タイの抹茶事情|急成長するカフェ市場と健康志向が後押しする人気の秘密
タイではここ数年、抹茶が急速に人気を集めています。バンコクを中心に抹茶カフェが次々と誕生し、チェーン店から高級専門店まで幅広い層で愛される存在となりました。背景にはカフェ文化の盛り上がり、健康・美容志向の高まり、日本文化への関心といったトレンドがあり、抹茶は単なる飲み物を超えて「ライフスタイルの一部」として定着しつつあります。
本記事では、タイで抹茶が注目される理由や市場規模の最新動向、人気カフェやブランド事例、そして日本の抹茶ブランドにとってのビジネスチャンスを分かりやすく解説します。タイ市場における抹茶の現在地と将来性を知りたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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タイで抹茶が注目される背景

タイで抹茶人気が急速に高まっている背景には、若者文化・健康志向・日本文化ブームの3つが大きな要因としてあります。単なる一時的な流行ではなく、社会やライフスタイルの変化と密接に結びついているのが特徴です。ここでは、それぞれの要素を整理して解説します。
若者文化とカフェブーム
タイの都市部では、カフェ巡りが「日常の楽しみ」として定着しています。特にバンコクでは、サイアムやスクンビットといった繁華街に数多くのおしゃれなカフェが軒を連ね、若者が週末に訪れる定番スポットとなっています。
その中心にあるのが抹茶ラテや抹茶フラッペなどのドリンクです。鮮やかな緑色とフォトジェニックな盛り付けはInstagramやFacebookで映えるため、SNSでのシェアが爆発的に広がりました。実際にPantip.comのレビューランキングでも「抹茶ラテ」が41%と最も高いエンゲージメントを獲得しており、若者にとって「定番の一杯」となっています。
さらに注目すべきは、茶筅で目の前に点てて提供するカフェが人気を集めていることです。「飲むだけでなく、体験として楽しめる」ことが支持され、抹茶はカフェブームの中心的存在となっています。
健康志向・美容志向と抹茶の相性
COVID-19をきっかけに、タイでは健康やウェルネスへの意識が急速に高まりました。人々は「ただ美味しいから」ではなく、体に良い理由がある飲み物を選ぶようになっています。
その中で抹茶は、抗酸化作用やアンチエイジング効果が注目され、コーヒーに代わる健康的な選択肢として台頭しました。カテキンやテアニンによるリラックス作用、ゆるやかなカフェイン効果などが紹介されると、ダイエットや美容を意識する層からの支持が一気に拡大。
さらにSNSやYouTubeでインフルエンサーが「抹茶は美容に良い」「カロリー控えめでヘルシー」と発信することで、特にZ世代や20〜30代女性を中心に消費が加速しています。健康ブームと抹茶の相性の良さは、今後も成長を支える大きな柱となるでしょう。
日本文化・アニメや旅行の影響
タイでは、日本文化への親和性が非常に高いことも抹茶人気を後押ししています。訪日旅行で京都や宇治を訪れた経験がある人は少なくなく、「本場で味わった抹茶をもう一度楽しみたい」という声が強まっています。
また、アニメや映画に登場する茶道シーンを通じて「抹茶=日本文化の象徴」という認識も広がりました。実際に、京都の老舗茶舗や茶道体験イベントはタイの富裕層や若年層からも注目を集めています。
タイの人々にとって抹茶は、単なる飲料ではなく「日本を体感する手段」となりつつあります。茶筅や茶碗を用いた点前のパフォーマンスは「特別な体験」として評価され、文化的な価値を付加した形で消費を押し上げているのです。
タイの抹茶市場規模とトレンド

