抹茶はどうやってできるの?|一杯の抹茶ができるまでを図解で紹介
\抹茶粉末をお探しの企業様へ/
弊社では、京都・宇治をはじめ、鹿児島・福岡・静岡など日本各地の産地から、
有機JAS認証付きのセレモニアルグレードから加工用まで、幅広いグレードの抹茶を取り揃えております。
「案件はあるのに、安定して抹茶を仕入れられない…」
「カフェの新メニューで抹茶を使いたい!」
そんなお悩みをお持ちの企業様は、ぜひ抹茶タイムズにご相談ください。
まずはお気軽にお問い合わせください。
はじめに|抹茶の一杯に詰まった職人技
抹茶は、日本の伝統文化を象徴する存在として、国内外で注目を集めています。しかし、その美しい緑色の一杯が、どのような工程を経て作られているのかをご存じでしょうか?
本記事では、抹茶ができるまでの過程を、わかりやすく図解しながらご紹介します。栽培から収穫、蒸し、乾燥、そして石臼での粉砕に至るまで、熟練の職人と自然の恵みが作り出す抹茶の世界を覗いてみましょう。
栽培|抹茶の原料「碾茶」は“覆い”で育てる
抹茶の原料となるのは、「碾茶(てんちゃ)」という特殊な茶葉です。この碾茶は、日光を遮る“覆下栽培”という方法で育てられます。
覆下栽培とは、抹茶の原料となる碾茶を育てる際に、新芽が育つ直前(摘採の約20日前)から、黒い寒冷紗や藁などで茶畑全体を覆う方法です。これにより太陽の直射光を遮り、茶葉が日陰でゆっくりと育ちます。
この“遮光”によって、光合成が制限され、渋みの原因となるカテキンの生成が抑えられる一方で、うまみ成分のテアニンが多く残るという特徴があります。さらに、光を遮ることで葉緑素が増え、抹茶ならではの鮮やかな緑色も引き出されます。
つまり、この覆下栽培こそが、抹茶の最大の特徴であるまろやかな旨みと美しい色味を生み出す要となっているのです。

出典:農林水産省「緑茶の種類と製法」 https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/cha/kind.html
収穫|一芯二葉の若芽を丁寧に手摘み
新芽の中でも特にやわらかく、旨みの強い「一芯二葉」の部分が選ばれます。「芯」は、まだ葉が開いていない「芽」の状態の葉です。芯と、その下の2枚の葉の部分を「一芯二葉(いっしんによう)」と言います。生まれたてで、とても柔らかい部分です。まだ若く、紫外線をあまり浴びていないので、渋みのもととなるカテキンが生成されておらず、甘みの強いおいしいお茶になります。
品質の高い抹茶に用いられる茶葉は、多くが手摘みで収穫されます。
この手摘み作業では、経験豊富な摘採者が一枚一枚の葉の状態を見極め、傷みのない美しい葉だけを選んで丁寧に摘み取ります。指先の感覚と視覚を頼りに、繊細な作業が続けられるのです。
さらに、高級な抹茶用の茶葉では、摘採のタイミングや時間帯にも特別な注意が払われます。たとえば、日が昇る前の朝早い時間帯に摘むことで、茶葉が乾燥せず、鮮度や香りを最大限に保てるのです。このようなこだわりが、最終的な抹茶の味と品質に直結しています。

出典:京都府農林水産技術センター「宇治茶の特徴」 https://www.pref.kyoto.jp/nosan/ujicha.html
蒸し|摘んだ茶葉はすぐに蒸して酸化を防ぐ
収穫されたばかりの茶葉は、すぐに蒸されます。これは酸化を防ぎ、茶葉の緑色や香りを保つための重要な工程です。
蒸しの工程では、高温(約100℃)の蒸気で20〜40秒ほど茶葉を包み込みます。この短時間で一気に加熱することにより、茶葉に含まれる酵素の働きを止め、酸化を防ぐのです。もし酸化が進んでしまえば、茶葉は茶色く変色し、風味も損なわれてしまいます。
この蒸し工程を適切に行うことで、抹茶が持つ鮮やかな緑色と爽やかな香りがしっかりと保たれます。まさに色と香りを閉じ込める一瞬の技術が、ここにあります。

