中東の抹茶市場が熱い|ハラール需要と新興富裕層が切り開く新市場
中東で抹茶が注目を集めています。UAEやサウジアラビアではカフェ文化が急速に広がり、若い富裕層を中心に「健康的でプレミアム感のある飲み物」として抹茶ラテや抹茶スイーツが浸透し始めています。
一方で、参入にはハラール認証の取得、現地嗜好に合わせた味設計、物流環境への対応といった課題も多く、慎重な準備が欠かせません。
この記事では、中東市場で抹茶ビジネスを展開するために必要な市場背景・認証ポイント・販路開拓のステップ・マーケティング施策を具体的に解説します。
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中東で広がる抹茶需要の背景

近年、中東では日本食レストランやカフェの出店が急速に増えています。とくにUAEやサウジアラビアでは、若年層を中心に「健康的でプレミアム感のある飲み物」への関心が高まり、抹茶ラテや抹茶スイーツが定番メニューとして受け入れられつつあります。抹茶は緑色の鮮やかさや写真映えする見た目も相まって、SNSを通じて拡散されやすく、都市部のトレンドドリンクとして存在感を高めています。
この背景には、いくつかの明確な要因があります。
- 人口増加と若年層の購買力向上
中東は平均年齢が若く、UAEやサウジでは20〜30代が人口の約半分を占めます。石油収入を背景に中間層の可処分所得も伸びており、以前は富裕層向けだった日本食や輸入食品が、都市部の一般層でも手の届く価格帯になってきました。 - カフェ文化の急拡大
ドバイやリヤドではスターバックス、ブルーボトル、地場系カフェなどが急増し、メニューの多様化競争が進んでいます。消費者は新しい体験に積極的で、抹茶ラテや抹茶フラッペといった“ヘルシーかつフォトジェニック”なドリンクが若者の間で人気を集めています。 - ウェルネスブームと健康志向
中東では生活習慣病予防やダイエット意識の高まりを背景に、砂糖控えめ・低GI食品・カフェインの持続効果が注目されています。抹茶はカテキンやテアニンなどの抗酸化成分を含み、コーヒーより穏やかに覚醒作用が続くため、ビジネスパーソンや学生層に受け入れられやすい飲料です。 - インバウンド経験による逆輸入効果
中東から日本を訪れる旅行者が年々増加しており、京都や東京で体験した抹茶文化を帰国後も楽しみたいというニーズが発生しています。これが現地での抹茶カフェやスイーツ導入を後押ししています。
これらの要素が重なり、抹茶は単なる輸入食品ではなくライフスタイル提案型のプレミアムカテゴリーとして認知され始めています。今後はカフェだけでなく、スーパーやホテル、航空会社のラウンジなど、さまざまなチャネルに広がる可能性があります。
市場規模と成長ポテンシャル

中東の抹茶市場は、まだ明確な統計が少ないものの、複数の指標から確実に拡大傾向が見て取れます。UAEやサウジアラビアの高級スーパーでは、抹茶パウダーや抹茶スイーツ、抹茶ラテベースの棚面積が年々拡大。ドバイのカフェチェーンでは、抹茶ラテがコーヒーや紅茶と並ぶ定番メニューに加わり、若者層に浸透しています。
特に成長が見込まれるのは以下の3つのチャネルです。
HORECA(ホテル・レストラン・カフェ)
- ホテルラウンジや高級カフェが牽引:ドバイの5つ星ホテルやリヤドの高級モールでは、アフタヌーンティーに抹茶メニューを導入する事例が増えています。
- カフェ競争が激化:新規カフェは差別化のために、抹茶フラッペや抹茶デザートを「映えるメニュー」として積極採用。
- 初期参入のメリット:メニューに採用されれば、一括大量納入が可能で安定的なB2B需要を確保できます。
モダントレード(高級スーパー・グロサリー)
- ギフト需要が強い:中東では贈答文化が根強く、ラマダンやイードの時期に向けたギフトセット需要が大きい。
- 高単価でも売れる:プレミアム輸入品の購買意欲が高く、日本産の「純抹茶」は他国産との差別化が効きやすい。
- 販促機会が豊富:店頭試飲イベントやポップアップを活用することで、試飲から購入につながる体験マーケティングが可能。
