抹茶RTD飲料の開発課題と解決策|成長市場で成功するためのポイント

抹茶を使ったRTD(Ready To Drink)飲料は世界的に需要が拡大しています。しかし、開発には「味の安定性」「規制対応」「市場ニーズの把握」など多くの課題があります。

本記事では、抹茶RTD飲料の開発における具体的な課題と解決策を整理し、商品化の成功ポイントを解説します。

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抹茶RTD飲料の市場機会と成長背景

RTD飲料市場は、健康志向の高まりとライフスタイルの多様化を背景に、世界的に拡大を続けています。従来は炭酸飲料や砂糖入り飲料が主流でしたが、近年は「ナチュラル」「低カロリー」「機能性」を重視する消費者が増えています。その中で、抹茶は 自然由来の栄養価(カテキン・テアニン・ビタミン類)、強い抗酸化作用、日本文化に根ざしたストーリー性 を兼ね備えており、RTD飲料の差別化原料として注目度が急上昇しています。

海外市場のトレンド

特にアジア太平洋地域では、RTDティー市場が2024年の約53億3,000万ドルから、2033年には88億ドル規模へ成長すると予測されており(CAGR 5.7%)、成長の主軸に「緑茶・抹茶系飲料」が含まれています【Report Ocean, 2025】。

アメリカ市場でも「Green Tea」「Matcha」と表記されたRTD飲料が主流となっており、日系スーパー以外のほとんどの小売ではペットボトル・缶入り・粉末タイプが中心で、急須を必要とする茶葉販売はほぼ見られません【中村学園調査, 2017】。さらに伊藤園は日本未発売の加糖タイプやフルーツフレーバー入り抹茶飲料を展開し、米国ブランド「MatchaBar」や「Zen Matcha Tea」も、ブルーベリーやターメリックを加えた商品で健康飲料市場に参入しています。これにより抹茶は「機能性×トレンド感」を持つカテゴリーとして、若年層を中心に浸透しています。

この動きは欧州やカナダ市場にも波及しており、オーガニック認証を取得した抹茶RTDがプレミアム価格帯($2〜3/本)でも受け入れられるなど、抹茶が世界的なヘルスドリンクの一角を占め始めています。

国内市場の特徴

一方、日本国内では「急須離れ」や茶葉消費量の減少が続いていますが、緑茶飲料自体の人気は依然として高く、NHK調査でも「好きな飲料ランキング1位」が緑茶であることが報告されています。

ただし、日常的に急須で淹れる文化は衰退しており、代わりに「手軽に飲めるRTD抹茶」が注目を集めています。ハラダ製茶が果汁入り緑茶を展開するなど、無糖・低カロリーを基本に、果汁やフレーバーを加えた新提案型のRTD抹茶が支持を得ています。

さらに国内では、抹茶ラテや機能性飲料としての抹茶が若年層に浸透し始めており、「伝統的価値(本格抹茶)」と「現代的ニーズ(利便性・健康志向)」の掛け合わせが市場を押し上げています。縮小する茶葉市場に代わる新しい成長セグメントとして、RTD抹茶は日本国内でも拡大余地が大きいと考えられます。

開発で直面する課題と要件定義の重要性

抹茶をRTD飲料に落とし込む際には、技術的課題とマーケティング的要件の双方をクリアする必要があります。最大のハードルは「溶解性」と「安定性」です。抹茶は微粉砕された茶葉そのものを使用するため、粉末を液体中に均一に分散させ続けることが難しく、時間が経つと沈殿や色調変化が発生します。加えて、光や熱に弱いクロロフィルを多く含むため、透明ボトルでは退色リスクが高く、加熱殺菌工程でも色や香味の劣化が起こります。これらを制御するためには、処方設計の段階で精密な要件定義を行うことが不可欠です。

ターゲットと利用シーンを明確化する

要件定義の第一歩は、誰に・どんなシーンで飲んでもらうかを明確にすることです。ターゲティングが曖昧なまま試作を始めると、味・価格・パッケージがブレて開発が長期化するリスクがあります。

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ターゲットを明確にすることで、甘味料の使用可否、フレーバーの方向性、パッケージ素材の選定などが具体化され、処方設計から価格帯まで一貫性を持たせられます

原料規格と品質要件

抹茶は原料選定によって風味・色・安定性が大きく変わるため、数値で定義された規格設計が必要です。

  • 粒度(微粉砕度):細かすぎると溶解は良いが酸化が早い。粗いと沈殿リスクが増える。
  • クロロフィル保持率:鮮やかな緑色を保つために重要。加工工程での劣化管理が必須。
  • カフェイン含有量:健康訴求や睡眠市場を狙う場合は「低カフェイン品種」を採用するケースもある。
  • 水分値:高すぎるとカビや変色の原因、低すぎると粉砕時に飛散が増える。

