抹茶の旬はいつ?茶人の「お正月」から見る抹茶の本当の楽しみ方
抹茶といえば春の新茶をイメージする方も多いかもしれませんが、実は抹茶の旬は秋(10月〜11月)だとご存じでしたか?
抹茶はただの粉末緑茶ではなく、春に摘んだ茶葉をじっくり熟成させることで旨味が引き立つ、季節を感じる飲み物なのです。
本記事では、抹茶の旬が秋とされる理由や、茶道における「口切りの茶事」、季節ごとの抹茶の楽しみ方について詳しく解説します。
春に人気が高まる抹茶スイーツの裏にあるマーケティングの工夫や、抹茶の魅力を最大限に味わうための豆知識も盛り込みました。
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抹茶の旬は秋|煎茶と異なる季節に味のピークを迎える

春に旬を迎える煎茶とは異なり、抹茶の旬は秋(10月〜11月)です。
この違いは、抹茶の原料である碾茶(てんちゃ)の製法と熟成工程にあります。
煎茶との違い|抹茶の旬が秋になる理由

煎茶は、春に収穫された新芽をすぐに加工・出荷するため、5〜6月頃が飲み頃です。
一方、抹茶の元となる碾茶は、春に摘まれた後、約5か月間、低温熟成されます。熟成によって渋味が抑えられ、旨味がより引き出されるため、10〜11月が最も美味しい時期=「旬」とされているのです。
熟成を終えた抹茶は「蔵出し茶」「封切り茶」とも呼ばれ、秋から初冬にかけて市場に出回ります。
熟成が生む奥深い風味

茶葉を熟成させることによって、青臭さが和らぎ、まろやかな甘味と深いコクが生まれます。
この「後熟(こうじゅく)」という考え方は、徳川家康の時代から受け継がれてきた伝統でもあります。
「口切りの茶事」|茶人にとっての新年、11月の特別な茶会

出典:藝術学舎 (https://air-u.kyoto-art.ac.jp/gakusha/learning/G2132433)
抹茶の旬と文化が交わるのが、11月の「口切りの茶事」です。
これは、春に摘んだ茶葉を封じた茶壷の封を開け、その年初めての抹茶を点てる行事で、茶人にとっての“お正月”とされています。
「口切り」とは何か

出典:江戸千家 (http://www.edosenke.jp/binran/mizuya/index02.html)
「口切り」は、密閉された茶壷を開封し、中の碾茶を茶臼で挽いて抹茶をつくる儀式です。
その年最初の一服を味わい、来年の豊作や繁栄を願う意味合いも込められています。
- 茶室の畳や障子を新調する
- 茶道具を一新する
- 主人から客へ、最初の抹茶を振る舞う
こうした準備と儀式を通じて、精神性と味覚の両面で「新年」を迎えるのが、茶人の文化なのです。
冬は抹茶スイーツの季節|流通のピークは2月

意外に思われるかもしれませんが、抹茶の流通量がピークを迎えるのは2月です。
その理由は、抹茶が「冬に恋しくなる味」として定着しているためです。
抹茶の日とバレンタイン需要

2月6日は「抹茶の日」とされており、バレンタインシーズンと重なることで、抹茶スイーツが多く登場します。
- 抹茶チョコレート
- 抹茶ケーキ
- 抹茶ラテの新商品
甘さの中にほんのりとした苦味がある抹茶は、冬の濃厚スイーツとの相性が抜群です。
また、カテキンやテアニンといった健康成分も豊富で、寒い季節の免疫ケアとしても注目されています。
春に抹茶スイーツが増えるのはなぜ?|“色と季節感”のマーケティング

出典:PR TIMES (https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000234.000011317.html)
「抹茶は秋が旬」なのに、春になると抹茶味の商品が増える現象には理由があります。
それは、視覚的な“季節感”の演出とマーケティング戦略によるものです。
若葉のイメージと抹茶のグリーン
- 鮮やかな緑色=新緑や若葉を連想
- 桜色との対比で春らしさを演出
- 新生活・桃の節句など、和の雰囲気にマッチ
これらの視覚効果が、「春といえば抹茶」というイメージを定着させたのです。
実際には秋が“味の旬”でも、春は“イメージの旬”として、スイーツの世界で大活躍しています。
季節ごとの抹茶を楽しもう|“新抹茶”の可能性

近年では、熟成前の「新抹茶」をあえて早い段階で出荷するケースも増えています。
このように、季節ごとに異なる風味を楽しめるのも、抹茶の奥深さです。
- 春:青々しい新鮮な風味(新抹茶)
- 秋:熟成されたまろやかな旨味(蔵出し茶)
- 冬:スイーツとのペアリングで濃厚な味わい
- 夏:冷抹茶やアイスなど清涼感ある楽しみ方
好みに応じて、季節ごとの抹茶を飲み比べてみるのもおすすめです。
抹茶の魅力をもっと深く知りたい方へ

抹茶の旬や茶道文化に触れて、もっと興味が湧いてきた方も多いのではないでしょうか?
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まとめ|抹茶の旬を知れば、もっと美味しく楽しめる
抹茶の本当の旬は秋(10〜11月)。
その味わいは、熟成という時間を経ることで一層深まります。
そして、「口切りの茶事」に象徴されるように、日本人の精神文化と結びついた特別な存在です。
しかし、視覚やイメージの力で春や冬にも楽しめるのが、抹茶の面白さでもあります。


