茶業×観光=コンテンツ産業?農泊・体験型観光としての“抹茶の経済価値”
日本の抹茶は「飲む文化」を超え、農泊や体験型観光と結びつくことで新たなコンテンツ産業へ進化しています。本記事では、茶業と観光の融合がもたらす経済効果や成功事例、地域振興の可能性を徹底解説します。
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茶業と観光の融合が注目される理由

近年、茶業は単なる農業や嗜好品産業に留まらず、観光や体験型コンテンツとの掛け算によって新しい価値を生み出しています。特に抹茶は、日本文化の象徴として海外からも高い注目を集めており、観光と結びつけることで「飲む」だけでなく「体験する」商品へと拡張可能です。
この背景にはいくつかの理由があります。
農業の高齢化や価格低下の課題を解決する一手
静岡県島田市や川根本町の調査では、多くの茶農家が「荒茶価格の低迷」や「販売量の減少」に直面しており、茶業だけでは持続が難しい状況が指摘されています。そのため、体験型観光や新たな販路開拓が、経営を下支えする手段として期待されているのです。
インバウンド需要に対応できる「文化体験」としての強み
茶畑散策、茶の淹れ方講習、茶娘衣装体験といったプログラムは、海外観光客から特に人気が高く、実際に静岡県では茶畑ハイキングや「世界お茶まつり」など、地域資源を活かしたイベントが定着しつつあります。これらは「日本文化を深く味わえる体験」として旅行の動機にもなり得るのです。
地域ブランディングや地域経済の活性化に直結
茶業関係者の調査では、観光客増加による効果として「地域の知名度アップ」や「まちのにぎわい創出」が高く評価されていました。さらに、農泊や食文化体験と組み合わせることで、茶畑や茶葉そのものが「観光資源」としてブランド化され、地域全体のイメージ強化につながります。
つまり、抹茶を中心とした茶業は、観光資源としての二次的価値を持つことで、農業を超えた産業展開が可能になります。伝統的な生産活動に観光という新たな価値軸が加わることで、茶業は「文化体験産業」へと進化しつつあるのです。
農泊×抹茶体験が生み出す新たな観光価値

農業と宿泊を組み合わせた「農泊」は、ポストコロナの観光の形として全国的に注目を集めています。農林水産省は農泊を「農山漁村に宿泊し、地域資源を活用した食事や体験を楽しむ滞在型旅行」と定義しており、観光客の消費を促すと同時に地域の雇用や関係人口の拡大を狙っています 。
この農泊に「抹茶体験」を掛け合わせることで、さらに独自性と高い付加価値を持つ観光コンテンツが誕生します。
農泊と抹茶体験の相乗効果
非日常体験の深化
茶畑での収穫、茶葉の手揉み体験、宿泊先での抹茶点て体験など、旅行者が日常生活では味わえない「文化的な没入体験」を提供できます。特に和束町(京都)では、農泊施設「篤庵」にて茶畑散策や茶摘み、抹茶茶碗づくりなどを組み合わせた体験が人気を集めています 。
地域ブランディングの強化
宿泊・食・体験が「抹茶」というテーマで統一されることで、その地域全体のブランド力が向上します。観光客は「抹茶の里に泊まった」という記憶を持ち帰り、SNS発信や口コミを通じて地域の魅力を拡散します。
持続可能な収益モデル
農泊は比較的低単価にとどまりがちですが、抹茶文化体験を付加することで「高付加価値型観光」として単価を引き上げることが可能です。実際に古民家や農家民宿での宿泊に、茶道体験や地元食材を用いた料理を組み合わせるプランは、インバウンド客から特に高い支持を得ています 。
教育・交流の広がり
農泊は教育旅行や探究学習の場としても注目されています。抹茶を題材にした農作業や茶文化体験は、小中学生の食育や国際交流プログラムにも適しており、地域住民と観光客が交流する「学びの場」としての役割も期待されています。こっているのです。
インバウンド需要と抹茶のブランド化