こうしたパラメータを仕様書に落とし込むことで、試作段階からブレのない品質を確保できます。

安定性・溶解性のチェック

要件定義の中でも最も技術的に重要なのが、安定性試験と溶解性テストです。

  • 光安定性:透明ボトルでは退色が進むため、遮光ボトルやUVカットフィルムが有効。
  • 熱安定性:加熱殺菌(ホットパック)の工程で色や香味が変わるため、低温殺菌や抽出液ベースへの切り替えも検討。
  • 沈殿性:時間経過で粉末が沈降するため、乳化剤・安定剤の添加や、抹茶抽出液とのブレンドが一般的な対策。

こうしたテストは最終市場の条件を想定して行うことが肝心です。たとえば、米国向けなら冷蔵流通・透明ボトルを前提に試験する必要があり、日本国内向けなら自販機での加温も考慮しなければなりません。

コスト・MOQ・リードタイムの現実

抹茶RTD飲料の開発は、アイデア次第でヒットが狙える一方で、「開発コスト」「最低発注量(MOQ)」「リードタイム」といった現実的な制約を避けて通ることはできません。特に飲料OEMはスケールメリットが重視されるため、少量ロットではコスト高となり、資金計画や販売戦略と直結します。

形態別の相場感

容器の形態によって製造コストや物流効率は大きく変わります。

ペットボトル(500ml)

一般的なOEMの相場は1本あたり100〜200円。国内では自販機・量販店流通に適しており、最もスタンダードな選択肢です。ただし成分安定性のためホット充填や無菌充填のラインが必要で、初期費用が高くなりやすいのが難点。

缶飲料

炭酸やフレーバーを加えやすく、ペットボトルよりやや割安(80〜150円/本)で製造可能。常温保存も可能で、海外輸出にも適しています。一方で「高級感」を打ち出しにくく、若干マス市場寄りの印象になりがちです。

ガラス瓶

プレミアム市場向けに選ばれる形態。高級カフェやギフト需要に適していますが、重量による物流コスト増、破損リスクが課題。製造単価は200円以上になることもあり、販売価格を高めに設定する必要があります。

👉 開発初期には「どの容器を選ぶか」が価格帯とブランドポジションの出発点になります。

MOQ(最低発注量)の目安

飲料OEMはスケールによってコストが大きく変わります。

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小ロット試作は可能ですが、単価が2〜3倍に跳ね上がることが多いため、本格的な上市を見据えたMOQ設定が求められます。

一般的なスケジュール

飲料開発は「短期で商品化できる」と思われがちですが、実際には規制対応や安定性確認が時間を要します。

  • 企画〜試作:2〜3ヶ月
    (フレーバー設計・処方試作・試飲テスト)
  • 安定性試験・規制確認:3〜6ヶ月
    (沈殿・退色チェック、食品表示・輸出規制の対応確認)
  • 量産・上市:1〜3ヶ月
    (OEMライン確保、資材調達、パッケージ印刷含む)

合計すると半年〜1年が標準スケジュールであり、輸出案件や有機認証を絡めるとさらに長期化します。

規制・認証対応がブランド信頼を左右する

抹茶RTD飲料は一見ヘルシーでクリーンなイメージがありますが、実際には規制・認証対応が商品成否を左右する重要要素です。特にグローバル展開を視野に入れる場合、開発段階から法規制・食品安全基準を踏まえた設計が欠かせません。

国内規制

日本国内では、食品表示法食品衛生法に基づき、以下の対応が求められます。

アレルゲン表示

乳成分・大豆などを含む場合は必須。抹茶ラテ系では特に注意。

カフェイン量の明示

近年はエナジードリンク同様、摂取量に配慮した表示が推奨されており、消費者からの関心も高い。

保存料・添加物の表示

消費者の「ナチュラル志向」に対応するため、できる限りシンプルな処方と明確な表示が求められる。

国内市場では、これらを遵守することで安心感=購買意欲につながります。

輸出規制

海外展開を目指す際は、国ごとに異なる規制をクリアしなければなりません。

米国FDA(食品医薬品局)

残留農薬、重金属、微生物検査に加え、施設登録・HACCP対応が必須。輸入時に検査証明書の不備があれば、通関できず返品になるケースも少なくありません。

EU基準

日本よりも厳格な残留農薬基準が適用され、特に有機認証を得るにはEU Organic認証が必要です。認証取得には数ヶ月以上かかり、コストも発生しますが、高価格帯市場に参入できる大きな武器となります。

その他地域(東南アジア・中東など)

ハラール認証や各国の独自基準を満たす必要があり、現地代理店や輸入商社との連携が欠かせません。

よくあるNG事例

規制対応を軽視すると、せっかくの商品開発が無駄になることもあります。

Danger
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これらの失敗は単なる金銭的損失にとどまらず、ブランド信頼を大きく毀損します。

