インドの抹茶事情|市場動向と将来性を徹底解説
インドで今、抹茶への関心が急速に高まっています。
ヨガやアーユルヴェーダに根付く「ウェルネス文化」と、都市部で広がるカフェブームが追い風となり、抹茶ラテや抹茶スイーツが若者を中心に人気を集めています。さらに、抗酸化作用やリラックス効果といった健康メリットが注目され、抹茶は「紅茶大国インド」において新しいライフスタイル飲料として存在感を高めています。
本記事では、インドにおける抹茶市場の現状とトレンド、消費スタイル、今後の可能性や課題を徹底解説します。日本茶の新たな輸出先として注目されるインド市場を知ることで、ビジネスのヒントや新しい抹茶の楽しみ方が見えてくるでしょう。
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インドで抹茶が注目される理由

健康志向の高まりと日本食ブームが、インドでも抹茶人気を押し上げています。特に都市部の若者や富裕層を中心に、抹茶は「スーパーフード」として新しいライフスタイルに取り入れられつつあります。ここでは、その背景を詳しく見ていきましょう。
健康志向とウェルネス市場の拡大
インドはもともとヨガやアーユルヴェーダに代表される「心身の調和」を大切にする文化が根強い国です。その中で、抗酸化作用を持つカテキンやリラックス効果を与えるテアニンを豊富に含む抹茶は、自然派志向の人々のライフスタイルにマッチしています。
特に都市部のミレニアル世代やZ世代では、食生活に「予防医療的」な視点を取り入れる傾向が強まっており、ダイエットや美肌、アンチエイジングを意識する層にとって抹茶は理想的な選択肢です。緑茶やハーブティーでは物足りない人にとって、抹茶は程よい苦みと満足感を兼ね備えた“格上の健康飲料”として受け入れられています。
ヨガ文化と「自然派飲料」としての親和性
ヨガスタジオやスパ、ウェルネスリトリートでは、これまでスムージーやココナッツウォーターが定番でした。しかし近年は、「ヨガ後の一杯」として抹茶ドリンクを提供する施設が増えています。
ヨガの後にカフェイン入りコーヒーを飲むと身体に負担がかかることもありますが、抹茶は持続的な集中力をもたらす“ゆるやかな覚醒感”があるため、心身を整える飲み物として親和性が高いのです。ヨガや瞑想と組み合わせることで、抹茶は単なる飲料を超えた「ウェルネス体験」の一部として位置づけられています。
日本食レストラン・カフェの増加
デリー、ムンバイ、バンガロールといった都市部では、日本食レストランやカフェが急増中です。寿司やラーメンといった料理に加え、抹茶ラテや抹茶チーズケーキなどのデザートが必ずと言ってよいほどメニューに並ぶようになりました。
抹茶は「日本文化を体験できる象徴的なアイテム」として、富裕層や外国文化に敏感な層に浸透しています。さらに、鮮やかなグリーンのドリンクやスイーツはSNS映えしやすく、InstagramやTikTokで拡散されることで一気にトレンド化。これが若年層の間での抹茶人気を加速させています。
実際に、デリーで人気の「Got Tea」や「Rush Café」では、抹茶フルーツラテや抹茶クロワッサンといったオリジナルメニューが登場し、行列ができるほどの人気を博しています。抹茶はもはや一部の日本食愛好家だけのものではなく、インドのカフェ文化を彩る新しいスタンダードになりつつあるのです。
インド抹茶市場の現状

インドにおける抹茶市場は、まだ黎明期にあります。市場規模や輸入量は小さいながらも、確実に成長を遂げている分野です。インド国内では既に緑茶市場が成熟しており、その中で抹茶は「新しい高付加価値カテゴリー」として注目を集めています。特に富裕層や都市部の若者を中心に、徐々に抹茶消費が広がっている点が特徴です。
抹茶の輸入動向(日本・中国からの輸出)
現在、インドで流通している抹茶の多くは輸入品です。主な供給元は日本と中国であり、日本産抹茶は品質面で「プレミアム抹茶」として位置づけられ、富裕層や本物志向の消費者に人気があります。一方、中国産抹茶は価格競争力に優れており、カフェチェーンや一般消費者層向けに普及しています。
例えば、San-Cha TeaやHamada Global Tradingは日本産の宇治抹茶を扱い、オンラインストアや高級ショッピングモールで販売しています。また、Amazon.inなどのECサイトでは、「Matcha Powder」「Organic Japanese Matcha」といった検索キーワードで商品数が増加し、オンライン市場での存在感も高まっています。
このように輸入形態の二極化が進み、「プレミアム vs マス市場」という二重構造がインド抹茶市場を特徴づけています。
都市部を中心とした消費シーン(デリー・ムンバイ・バンガロール)
インドにおける抹茶消費は、デリー、ムンバイ、バンガロールといった大都市圏に集中しています。これらの都市ではカフェ文化が発展しており、抹茶はトレンド感のある新しいメニューとして受け入れられています。
これらの店舗はいずれも、Z世代やミレニアル世代をメインターゲットとしており、健康意識やSNS発信を意識した商品開発を進めています。つまり、都市部でのカフェ体験を通じて、抹茶が「おしゃれで健康的な飲み物」として認知されつつあるのです。
抹茶商品のラインナップ(抹茶ラテ・抹茶スイーツ・抹茶サプリ)
インド市場では、抹茶を活用した商品ラインナップが急速に広がっています。最も人気があるのはやはり抹茶ラテですが、それに加えて以下のような多様な商品が展開されています。
特に注目すべきは、Heapwell Superfoodsのような現地ブランドが抹茶パウダーを「免疫力アップ」「ダイエットサポート」といった健康メリットとともに販売している点です。これにより、カフェだけでなく自宅での健康習慣として抹茶を取り入れる層が拡大しています。
こうした流れは、抹茶が「一過性のトレンド」ではなく、インド市場に根付く可能性を秘めたカテゴリーであることを示しています。
インドにおける抹茶の消費スタイル