EC・デリバリーアプリ
- 在留外国人+現地若者を同時に獲得:中東では外国人労働者比率が高く、英語・アラビア語の二言語対応が必須。
- Z世代はデジタル先行:InstagramやTikTokで見た抹茶レシピをそのままECで購入する行動が一般化。
- デリバリーアプリの活用:Talabat、Careemなど現地アプリと連携し、家庭でもカフェ品質の抹茶ドリンクを提供できる。
市場の伸びは年率5〜8%のペースと見られ、今後5年で現地での抹茶関連商品の取り扱い数は倍増する可能性があります。とくに2025年以降は、サウジアラビアの「ビジョン2030」による観光立国政策が追い風となり、外食・カフェ需要はさらに拡大が見込まれます。
参入のカギはハラール認証
中東市場に抹茶製品を展開する際、ハラール認証の有無は購買意思決定に直結します。抹茶粉末そのものは植物性原料のため基本的に適合しますが、ラテベースやスイーツ商品では次のポイントをクリアする必要があります。
ハラール適合の要注意ポイント
- 乳成分の原産地と処理方法
使用している全粉乳や乳化剤、安定剤について、動物由来であれば屠畜方法や生産地を明示。
特にラテベースやアイスクリームではここがボトルネックになりやすい。 - 香料・抽出溶媒
天然香料や抹茶エキスに使用されるキャリア溶媒がアルコールかどうかを確認。
微量でもアルコールを含む場合はハラール非適合になる可能性があります。 - ゼラチン・グレーズ・乳化剤
お菓子やアイスの光沢材や乳化剤に動物由来成分が含まれていれば、ハラール認証を通すための代替原料への切り替えが必要です。
認証取得の基本フロー
- 原料BOM(部品表)の洗い出し
使用原料・副資材の全情報を整理し、サプライヤーの証明書を取得。 - 工場ラインの適合確認
洗浄剤や潤滑油も含めて、非ハラール原料との混流リスクを排除。 - 前監査(プレアセスメント)
課題を洗い出して是正措置を実施。 - 本監査・認証書発行
合格後、製品ラベルに認証マークを表示可能。 - 年次更新と監査対応
原料変更時は再評価が必要になるため、サプライチェーン全体で情報共有を徹底。
ラベル表示とパッケージの注意点
- 言語表記:アラビア語と英語の併記が基本
- 表示義務:原材料、原産国、内容量、賞味期限、保存方法、栄養成分、ハラールマーク
- 日付表記:国によっては日/月/年やヒジュラ暦での表記が求められる場合がある
実務で役立つチェックリスト
□ 原料・副資材のハラール適合証明をサプライヤーから取得
□ 工場内の洗浄剤・潤滑油もハラール適合品を使用
□ 認証スコープ(製品単位かライン単位か)を確認
□ アラビア語表記と現地認証マークをデザイン段階で組み込む
□ 原料変更時の再監査プロセスをマニュアル化
味のローカライズが勝敗を分ける
中東市場で抹茶製品を成功させるためには、現地消費者の嗜好に合わせた味のローカライズが欠かせません。抹茶そのものの青い香りや渋みは日本人には魅力的ですが、初めて抹茶を飲む層にとっては「苦い」「土っぽい」と感じられることもあります。
特に湾岸諸国では甘味が強めの方が好まれる傾向がある一方、近年はダイエット志向や糖質制限を意識した「Less Sweet」オプションを選べる店も増えています。つまり、甘さを一律に強くするのではなく、選べる甘味設計が重要です。
ご当地フレーバーとのペアリング例
- ピスタチオ×抹茶ラテ
中東で人気のナッツフレーバー。抹茶のグリーンとピスタチオの香ばしさがマッチし、視覚的にも高級感が出る。 - サフラン×抹茶ミルク
世界で最も高価なスパイスと抹茶の掛け合わせは、ホテルラウンジやアフタヌーンティーで映えるプレミアムメニューになる。 - デーツ(椰棗)シロップを甘味料に使用
ラマダン期に特に好まれるデーツは栄養価が高く、砂糖代替としてもヘルシー訴求ができる。 - カルダモンやシナモンを使ったホット抹茶
冬場のスパイスドリンクとして需要が高い。カフェインの持続性+体を温める効能を訴求できる。
味設計の実務ポイント