タイの抹茶市場は、ここ数年で驚くほどの拡大を見せています。従来は一部の日本食レストランや高級カフェに限られていた抹茶ですが、現在ではチェーンカフェやコンビニ、スーパーマーケットにまで広がり、「抹茶=誰もが親しめる飲み物」として定着しました。市場データやトレンドを整理すると、抹茶が単なる一時的ブームではなく、持続的な成長産業であることが分かります。
抹茶ドリンク市場の成長
抹茶ラテはタイのカフェメニューに欠かせない存在となり、SNS上でもっとも高いエンゲージメント率(41%)を記録しています。カフェチェーンの「Cafe Amazon」や「Inthanin」では、抹茶ドリンクが若者やオフィスワーカーの“定番ドリンク”として人気を博しています。
さらに、バンコクを中心に高級志向の抹茶専門カフェが登場したことで、「日常的に飲む抹茶」から「特別感のあるプレミアム抹茶」まで幅広い選択肢が揃いました。2024年末には、自宅で楽しむための抹茶パウダーが品薄になるほど需要が高まり、抹茶の消費シーンはカフェから家庭へと拡大しています。
抹茶スイーツ・ベーカリーでの需要拡大
飲み物だけでなく、抹茶スイーツやベーカリー商品も市場を大きく押し上げています。抹茶チーズケーキや抹茶ロールケーキ、抹茶アイスは「インスタ映え」と「ヘルシーな印象」を兼ね備えており、若年層を中心に人気です。
2023年以降、バンコクの大型モールでは「抹茶フェア」が相次いで開催され、平日でも行列ができる盛況ぶりを見せました。百貨店ブランドや大手製菓メーカーも次々と抹茶味の商品を投入しており、「抹茶=スイーツの定番フレーバー」として確固たる地位を築きつつあります。
価格帯・購買層の特徴
タイの抹茶商品は、幅広い価格帯で展開されているのも特徴です。
この二極化によって、抹茶は「日常的に楽しめる飲み物」であると同時に、「特別なプレミアム体験」としても消費されています。中心的な消費層はZ世代・ミレニアル世代ですが、健康志向を背景に30〜50代のシニア層にも需要が広がっており、世代を超えた市場拡大が進んでいます。
タイの人気抹茶カフェ・ブランド事例

タイの抹茶ブームを牽引しているのは、現地チェーンカフェ・日系抹茶専門店・小売流通の3つの分野です。いずれも異なるターゲット層を掴み、抹茶を「特別な一杯」から「日常的な飲み物」へと広げています。それぞれの事例を見ていきましょう。
現地チェーンカフェでの抹茶メニュー
タイ最大のカフェチェーン「Cafe Amazon」をはじめ、「FUKU Matcha」「Inthanin」などが抹茶メニューを定番化しています。これらの店舗は街中やショッピングモールに多く展開しており、学生やオフィスワーカーにとって手軽に飲める抹茶ドリンクの入り口となっています。
さらにStarbucksも抹茶フラペチーノや抹茶ラテを定番商品として提供し、若者層の“いつもの選択肢”に抹茶を浸透させました。特にフラペチーノ系の抹茶ドリンクは甘さ・ボリューム感・ビジュアルの良さが三拍子揃っており、SNS映えするドリンクとして人気です。こうしたチェーンの存在が、抹茶をタイ社会に広く普及させる原動力となっています。
日系抹茶専門店の進出
「辻利」「ナナズグリーンティー」といった日系ブランドは、本格派・高品質を武器に差別化を図っています。日本から直輸入された抹茶を茶筅で点てるスタイルは、タイ人にとって“特別感のある体験”として強く支持されています。
また、抹茶アフタヌーンティーや抹茶パフェといったプレミアムスイーツは、富裕層や中間層を中心に人気です。特に百貨店や大型モール内に出店している店舗は、「買い物帰りにちょっと贅沢な時間を楽しむ場所」として利用され、抹茶を文化的なライフスタイルアイコンへと押し上げています。
さらに、近年は現地ブランド「MTCH」や「SO! MATCHA」なども日本産抹茶を用いた高級志向の店舗を展開し、茶筅で点てるライブ感のあるサービスや抹茶スパークリングなどの創作メニューで人気を獲得しています。本格派×創造性の両立が、タイ市場ならではの発展を生み出しているのです。
スーパー・コンビニでの浸透
抹茶はカフェだけでなく、コンビニやスーパーの商品棚にも当たり前のように並ぶようになりました。セブンイレブンやFamilyMartでは抹茶味のお菓子やドリンクが販売され、若者や主婦層が日常的に手に取れる存在になっています。
特に大手飲料メーカー「イチタン」が発売した「静岡玄米茶 with 抹茶」は、広告塔に有名アスリートを起用するなど大規模なプロモーションで注目を集め、健康志向層を中心に大ヒットしました。こうした商品は「本格的な抹茶はまだハードルが高い」という層にアプローチし、抹茶を身近にする役割を担っています。
このように、タイではカフェ・専門店・小売の三位一体で抹茶市場が形成されており、それぞれが異なる消費シーンを支えているのです。
日本抹茶ブランドにとってのビジネスチャンス