インド独自の飲料文化と融合し、抹茶は新しい楽しみ方を生み出しています。紅茶の国でありながら、都市部を中心に「健康的で映える」ドリンクとして存在感を高め、若者を中心に広がりを見せています。
チャイ文化との融合(抹茶チャイ)
インドといえば欠かせないのが「マサラチャイ」。カルダモンやシナモン、ジンジャーなどのスパイスを煮出した伝統的な飲み物です。この文化に抹茶が取り入れられたことで誕生したのが、「抹茶チャイ」です。
スパイスの刺激と抹茶のほろ苦さが絶妙にマッチし、従来のチャイよりも軽やかで洗練された印象を与えます。健康志向の高い消費者や、新しい味を求める若者層から「飲んでみたい」と支持を集め、フュージョンドリンクとして人気が高まっています。今後は、地域ごとのスパイスと抹茶を掛け合わせた「ご当地抹茶チャイ」が生まれる可能性もあります。
カフェチェーンでの抹茶ラテ人気
都市部の大手カフェチェーンや新興カフェでは、抹茶ラテが急速に定番化しています。特にインドは年間を通じて気温が高いため、アイス抹茶ラテの需要が圧倒的。さらに、豆乳やアーモンドミルクといったプラントベースミルクとの相性が良く、ベジタリアンやヴィーガン層にも受け入れられています。
また、マンゴーやストロベリーと組み合わせた「抹茶フルーツラテ」も登場し、ヘルシーかつフォトジェニックなメニューとして人気に。カフェに訪れる若者にとって、抹茶ラテは「おしゃれで健康的なライフスタイル」を象徴するドリンクになりつつあります。
SNS映え・若者層を中心とした消費拡大
インドの若者にとって、飲み物は味だけでなく“映えるかどうか”が重要です。InstagramやTikTokでは、抹茶ドリンクやスイーツを投稿するインフルエンサーが急増。特に、茶筅で点てた抹茶をその場で提供する「Rush Café」や、カラフルな抹茶パフェを展開するカフェは、Z世代にとっての人気スポットになっています。
SNSで拡散されることで、抹茶は「ただの飲み物」から「トレンド体験」へと昇華し、口コミ効果でさらに市場を広げています。こうした動きは、インドの抹茶人気が一過性のブームではなく、カルチャーとして根付いていく兆しとも言えるでしょう。
日本茶輸出にとってのインド市場の可能性