出典:公益社団法人 日本茶業中央会「製造工程と特徴」 https://www.nihon-cha.or.jp/cha/knowledge/know05.html
乾燥|揉まずにそのまま乾かす「碾茶」特有の工程
煎茶とは異なり、碾茶は揉まずに乾燥させます。この違いが、抹茶ならではの風味と食感を生み出します。
この工程では、茶葉を広げて熱風や遠赤外線を利用して乾燥させます。現代では乾燥機が使われることが多いですが、伝統的には「ほいろ」と呼ばれる加熱台の上で手作業によって行われていました。
乾燥の目的は、茶葉に含まれる水分を飛ばし、含水率を10%以下にまで下げて保存性を高めることにあります。ただし、煎茶のように揉まずに乾燥するため、茶葉の形状は平らでフレーク状に保たれ、これが碾茶特有の外観と質感をつくり出します。
こうして、見た目にも美しく、挽きやすい状態に整えられた茶葉が完成するのです。
乾燥後、茎や葉脈を取り除き、葉の柔らかい部分だけを残します。この段階でようやく「碾茶」が完成します。

出典:京都府茶業研究所「抹茶の製造方法」 https://www.pref.kyoto.jp/nosan/documents/macchaprocess.pdf
石臼挽き|1時間に40gしか挽けない手間の極み
完成した碾茶は、石臼でゆっくりと粉に挽かれます。これが、私たちが口にする「抹茶」となります。
石臼を使って碾茶を挽く作業は、時間と手間がかかる工程です。1時間に挽ける量はわずか40gほど。これは非常に少ないように感じられるかもしれませんが、品質を保つためには欠かせない工夫なのです。
というのも、粉砕のスピードを上げると摩擦熱が発生し、抹茶本来の香りや風味が損なわれてしまう恐れがあります。そのため、石臼はゆっくりと一定の速度で回転させ、熱を極力抑えながら丁寧に挽いていく必要があるのです。
さらに、挽きあがった抹茶の粒子は非常に細かく、5〜10ミクロン(0.005〜0.01mm)程度。この極細の粒子が、抹茶の滑らかな舌触りと濃厚な味わいを生み出しています。まさに“緑のシルク”と称される理由がここにあります。この手間と技術が、滑らかな口当たりと芳醇な香りを生むのです。

出典:山政小山園「抹茶の製造工程」 https://www.marukyu-koyamaen.co.jp/matcha/qa.html
抹茶タイムズからのご案内|世界の抹茶トレンドをもっと深く

海外で広がる抹茶ビジネスの最前線を、もっと深く知りたい方へ。
「抹茶タイムズ」では、アメリカ・ヨーロッパ・アジアを中心に、世界で起きている抹茶ブームの“今”を一次情報に基づいてお届けしています。
- 各国市場のデータ分析(市場規模・成長率・消費動向)
- 現地ブランドやカフェの成功事例
- 生産者・茶師・バイヤーへの独自インタビュー
- 抹茶をめぐる最新のサステナビリティ・輸出・規制情報
単なるニュースではなく、「数字の裏にあるストーリー」や「文化を動かす人の声」にまで踏み込んだ分析を展開。
日本の抹茶が世界でどう評価され、どのように進化しているのかを、現場の視点で掘り下げています。
ビジネスパーソン・生産者・カフェオーナー・ブランド担当者など、
“本気で抹茶市場を理解したい方”に向けた専門メディアです。
世界の抹茶がどう動いているかを知ることは、
次のビジネスチャンスを掴む第一歩です。
あなたの抹茶ストーリーを、ここから一緒に広げていきましょう。
まとめ|抹茶は“緑の芸術品”である
こうして見ると、一杯の抹茶が生まれるまでには、いくつもの手間と職人技、そして自然の力が重なり合っていることがわかります。
- 「覆下栽培」で生まれる旨み
- 「手摘み」の丁寧さ
- 「蒸し・乾燥」で守る鮮度
- 「石臼挽き」で引き出す香りと滑らかさ
あなたが次に抹茶を口にする時、ぜひその背景にある物語にも思いを馳せてみてください。
本記事で参照した主な出典:
- 農林水産省:https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/cha/kind.html
- 京都府農林水産技術センター:https://www.pref.kyoto.jp/nosan/ujicha.html
- 日本茶業中央会:https://www.nihon-cha.or.jp/cha/knowledge/know05.html
- 京都府茶業研究所:https://www.pref.kyoto.jp/nosan/documents/macchaprocess.pdf
- 山政小山園:https://www.marukyu-koyamaen.co.jp/matcha/qa.html


