価格競争の犠牲になる抹茶──利益が消える“流通のブラックボックス”
日本発の抹茶ブームは、かつてないスピードで世界市場を広げています。
しかしその裏側では、「価格競争」と「不透明な流通構造」が複雑に絡み合い、生産者から企業まで、多くのステークホルダーが利益を失っています。
いま問われているのは、
「抹茶とは何か?」ではなく「抹茶をどう扱うべきか?」。
この記事では、表に見えない抹茶のサプライチェーンを徹底的に可視化し、「なぜ価格競争が起き、誰が何を失っているのか」を専門的かつ具体的に解説します。
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有機JAS認証付きのセレモニアルグレードから加工用まで、幅広いグレードの抹茶を取り揃えております。
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なぜ抹茶は“価格だけ”で選ばれるのか?業務用市場が陥る構造

業務用市場では、抹茶の購買判断が「価格の数字」だけに寄りがちです。
しかし、これは担当者の能力の問題ではなく、構造的に「質が見えない」仕組みになっているためです。
仕入れ担当が価格比較しやすいのは“質が見えない”から
抹茶の品質は「味」「香り」「色」「粒度」「挽き方」「産地」「加工法」など多要素です。
しかし、購買画面に並ぶのは以下のような情報ばかり。
- 〇〇抹茶 1kg ×〇袋
- グレード:業務用
- 価格:¥○○○○
これでは品質の差が判断できず、担当者は「比較できる唯一のKPI=価格」に依存せざるを得ません。
グレード表記の統一がなく品質比較が困難
抹茶のグレードは業界全体で統一されていません。
これらはメーカーごとに意味が違うため、
“ラテ用A”と“ラテ用A”が同品質とは限らないのが現実です。
“緑色ならOK”という誤解が価格競争を加速させる
抹茶は「緑色=良品」という誤った認識が横行しています。
実際には、以下で大きく品質が変わります。
- 畑の遮光方法
- てん茶加工の温度管理
- 石臼の回転数
- 粒度(ミクロン差で溶け方が変わる)
- 収穫年・ロット差
しかし、それらはインボイスにも見積にも記載されません。
結果、
「同じに見えるなら安い方でいい」
という判断が市場全体で起き、価格競争の引き金になるのです。
価格競争が進むと何が失われるのか──現場で起きている3つの深刻な歪み

価格が下がるほど「どこか」で調整が起こります。
最も削られるのは、原料・手間・品質です。
ブレンド比率の不透明化(他産地・緑茶粉末の混入)
業務用抹茶は、「他産地ブレンド」で価格調整されることが多いです。
ブレンド自体は悪ではありませんが、問題は透明性がないこと。
企業側は「国産比率が想定より低かった」「香りが違う」などの不具合を抱えて初めて気づくのです。
品質劣化(粒度・香り・色保持の低下)
価格を下げるとメーカー側は、工程のどこかを“負担軽減”します。
結果として、企業が求める「安いけど美味しい抹茶」は成立しません。
下請け農家の収入低下と産地の疲弊
価格競争の最終的な犠牲者は、
茶葉を作る“畑の現場”です。
この構造のままでは、
「採算が合わず撤退する農家」
→「産地の縮小」
→「国産抹茶の供給減少」
という負のループが続きます。
“流通のブラックボックス”が生む中抜き構造とは?

抹茶の流通は、食品原料の中でも特に複雑です。
複数の問屋→商社→メーカー→OEMの多重構造
一般的な流れは以下の通り。
農家 → てん茶加工 → 問屋 → 商社 → 大手メーカー → OEM → 小売・カフェ
この間に
3〜7段階のマージンが発生します。
誰がどこで利益を取っているか見えない
“抹茶1kg 9,000円”と提示されても、

生葉の原価?

てん茶加工費?

粉砕費?

商社マージン?

OEMコスト?
どこでいくら抜かれているか不明。
つまり、
最終価格と品質が結びつきにくい構造が出来上がっています。
ロット分割やパッケージ変更で実質単価が上がる仕組み
- 300kgのロットを30kg×10に分割
- パウチ包装変更
- ラベル・賞味期限印字
これらの「加工費」「手数料」が積み重なり、
元の原価より実質単価が大きく上がるケースが多発します。
輸出向けはさらに複雑化し透明性が消える
輸出は追加工程が増えます。
- CoA
- 残留農薬検査
- ロット管理
- フードディフェンス
- 国際輸送の温度管理
業者が増えるほどブラックボックス化し、
企業側は「何にいくら払っているか」を把握しにくくなります。
なぜ生産者は値上げできないのか──現場が抱える“逆ザヤの現実”

