ロシアの抹茶事情|健康志向と日本文化が後押しする新市場
ロシアでは、伝統的に紅茶が主流でしたが、近年は抹茶が新たな健康ドリンクとして注目されています。都市部のカフェでは抹茶ラテや抹茶スイーツが並び、若者を中心に日本文化への関心とともに広がりを見せています。一方で市場はまだ成長段階にあり、輸入依存や価格の高さといった課題も残されています。
本記事では、ロシアにおける抹茶人気の背景から市場の現状、そして日本抹茶ブランドにとってのビジネスチャンスまでを徹底解説します。ロシアの抹茶事情を知ることは、今後の海外展開や市場戦略を考えるうえで重要なヒントとなるでしょう。
\こちらもおすすめです!/
\抹茶粉末をお探しの企業様へ/
弊社では、京都・宇治をはじめ、鹿児島・福岡・静岡など日本各地の産地から、
有機JAS認証付きのセレモニアルグレードから加工用まで、幅広いグレードの抹茶を取り揃えております。
「案件はあるのに、安定して抹茶を仕入れられない…」
「カフェの新メニューで抹茶を使いたい!」
そんなお悩みをお持ちの企業様は、ぜひ抹茶タイムズにご相談ください。
まずはお気軽にお問い合わせください。
ロシアにおける抹茶人気の背景

ロシアでは古くから紅茶文化が強く根付いてきましたが、近年は新しいトレンドとして「抹茶」が台頭しています。特に都市部の若年層を中心に、健康意識の高まりと日本文化ブームが重なり合い、抹茶は単なる飲み物ではなく、ライフスタイルや自己表現の一部として受け入れられつつあります。その背景には3つの大きな要因が挙げられます。
健康志向の高まりと抹茶の注目
ロシアでも肥満や生活習慣病は深刻な社会課題であり、健康を意識する人々が増えています。その中で、カテキン・テアニン・ビタミン類を豊富に含む抹茶は「自然由来で効果的な健康飲料」として注目を浴びています。実際にモスクワやサンクトペテルブルクで行われた試飲会では、参加者の多くが「味わいが新鮮で体に良さそう」「毎日飲みたい」といった前向きな感想を寄せました。特に女性層からは、美容・デトックス効果に期待する声が多く、“美容に効くグリーンパウダー”として受け止められています。
日本文化・和食ブームの影響
ロシアでは1990年代以降、アニメやマンガが若者文化に浸透し、その延長として日本食や抹茶にも関心が広がっています。モスクワのカフェ「J’PAN」では、たい焼きやたこ焼きといった日本の粉モノとともに抹茶スイーツが提供され、現地の若者に「日本らしさ」を感じさせています。さらに、レストランでは抹茶を使ったブリヌィや抹茶ソースのサーモンといった独自のメニューも登場し、「日本の伝統×ロシアの食文化」という新しい融合が試みられています。抹茶は単なる飲料を超え、“日本体験の象徴”として受け入れられているのです。
若者世代と都市部カフェ文化の拡大
ロシア人は紅茶やコーヒーを自宅で楽しむ習慣がある一方で、都市部のカフェ利用率は非常に高く、97%以上が週1回以上利用しているという調査結果もあります。カフェは単なる飲食の場ではなく、友人との交流やSNS発信の場として定着しており、そこで提供される抹茶ドリンクは若者にとって魅力的な選択肢となっています。特にピンクやブルーといったカラフルな抹茶ドリンクは「映えるメニュー」として人気で、インスタグラムやVK(ロシアのSNS)での拡散も追い風になっています。こうした背景から、抹茶はトレンド感と健康意識を兼ね備えた新しいライフスタイル飲料として広がりを見せています。
ロシア抹茶市場の現状と課題

ロシアでの抹茶市場は、まだ立ち上がったばかりの発展段階にあるニッチ市場です。首都モスクワやサンクトペテルブルクを中心に、抹茶を取り扱う飲食店や小売が少しずつ増えている一方で、輸入依存による価格の高さや品質のばらつきが普及を妨げています。ここでは、具体的な現状と課題を整理します。
カフェ・レストランでのメニュー展開
都市部のカフェやレストランでは、抹茶ラテや抹茶スイーツの提供が広がっています。モスクワのカフェ「J’PAN」では15種類以上の抹茶ドリンクを展開し、ブリヌィやスィルニキといった伝統的なロシア菓子にも抹茶を取り入れ、若者を中心に人気を集めています。さらに、抹茶ソースのサーモンや抹茶フンムスといったユニークな料理も登場し、「日本の抹茶×ロシア料理」という新しい食文化の融合が見られます。
しかし課題も存在します。安価な中国産や代替粉末を「抹茶」として提供する店舗も多く、消費者が本物と偽物を見分けられない状況が問題となっています。結果として「抹茶=粉っぽくて苦い」という誤解が広がるリスクがあり、本物の日本産抹茶を扱う店舗との差別化が急務です。
スーパー・ECでの抹茶製品流通
一部のスーパーや輸入食品店、そしてECサイトでは抹茶粉末や抹茶菓子が販売されています。特に健康志向の高まりからECでの抹茶需要は徐々に拡大しており、ロシア国内でもオンラインショップを通じて購入する消費者が増えています。
ただし、価格は依然として高く、一般消費者にとっては「特別な商品」という位置づけにとどまっています。加えて、商品ラインナップも限定的で、日常的に使える低価格帯の商品やレシピ提案が不足している点が、普及の大きな壁となっています。
輸入依存と価格帯の問題
ロシアで流通する抹茶はほぼ100%が輸入品であり、日本からの直接輸入や中間業者を通じた調達が一般的です。しかし、輸入時の通関手続きは煩雑で、追加書類の提出や長期保管コストが発生するケースも少なくありません。そのため、流通コストが販売価格に上乗せされ、結果的に高価格帯の商品に偏ってしまうのです。
この構造により、ロシア市場では抹茶が「富裕層向けの贅沢品」として扱われる傾向が強く、日常的な消費にはつながりにくい状況が続いています。普及を加速させるためには、物流の効率化・価格帯の見直し・現地での安定供給体制が不可欠です。
日本抹茶ブランドにとってのビジネスチャンス