紅茶大国インドで、あえて「抹茶」が存在感を強めているのは非常に注目すべき現象です。従来はアッサムティーやダージリンティーが国内需要の中心を占めていましたが、健康志向や国際的な食文化の波が後押しし、抹茶は“特別なカテゴリー”として独自の地位を築き始めています。ここからは、日本茶輸出にとってインド市場が持つ可能性を探ります。
日本産抹茶のブランド力とプレミアム市場
日本の宇治抹茶や静岡抹茶は、「本物志向」や「品質保証」を求める層に強く支持されています。特に富裕層や駐在外国人をターゲットとする高級ホテル・レストランでは、宇治抹茶を使った抹茶ラテやデザートが導入され、上質な体験の象徴として定着しつつあります。
また、ギフト需要でもプレミアム抹茶は好評です。インドでは贈答文化が盛んであり、結婚式の引き出物や企業ギフトに「日本産抹茶パッケージ」が採用されるケースが増えています。この動きは、抹茶を単なる嗜好品ではなく、ステータスを示す象徴へと引き上げる追い風となっています。
サステナブル・オーガニック市場との相性
インドでは「Organic India」をはじめ、オーガニックやサステナブルを打ち出したブランドが緑茶市場で成功を収めています。この背景には、富裕層や健康志向層の間で「環境に配慮した消費」を重視する意識が広がっていることがあります。
ここに日本産オーガニック抹茶を組み合わせれば、単に「美味しい・健康的」だけでなく「環境に優しい」という付加価値を提供できます。さらに、日本茶業界はトレーサビリティや産地ブランドの明確化に強みがあるため、インド市場においても高い信頼を勝ち取れる可能性が大きいでしょう。
中長期的に期待できる成長ポテンシャル
人口14億人を抱えるインドにおいて、抹茶市場はまだ黎明期に過ぎません。しかし、すでに都市部の若者や富裕層を中心に着実に浸透し始めており、教育やブランド構築が進めば爆発的な拡大が見込まれます。
特に、
- カフェ文化の発展
- ヨガ・ウェルネス産業との融合
- Eコマースによる全国的な販売網の拡大
といった要素は、抹茶がインド全土に広がる強力な後押しになります。
今後、日本企業が「本物の抹茶体験」を発信し続けることで、インド市場は日本茶輸出の次なる成長エンジンとなるでしょう。
課題と今後の展望

インドにおける抹茶市場は急成長が期待される一方で、克服すべき課題も少なくありません。価格や流通、認知度といった壁を乗り越えることが、今後の本格的な普及の鍵となります。
価格の高さと流通の制約
高品質な日本産抹茶は、輸入コストや関税の影響で一般消費者には高嶺の花となっています。インドの平均所得を考えると、カフェで提供される抹茶ラテは「特別な体験」として位置づけられ、日常的な消費にはつながりにくいのが現状です。
さらに問題となるのが流通インフラの未整備です。抹茶は品質保持のために低温管理が求められますが、インド国内ではまだ十分なコールドチェーンが整備されていません。そのため輸送中に品質が劣化しやすく、安定した供給が難しいという課題があります。
➡ 解決策としては、現地での小分け包装やティーバッグ化、あるいはインスタント抹茶製品の導入など、保存性と価格のバランスを考えた製品設計が重要になるでしょう。
認知度の低さと教育の必要性
インドでは、抹茶を「グリーンティーの粉末版」と誤解している消費者も少なくありません。実際に、「苦い」「飲みにくい」と感じる人もおり、本来の旨味や点て方を理解している人はまだ限られています。
そのため、教育的マーケティングが不可欠です。
- カフェでの「抹茶点て体験」イベント
- ヨガ・ウェルネス施設とのコラボによるワークショップ
- SNSを通じた正しい飲み方やアレンジレシピの発信
こうした取り組みを通じて、消費者が抹茶の魅力を「知る」から「楽しむ」へと移行できれば、リピーター層の拡大につながります。
日印間での新しいビジネスチャンス(OEM・D2C展開など)
課題がある一方で、ビジネスのチャンスも広がっています。特にオンライン市場は急速に拡大しており、Amazon.inやFlipkartといったECサイトを通じて抹茶を直接販売するD2Cモデルは有効です。ブランドが直接消費者とつながることで、価格競争に巻き込まれにくいポジションを築けます。
また、現地の食品メーカーと提携してOEMでローカライズ製品を展開する動きも注目されています。たとえば、抹茶入りチャイパウダーや抹茶スナック菓子といった「インドならではの商品」は、現地消費者に親しみやすく、普及を加速させる可能性があります。
➡ 今後は、日本企業が単に輸出するだけでなく、現地企業との協業による新しいカテゴリー創出が成功の鍵となるでしょう。
展望|課題を乗り越えた先に広がる可能性
価格・流通・認知度といった課題はありますが、それらを解決できれば、インド市場は間違いなく巨大な成長ポテンシャルを秘めたブルーオーシャンです。カフェやウェルネス市場との親和性、SNSを介した若者層への拡散力を武器に、抹茶は「紅茶文化の国インド」において新しいスタンダードになり得ます。
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まとめ|インド抹茶市場は“ブルーオーシャン”
インドでは、健康志向の高まりやカフェ文化の発展、SNSによる拡散効果を背景に、抹茶の人気が着実に広がっています。市場規模や認知度はまだ小さいものの、都市部の若者や富裕層を中心に「新しいライフスタイル飲料」として定着しつつあります。
一方で、価格の高さ・流通の制約・認知度の低さといった課題は残されています。しかし、それらを克服できれば、インドは14億人の人口を抱える巨大市場として、抹茶ビジネスにとって大きな成長ポテンシャルを秘めています。
紅茶の国であえて存在感を増している抹茶は、インドにおいてまさにブルーオーシャン。日本茶輸出の新たなフロンティアとして、今後ますます注目される市場になるでしょう。