訪日外国人観光客の数は増加を続け、その多くが「日本文化を体験する旅」を求めています。観光庁の統計でも、訪日客が日本旅行に求める要素の上位には「日本食体験」「伝統文化体験」が常にランクインしており、その中で”抹茶は寿司やラーメンと並ぶ“日本を代表する食文化”として世界的に認知されつつあります。
欧米での「MATCHA」定着
欧米では「MATCHA LATTE」がカフェの定番メニューとして広く浸透しています。ニューヨークやロンドンなど都市部では、抹茶専門カフェが相次いでオープンし、緑鮮やかなドリンクはSNS映えする存在としても人気を集めています。これは「日本現地での体験」と結びつくことで、観光客が帰国後も抹茶商品を選ぶ強い動機になっています。
健康志向・ウェルネス文脈での需要拡大
抹茶はカテキンやテアニンなどの機能性成分を豊富に含み、抗酸化作用・リラックス効果・集中力向上などが科学的にも注目されています。そのため、北米やヨーロッパでは「グリーンスーパーフード」として定着し、プロテインやスムージーに抹茶を混ぜた商品も増えています。観光客は日本滞在中に抹茶の健康的な側面を体験し、それをライフスタイルに取り入れるきっかけを得ているのです。
美容・ライフスタイル領域への広がり
抹茶は「飲む化粧品」とも呼ばれ、ビューティーやウェルネス領域でも注目されています。アジア圏や欧米の化粧品ブランドは、抹茶エキスを配合したスキンケア商品やシャンプーを展開しており、「日本文化=美と健康の源泉」というイメージが強化されています。
抹茶ブランド化と体験型観光の関係
こうした背景から、日本の茶産地における体験型観光は、単なる文化紹介にとどまりません。
- 茶畑散策や茶道体験は、「本場で抹茶を味わった」という記憶を旅行者に与える
- 観光客がSNSで体験を発信し、海外市場での抹茶人気を後押しする
- 帰国後の購買(抹茶粉末・抹茶菓子・化粧品等)につながり、持続的なブランド価値を形成する
つまり、抹茶体験は「日本旅行中の思い出」であると同時に、世界市場における抹茶ブランドのマーケティング戦略としても大きな役割を果たしているのです。
成功事例|茶業と観光を掛け合わせた取り組み

具体的な成功事例をいくつか見てみましょう。
京都・宇治市の茶道体験プログラム
宇治市では、茶道の先生や茶農家と連携し、観光客に茶道体験や茶畑見学を提供しています。茶道文化と生産現場の両方を体験できることから、外国人観光客の満足度は非常に高く、「宇治=抹茶」のブランド価値を強化する仕組みとなっています。
静岡・牧之原市の茶畑ウォーク
広大な茶畑を舞台にした「茶畑ウォーク」は、地元住民と観光客を結びつける取り組みです。参加者は茶畑の中を散策しながら茶農家と交流し、茶葉の収穫や淹れ方を学びます。これにより、観光と地域コミュニティの交流が生まれ、新たな地域資源の発見や関係人口の拡大につながっています。
静岡「お茶ツーリズム」とサイクリング体験
静岡県中部地域では、地域連携DMO「するが企画観光局」が中心となり、お茶を観光コンテンツへと磨き上げています。特に注目されるのが、お茶とサイクリングを掛け合わせた「お茶バイクツアー」です。
- e-bikeを活用して茶農家を巡るツアーを開発
- 旧東海道の宿場町や文化資源を組み合わせ、お茶の「テロワール(風土の物語)」を体験できるよう設計
- 茶農家でのティーテイスティングやティーペアリングを組み込み、宿泊や消費額増加を狙う
この仕組みは、低迷する茶産業の副収入源としての可能性だけでなく、インバウンド観光を意識したサステナブルな観光モデルとして高く評価されています。
インバウンドを意識した「高品質お茶体験ツアー」
さらに、2024年にはアメリカのティーショップ経営者や旅行会社を招き、静岡のお茶を核にした高付加価値旅行商品の造成に向けた視察が行われました。
- 茶農園でのテイスティングやブレンド体験
- 伝統的な日本家屋での抹茶スイーツ体験
- 鮨と日本茶をペアリングするディナー企画
- 陶芸「志戸呂焼」や抹茶を用いた書道など異分野とのコラボ体験
参加者からは「体験すべてがストーリーで繋がっている」と高い評価を受け、今後は北米市場に向けたツアー造成も計画されています。
海外展開の事例
アメリカでは「Cuzen Matcha」のように家庭用マシンと観光体験を融合させたモデルが登場しています。観光地だけでなく都市生活の中でも「日本の抹茶体験」を再現できる仕組みは、グローバル展開のヒントとなります。
茶業×観光が拓く未来|抹茶の経済価値
最後に、茶業と観光を掛け合わせることで広がる未来像を整理します。
- 地域経済の多角化:農業収入+観光収入で持続可能なモデルを構築
- 国際ブランド化:観光を通じて抹茶を世界市場に広げる
- 文化継承と次世代育成:観光を通じて若者に茶文化を伝える
抹茶はすでに「農産物」を超えて、観光・教育・ブランド戦略を巻き込むコンテンツ産業へと進化しています。今後は、地域や企業がこの可能性をどのように形にするかが問われるでしょう。
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まとめ|抹茶体験は観光資源であり経済資源
茶業と観光の融合は、農業の持続可能性を高めるだけでなく、日本文化の発信とブランド価値の向上にも直結します。農泊や体験型観光を通じて、抹茶は「飲む」だけでなく「体験する文化」として新たな経済価値を生み出しているのです。