世界的な抹茶需要の高騰にもかかわらず、
生産者の多くは収入が増えていません。
高騰する肥料・電気代に価格が追いつかない
特に2023〜2025年は肥料価格が急上昇。
てん茶加工の乾燥炉は電気を大量に使うため、
電気代の高騰は生産者の利益を直撃しました。
加工コスト(石臼挽き・低温粉砕)が理解されにくい
てん茶→抹茶の粉砕は高度な技術が必要で、
特に“石臼挽き”は桁違いにコストがかかります。
しかし企業側は、
「なんで粉にするだけでそんなに高いの?」
「ラテ用ならもっと安くできるでしょ?」
と、工程の価値を正しく評価できていないケースが多数。
ブランド産地でも“中間マージン”の影響は避けられない
宇治・八女・西尾などのブランド産地でも、
価格決定力は強くありません。
問屋・商社の影響が大きく、
ブランド産地=高く売れる
という単純な図式にはなりません。
海外安価品との比較で正当な価格が提示しづらい
海外産(中国・ベトナムなど)の“抹茶風粉末”と比較されると、
どうしても日本産は“高い”と見られます。
しかし、
- 遮光栽培の有無
- てん茶加工の精度
- 粉砕技術
- 農薬基準
- トレーサビリティ
これらはまったく別物です。
品質と利益が両立する“透明な流通”を作るには?

価格競争から抜け出すには、
企業側が「選び方」を変えるしかありません。
生産者・加工者・ロースターとの直接連携
中間の業者を減らすことで、
すべてがクリアになります。
ロット追跡可能な原料(トレーサビリティ)を選ぶ
例:
これが揃う原料は、品質が安定し、企業側のリスクも減ります。
グレード基準(粒度・色度・テアニン量)を可視化
数値化すれば比較が簡単です。
- 粒度:ミクロン
- 色度:L・a・b値
- 旨味:アミノ酸量
- 苦味:カテキン量
価格だけでは見えない“本当の価値”が見えてきます。
輸出用はCoA・検査表で品質を客観化
各国によって検査項目が違うため、
輸出向けは特に透明性が命。
企業が今すぐできる“失敗しない抹茶選び”の基準

ここからは実践編です。
価格ではなく「使用用途」から逆算する
例:
- ラテ用:溶けやすさ重視(微粒度)
- 製菓用:加熱耐性&色保持
- 冷菓用:退色しにくい品種
- スムージー:香りの強さ
用途→必要スペック→適正価格
この順で判断します。
色・香り・旨味のバランスを数値で比較する
- 色度
- 香気成分量
- アミノ酸量
- カテキン量
- 粒度
「客観的数値がある=品質が安定」
これが絶対条件になります。
サンプル検証の際は“温度・乳量・氷量”を統一
ラテ検証でよくある失敗:
検証条件の統一=正しい判断につながる。
年間の使用量から最適ロットを設計する
ロット設計は、価格に大きく影響します。
- 30kgか100kgか
- 1kg包装か10kg包装か
- 毎月発注か四半期まとめか
最適ロット=“もっとも安定した品質で最も損をしない量”
抹茶の価値を守るために──企業が持つべき“サプライチェーン思考”

企業は「安さ」ではなく「持続性」を見る時代へ。
安い抹茶はなぜ安いのか?を見抜く視点
- 産地?
- 粉砕方法?
- ブレンド?
- 緑茶粉末混入?
- 年度落ち?
「安さには理由がある」
これを理解するだけで失敗は減ります。
品質投資が最終的に“コスト削減”につながる理由
品質が安定すると…
- クレーム減
- 返品減
- 設計変更減
- メニューのブレ減
- 在庫廃棄減
結局、安さ優先より利益率が高くなるのです。
持続可能な原料の選定がブランド価値を高める
今後の消費者は、
- 安心
- 安全
- 透明性
- サステナビリティ
- 国産価値
これらを重視します。
あなたのブランドを“未来に残す”ためにも、
品質投資は避けて通れません。
高品質な“業務用粉末抹茶”を探している企業さまへ

もしあなたの会社が、
- 安定した味と色の抹茶原料を確保したい
- ロットによる味ブレや退色リスクを無くしたい
- OEM製品(菓子・飲料・アイス・ラテ)の品質を上げたい
- 輸出向けに使える安全基準(残留農薬・CoA・トレーサビリティ)を満たした抹茶が必要
- 価格と品質のバランスが取れた業務用抹茶を探している
- 年間の原料設計や適正ロットも相談したい
と考えているなら、
ぜひ弊社にご相談ください。
まとめ|価格競争から離れることで、抹茶は本来の価値を取り戻せる
抹茶の価格競争は、企業にも生産者にも利益をもたらしません。
むしろ、
- 品質劣化
- 生産現場の疲弊
- 供給の不安定化
- ブランド価値の低下
こうした長期的リスクを生みます。
正しい選び方をする企業だけが、安定供給と品質を同時に手に入れる。
いま重要なのは、
安さではなく
透明性・信頼性・持続性です。