ロシア市場はまだ規模こそ小さいものの、確実に成長を続けています。輸入依存や価格の高さといった課題はあるものの、それは裏を返せば「本物の日本産抹茶がまだ十分に浸透していないブルーオーシャン」であることを意味します。ここでは、日本ブランドが取り組むべき具体的な戦略を見ていきましょう。
高品質・本物志向層へのアプローチ
ロシアでは、依然として「日本産=高品質」というブランドイメージが強固に存在しています。特に富裕層や文化的関心の高い層は、宇治・西尾・鹿児島といった産地ブランドに強い魅力を感じます。実際に、モスクワの一部カフェでは「宇治抹茶使用」と明示することで差別化を図り、他店より高価格帯でも選ばれています。
また、模造品が出回っている現状だからこそ、産地証明や品質保証を打ち出すことが信頼獲得の鍵となります。ラベルやパッケージで「正真正銘の日本産」であることを明確にするだけでも、消費者の安心感と購買意欲につながるのです。
健康・美容訴求による差別化
ロシアでは特に20〜30代の女性を中心に、美容や健康を意識する層が急速に拡大しています。カテキンの抗酸化作用やテアニンによるリラックス効果は、現地のニーズにマッチする訴求ポイントです。さらに「ダイエットサポート」「美肌ケア」といった具体的な効能を打ち出すことで、抹茶をただの嗜好品ではなく“機能性ドリンク”として位置づけられます。
SNSとの相性も抜群です。インフルエンサーや美容ブロガーと連携し、「抹茶を飲んで1週間で肌の調子が良くなった」などのリアルな体験を発信すれば、若い女性を中心に購買意欲を刺激できます。“美と健康を叶える日本のグリーン”としてのブランディングが効果的です。
日本文化体験コンテンツとの連携
抹茶は単なる飲料ではなく、「日本文化そのものを体験する入り口」として活用できます。ロシアの消費者は新しい体験に価値を感じやすく、茶道体験や抹茶ワークショップは関心を集める絶好の機会です。
例えば、カフェでの抹茶点て体験イベントや、和菓子と抹茶のペアリングを楽しむフードフェスティバルを開催すれば、単なる商品販売以上のブランド価値を築けます。また、アニメや日本映画イベントとコラボした「抹茶ブース」を設けることで、ポップカルチャーと伝統文化を組み合わせた相乗効果も期待できます。
このように、“飲む”から“体験する”へという発想の転換が、ロシア市場での日本ブランド展開を成功へ導く鍵になるでしょう。
抹茶タイムズで世界の抹茶トレンドをもっと深く知る
ロシアをはじめ、世界各国で広がる抹茶市場の最新動向や、健康・美容・ビジネスに役立つ抹茶の知識をまとめてお届けしているのが「抹茶タイムズ」です。単なるニュースサイトではなく、抹茶の魅力を文化・経済・ライフスタイルの観点から多角的に発信する専門メディアとして、読者の皆さまに新しい気づきと価値を提供しています。
もし今回の記事で「もっと海外市場の事例を知りたい」「抹茶の健康効果を深掘りしたい」と思われたなら、ぜひ抹茶タイムズをチェックしてください。日本の伝統と世界のトレンドをつなぐコンテンツを通じて、抹茶の未来をいち早くキャッチアップできます。
まとめ|ロシア抹茶市場は成長段階のブルーオーシャン
ロシアにおける抹茶市場は、紅茶文化が根強く残る国でありながら、健康志向・日本文化ブーム・カフェ文化の拡大を背景に確実に広がっています。まだ市場規模は限定的で、輸入依存や価格の高さ、模造品の流通といった課題は存在しますが、それは同時に「本物の日本産抹茶」が根付く余地が大きいことの裏返しでもあります。
特に、富裕層や若い女性層を中心とした健康・美容志向の高まりは、日本ブランドにとって追い風です。さらに、カフェやイベントを通じた文化体験と結びつけることで、抹茶は単なる飲料を超え、ライフスタイルや自己表現の象徴として受け入れられる可能性があります。
つまり、ロシアの抹茶市場はまだ未開拓のブルーオーシャンであり、今後数年で大きく成長する可能性を秘めています。日本ブランドが「品質の高さ」と「文化的価値」を前面に出しながら進出すれば、単なる流行ではなく、持続的な市場拡大を実現できるでしょう。
ロシアで抹茶がどこまで浸透し、日常に根付くのか——その未来を切り拓くのは、まさに本物を届ける日本ブランドの挑戦にかかっています。