- 甘味レベルのABテスト:現地のカフェスタッフ・常連客に複数サンプルをブラインド試飲してもらい、甘味の立ち上がり・後味・香り残りを評価。
- 溶解性と泡立ちチェック:高温環境ではダマになりやすいので、シェイカー・スチーマーなど実機で検証。
- 乳製品の有無で選択肢を用意:乳不使用のココナッツクリーマーやオーツミルク版もテストすることで、ヴィーガン対応の幅を広げる。
- カラーバリエーション:抹茶の鮮やかな緑は写真映え要素。退色を防ぐためのパッケージ設計とサーブ方法も合わせて検討。
パッケージと物流の課題
中東市場では気温40℃を超える常温輸送や高湿度倉庫が珍しくなく、抹茶の鮮やかな色と風味を保つにはパッケージ設計と物流対策が欠かせません。日本国内では問題にならないわずかな酸化や吸湿も、現地では数週間で風味劣化・退色につながります。
パッケージ設計のベストプラクティス
- アルミ蒸着・多層バリア袋
酸素・光・湿気を同時に遮断。特に抹茶は光による退色が早いため、遮光性を確保した素材を選定。 - 小分けスティック包装
大袋では一度開封すると湿気や酸化が進みやすいため、個包装で都度開封できる設計が望ましい。
業務用には1kg袋と同時に100本単位のスティックを併用すると、カフェ・ホテルの運用も楽になる。 - ガス置換包装(窒素充填)
酸素濃度を1〜2%まで下げることで、鮮やかな緑色と香りを長期間キープ。 - 二重パッケージ
内袋+外箱で光と熱の影響を二重にブロック。輸送時に外箱の汚れや破損があっても中身への影響を防ぐ。
物流時のリスクと対策
- 高温劣化:常温輸送時に40〜50℃に達することも。
→ サーマルライナー、パレットカバーを使用して温度上昇を抑える。 - 湿気によるダマ・カビ:港湾倉庫や配送拠点での高湿度が原因。
→ 内装に乾燥剤を封入、保管倉庫の湿度データログを毎月確認。 - 長距離輸送での香り飛び:常温保管が長期になると抹茶特有の香りが消失。
→ 在庫回転を早める小ロット出荷、現地ハブ倉庫での定温保管を優先。
賞味期限と在庫設計
中東では輸入時に賞味期限の残存日数が規定される国があります(例:入国時に残存6か月以上必要)。
そのため、次のポイントを押さえた在庫設計が重要です。
- 製造から出荷までのリードタイムを短縮(国内保管を最小化)
- 初期ロットは小規模で投入し、現地の消費スピードを見ながら増量
- ロットトレーサビリティを整備し、品質クレームが出た場合すぐ遡れる体制を確保
実務チェックリスト
□ 包装材は酸素透過率・遮光率のデータを取得済み
□ ガス置換(窒素充填)を行い、残存酸素濃度を記録
□ サーマルライナーやパレットカバーを輸送業者に指定
□ 倉庫の温湿度データを定期的にモニタリング
□ 輸入国の賞味期限残存規制を確認済み(国別対応表を用意)
販路開拓のステップ
中東進出では、いきなり大量の店頭展開を狙うより、段階的にチャネルを広げる戦略が成功しやすいです。特に以下の3ステップが効果的です。
① HORECAチャネルから着手
- 狙う理由:ホテル・カフェでの採用は「品質保証」と「ブランド体験」の両方を得られる入り口。現地消費者にとって「一流ホテルのメニューにある=信頼できる」という強いメッセージになる。
- 施策例
- シェフ・バリスタ向けのレシピ開発・トレーニングセッションを提供
- 限定メニューとして「抹茶アフタヌーンティー」「抹茶スイーツ週末フェア」を共同企画
- 初回導入時に無償サンプル+プロモーションPOPをセットで提供
- KPI設定
- 採用店舗数、メニュー採用率、注文数増加率をトラッキング
- SNSでのメンション数(店舗名+抹茶)を測定し認知効果を可視化
② 高級スーパーへの展開
- 狙う理由:ホテル・カフェで認知を作った後に、家庭用やギフト用需要を取り込む流れが自然。中東では贈答文化が根強く、ギフトセットが単価アップに直結。
- 施策例
- 店頭での試飲イベントを定期開催(試飲→即購入率は20〜30%以上を狙う)
- ラマダンやイードに合わせたシーズナルパッケージやギフトボックスを投入