規制対応=ブランド価値への投資

規制・認証対応は一見コストに見えますが、実際にはブランド信頼を確立するための投資です。特に海外では「安全性」「透明性」を重視する消費者が多いため、規制をクリアしている=高品質ブランドという印象につながります。

👉 早期に規制対応を進め、認証取得をマーケティングストーリーに組み込むことが、プレミアム市場で勝ち残る最短ルートです。

開発成功のための事例とヒント

抹茶RTD飲料は世界中で新しい形へと進化しています。成功事例を振り返ると、単に「抹茶を飲料化する」だけでなく、市場ニーズを的確に捉え、差別化要素を組み込むことが鍵となっているのがわかります。

事例A:プレミアム抹茶ラテ

北米市場では、有機抹茶+乳代替ミルク(アーモンドミルクやオーツミルク)を組み合わせた高価格帯商品が好調です。消費者は「プラントベース」「ラクトースフリー」といった付加価値に強く反応しており、1本5〜7ドルと高めの価格でも受け入れられています。

👉 ヒント

  • 高価格帯市場では「健康性+ライフスタイル提案」が重要
  • 有機認証やヴィーガン対応はマーケティングの強力な武器になる

事例B:フレーバー抹茶ティー

米国・欧州のカフェやスーパーでは、柑橘・ベリー・スパイスを組み合わせたフレーバー抹茶が若年層の支持を集めています。SNSでの「映える見た目」と相性が良く、二層・三層に分かれるカラフルなドリンクがInstagramやTikTokで拡散。これが購買行動に直結しています。

👉 ヒント

  • 若年層は「味」だけでなく「見た目・体験」に価値を見出す
  • 季節限定・地域限定フレーバーはSNS話題化とリピート購入を促進

事例C:健康志向抹茶RTD

近年の機能性飲料トレンドを捉え、「低カフェイン×抗酸化」を前面に出した抹茶RTDが美容・ウェルネス市場で伸びています。特に女性層や睡眠改善を意識する層に支持され、「夜でも飲める抹茶」として差別化。サプリメント市場と競合せず、飲料として自然に生活に取り入れられる点が強みです。

👉 ヒント

  • 機能性表示食品制度や海外の健康認証を組み合わせることで、より高い信頼性を確保
  • 抹茶を「日中のエナジードリンク」だけでなく「夜のリラックス飲料」として再定義できる

サステナビリティとブランド価値の両立

現代の消費者は飲料を選ぶ際、「味」や「価格」だけでなく「環境への配慮」を強く意識するようになっています。特にミレニアル世代やZ世代は、「自分が選んだ商品が地球環境にどう影響するか」を重視し、エコ・倫理的な取り組みを見せるブランドを積極的に支持します。これは抹茶RTD飲料の開発においても無視できない要素です。

サステナブル素材とパッケージ

  • 再生PETボトル・バイオマス素材:大手飲料メーカーは、リサイクルPETや植物由来素材を積極的に導入。ブランドの社会的責任(CSR)を示す分かりやすい手段です。
  • ガラス瓶・紙パック:高級志向やギフト用途ではリユース・リサイクルしやすいガラス瓶や紙容器が選ばれています。

👉 消費者はパッケージを通じてブランドの姿勢を直感的に判断するため、素材選びそのものがブランディングの一部となります。

認証取得と国際的評価

  • カーボンニュートラル認証:製造・輸送過程のCO₂排出をオフセットし、国際認証を受けることで、欧州など環境意識の高い市場で優位性を発揮。
  • 有機認証(USDA Organic, EU Organic, JAS):環境配慮だけでなく、農業段階からの持続可能性を証明し、プレミアム市場での販売力を高めます。

👉 認証は単なる「マーク」ではなく、消費者への信頼証明であり、長期的なブランド資産となります。

ストーリーテリングとの融合

サステナビリティは単なるCSRではなく、ブランドストーリーに統合して語ることが大切です。

  • 「京都の茶畑で有機栽培された抹茶を使用」
  • 「再生PET100%のボトルを採用し、廃棄プラスチック削減に貢献」
  • 「輸出時のCO₂排出をカーボンオフセット」

こうした背景を明確に伝えることで、消費者は商品購入を社会貢献につながる行為として認識し、ブランドへのロイヤリティが高まります。

よくある質問(FAQ)

沈殿を完全に防ぐ方法は?

完全防止は難しいですが、抽出液ベースの処方や安定化剤で軽減可能です。

抹茶の輸出に必要な検査は?

残留農薬・重金属・放射性物質検査が必須。輸出国の基準に合わせた証明書を取得しましょう。

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まとめ|抹茶RTD成功の鍵は「安定性×規制対応×ストーリー」

抹茶RTD飲料の市場は拡大を続けていますが、成功のためには ①溶解・安定性の技術対応 ②国内外規制のクリア ③市場ニーズに合わせたストーリー設計 が欠かせません。

「規制対応力=ブランド力」の時代において、早期に信頼性を確立できる企業が市場をリードするでしょう。

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