキンケア:抗酸化成分を活かした“抹茶セラム”が急伸(2024年比+38%)。
- フードテック:抹茶プロテインバー・RTDエナジードリンクなどの新カテゴリー。
成長を押し上げる要因は複合的です。まず、低カロリーで抗酸化価値を前面に出せるウェルネス志向が、機能性表示食品やプロテイン連携の文脈で採用を後押ししています。次に、サードウェーブ以降のカフェ文化の進化が、抹茶を「第二の看板メニュー」として定着させつつあります。D2Cモデルの普及により、サブスクやエシカル容器を絡めた体験設計が若年層の支持を獲得。加えて、コスメ・スキンケアでは抗酸化成分を活かした「抹茶セラム」が前年比+38%と高成長を示し、カテゴリー横断での相乗効果を生んでいます。最後に、フードテックの進展により、抹茶プロテインバーやRTDエナジードリンクといった新カテゴリーが次々と市場投入され、用途の地平を広げています。
4. ビジネスチャンスと競争マップ

4‑1. 参入しやすい3領域
| 領域 | 市場規模(2025) | 参入ハードル | 事例 |
| RTD抹茶飲料 | 560億円(国内) | ★★☆ | CBD×抹茶ドリンク |
| 高機能スイーツ | 240億円(国内) | ★★☆ | プロテイン抹茶アイス |
| B2B原料供給 | 120億円(国内) | ★★★ | ヘルスケアブランド向け高グレード抹茶 |
新規参入の現実解としては、まずコンビニ・自販機チャネルまで視野に入るRTD抹茶飲料が有望です。国内では560億円規模まで拡大する見込みで、味の安定性と沈殿対策、甘味設計の巧拙が勝敗を分けます。次に、タンパク質や食物繊維を掛け合わせた高機能スイーツは240億円規模。カロリー・糖質に配慮した「罪悪感の少ないご褒美」の設計が鍵です。さらに、ヘルスケア・コスメ向けに等級を揃えて供給するB2B原料は120億円規模で、トレーサビリティや残留農薬基準への適合が商談の決め手になります。CBD×抹茶の機能訴求や、プロテイン抹茶アイスのような事例が示す通り、コラボレーション戦略は短期での話題化と差別化に有効です。
4‑2. 競争マップ
競合環境は三層構造です。大手飲料メーカーはブランド力と広域流通網を武器に量的優位を築きます。一方で、D2Cブランドはストーリーテリングとコミュニティ運営で支持を固め、限定ロットや会員限定の体験価値でLTVを高められます。コスト面では「海外のプライベートブランド(PB)」が大量調達を背景に価格優位を取りやすく、国内勢は「国産・抹茶の正統性」という文脈をいかに磨くかが焦点となります。
5. リスクと課題

最大の不確実性は原料供給です。京都府内では2025年7月時点で収量‑25%という報告があり(出典: Reuters)、気温上昇に伴う品質低下が懸念されています。これに連動して原料価格の高騰も顕著で、京都宇治の競り値は前年同月比+170%(8,235円/kg)に達したとの指摘もあります(同)。加えて、地域の担い手不足などを背景に中小製茶業者の廃業増が続き、2025年1‑7月で11件と過去最多ペースであるとの業界発表も見られます。(出典: PR TIMES)国際的には、残留農薬基準の厳格化や有機認証コストの上昇が輸出競争力に影響し、トレーサビリティやカーボンフットプリント開示への対応が急務です。
6. 2030年までの成長シナリオ
| 年 | グローバル市場規模 (USD) | 主なイベント |
| 2025 | 41.7億 | 米国FDAが抹茶の”機能性表示”を正式承認予定 |
| 2027 | 48.6億 | 欧州で抹茶含有エナジードリンクが規制緩和 |
| 2030 | 55.9億 | アジア圏でサブスク抹茶セットがメジャー化 |
| 2034 | 58.0億 | 主要生産国がスマート農業導入率70%達成 |
今後5〜10年のマイルストーンを描くと、2025年は米国で抹茶に関する機能性表示の取り扱いが拡張される可能性が取り沙汰され、臨床データや表示ガイドラインの整備が一段と進むと見られます。2027年には欧州で抹茶含有エナジードリンクに関する規制の明確化・緩和が進むシナリオが想定され、カテゴリーの裾野が広がるでしょう。2030年にはアジア圏でサブスク型の家庭用抹茶セットが一般化し、定期配送とオンラインコミュニティが結び付いた新たなLTVモデルが主流化。長期的には2034年前後に主要生産国で「スマート農業の導入率70%」を超えるとの観測もあり、気候リスクの平準化と歩留まり改善が同時に進む見通しです。あわせて、サステナビリティ指標の開示義務化が広がり、原料の出所・加工・物流までを一気通貫で可視化するサプライチェーン構築が、海外展開の前提条件になります。
キートレンド:サステナビリティ指標(カーボンフットプリント)開示義務化により、透明性の高いサプライチェーン構築が必須。
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まとめ|「抹茶2.0」時代の主役になるために
抹茶ビジネスはウェルネス×カルチャー×テクノロジーの交差点で進化を続けています。需要は堅調ながら原料供給・価格高騰というボトルネックが顕在化しつつあり、サステナブルで効率的なサプライチェーン構築が勝者の条件です。本レポートが次の一手の指針となれば幸いです。