- 棚面で目立つようArabic/English二言語パッケージとポップアップ什器を設置
- 注意点
- 納入条件(デリバリー頻度、返品条件)を事前に交渉
- 価格崩れを防ぐため、ディストリビューターとMAP(最低広告価格)を設定
③ EC・デリバリーアプリ活用
- 狙う理由:ECは在留外国人や外資系ビジネスパーソン、Z世代を直接狙えるチャネル。中東はスマホ普及率が高く、オンライン購買の伸びが著しい。
- 施策例
- ECサイト・モールはアラビア語+英語の二言語対応ページを用意
- 決済は現地で主流のCOD(代引き)やモバイルウォレットに対応
- デリバリーアプリ(Talabat, Careem, Noonなど)に出店し、当日配送対応で顧客満足度を上げる
- SNSでの短尺動画広告と連動し、ワンクリックで購入できる導線を設計
- 成功のコツ
- 現地インフルエンサーのレビュー動画を活用
- 商品ページに「ハラール認証済」「日本産抹茶使用」を明記し信頼を強化
ディストリビューター選定のポイント
現地パートナー選びは、中東進出の成否を大きく左右します。単に「輸入してくれる会社」ではなく、販促まで一緒に伴走してくれるパートナーを選ぶことが重要です。
評価項目(チェックリスト)
- カバレッジ:ホテル・カフェ・スーパーなど、どのチャネルに強いか。既存顧客リストを確認。
- 物流能力:温湿度管理、逆物流(返品回収)、最終マイル配送まで一貫対応できるか。
- マーケ機能:Arabicコピー内製、店頭実演スタッフ、SNSキャンペーンの実績があるか。
- 契約条件:独占範囲(国・チャネル・期間)、初回ロット、支払サイト、価格維持条項(MAP)。
実務ポイント
- 独占契約は狭めに設定(国別・チャネル別)して、実績に応じて拡大。
- 再輸出可否を確認し、他国への迂回販売リスクを防ぐ。
- 初回は小ロット・短期契約でテスト、半年後に成果を見て拡大契約。
マーケティングカレンダー活用
中東では年間を通じてイベントが明確で、販促の山を作りやすい市場です。
特に以下のタイミングはプロモーション必須期といえます。
- ラマダン(断食月)
断食明けのIftar(食事)で甘いスイーツやドリンクが大量消費される。抹茶デザート、デーツ入り抹茶ラテをセット販売。 - イード(祝祭)
贈答文化が強く、ギフトボックス需要が急増。パッケージを豪華仕様にして高単価を狙う。 - 夏季(酷暑期)
アイス抹茶、フラッペ、冷たい抹茶スイーツを前面に。ビタミン・ミネラル補給を訴求。 - 冬季
ホット抹茶+カルダモンやシナモンの“温活ドリンク”提案。体を温める文化と相性が良い。
デジタル施策
- SNSはアラビア語・英語の二言語運用を週次投稿。
- 現地インフルエンサーとのタイアップ動画を配信し、カフェやスーパーでの来店動機を作る。
- 広告ターゲティングはラマダン開始2〜3週間前から強化し、断食明け需要を狙う。
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- 輸出・越境EC:中東・欧米市場レポート、展示会攻略ガイド
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まとめ|中東進出は計画と差別化で勝負が決まる
中東は若年層比率が高く、カフェ文化と健康志向の高まりが追い風となり、抹茶の需要が確実に伸びています。
しかし、参入にはハラール認証・味のローカライズ・物流設計・現地パートナー選定といった課題がつきまといます。
今回解説したように、
- ハラール認証とラベル表示を早めに準備し、輸入規制をクリアする
- 現地嗜好に合わせた甘味・フレーバー設計と試飲イベントで確度を高める
- HORECA → 高級スーパー → ECと段階的に販路を広げ、認知と販売を同時に確立する
- ラマダンやイードなど年間行事に合わせたマーケティングで売上の山をつくる
といったステップを踏めば、中東での抹茶ビジネスは安定的に拡大できます。
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