タイ市場は、今後も拡大が期待される東南アジアの中心的拠点です。抹茶がカフェ文化に溶け込み、スーパーやコンビニにも浸透している今こそ、日本ブランドにとって大きなチャンスがあります。ここでは、具体的に注目すべきポイントを整理します。
高品質・本格派抹茶へのニーズ
タイではチェーン店の抹茶ラテが若者の日常に浸透している一方で、「本格的で純粋な抹茶を味わいたい」という層も着実に増えています。特に中間層以上や富裕層は、セレモニーグレード(茶道用の高品質抹茶)やオーガニック認証付きの抹茶に強い関心を示しています。
京都や宇治の老舗ブランドが期間限定で販売する商品は高い支持を集め、売り切れになるケースもあるほどです。こうした動きは、日本ブランドにとって「本場の品質」を前面に打ち出せる強みとなり、“プレミアム志向”の市場開拓につながります。
観光と結びついた茶道・抹茶体験
タイ人は訪日旅行で抹茶に触れる機会が多く、その経験が消費行動に直結しています。現地でも、旅行代理店や日本文化イベントと連携した「茶道体験」や「抹茶ワークショップ」が人気を集めています。
バンコクの抹茶カフェでは、茶筅で抹茶を点てるパフォーマンスを行うだけで行列ができるほどで、文化的価値と体験を組み合わせたアプローチがブランドの差別化につながります。日本ブランドが直接こうした体験型プロモーションを展開することで、単なる商品の販売ではなく「日本文化の担い手」としての地位を確立できるでしょう。
SNSマーケティングとKOLの活用
タイはFacebookやInstagram、TikTokの利用率が非常に高く、「SNSで話題になること」=売れることに直結します。特に抹茶は鮮やかな緑色や美しい盛り付けが映えるため、視覚的な拡散力が強い商材です。
健康・美容・ライフスタイル分野で影響力を持つKOL(Key Opinion Leader)やインフルエンサーとコラボすれば、短期間でブランドの認知度を高められます。実際に「#matchalatte」「#matchathailand」といったハッシュタグはエンゲージメントが高く、日本ブランドが積極的に参入する余地があります。
さらに、SNS発信とリアルイベントを組み合わせる「オンライン × オフライン戦略」を導入すれば、話題性と体験価値を同時に提供できる仕組みが作れるでしょう。
抹茶の最新トレンドをもっと知りたい方へ

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まとめ|タイは東南アジア抹茶拡大の中心市場
タイにおける抹茶人気は、若者文化・健康志向・日本文化の浸透が重なり合うことで、今や社会的なトレンドからライフスタイルの一部へと進化しています。カフェやスイーツ市場だけでなく、スーパーやコンビニといった日常的な場面にも抹茶が広がっていることから、その勢いは一過性のブームではなく、持続的な成長基盤に根ざしていることが分かります。
また、タイでは「体験型消費」や「SNSシェア文化」が強く、抹茶はその両方を満たす商材です。点てた瞬間の美しい緑色や和スイーツのビジュアルは拡散力が高く、ブランド認知を飛躍的に広げる力を持っています。さらに、訪日観光との結びつきや本格派志向の拡大も相まって、日本ブランドが本場の抹茶を届ける価値は今後さらに高まるでしょう。
つまり、タイ市場は日本ブランドにとって「品質と文化」を武器に挑戦できるフィールドであり、東南アジア全体への拡大に向けた戦略拠点となり得ます。今後の展開次第では、タイから世界へと広がる新しい抹茶カルチャーの中心地となることは間違いありません。


