ベトナム抹茶市場の現状と拡大

近年、ベトナムでは抹茶が若者を中心に一大ブームを巻き起こしています。ホーチミンやハノイのカフェでは、抹茶ラテやスイーツが定番メニューとなり、スーパーやECサイトでも抹茶商品が次々に登場。健康志向やSNS映えといった要素が追い風となり、都市部を中心に消費は急速に広がっています。

本記事では、ベトナムで抹茶が注目される理由・市場の最新データ・人気カフェ文化・家庭での楽しみ方を徹底解説します。さらに、日本ブランドにとってのビジネスチャンスも具体的に紹介。
「なぜベトナムで抹茶がここまで人気なのか?」を知ることで、アジア市場の新たな可能性が見えてきます。

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ベトナムで抹茶が注目される理由

ベトナムでは近年、抹茶が単なる流行を超え、一大ブームへと発展しています。その背景には、若者文化の台頭、健康志向や美容ニーズの高まり、そして日本文化やアジアトレンドの波及といった複数の要因が複雑に絡み合っています。ここでは、その具体的な理由を整理し、ベトナム人がなぜ抹茶にこれほど熱中しているのかを紐解きます。

若者文化とカフェブームの影響

ホーチミンやハノイといった都市部では、カフェ文化が若者のライフスタイルに深く根付いています。特にZ世代やミレニアル世代にとって、カフェは単なる飲食の場ではなく、SNSに投稿する「映える」写真を撮る場所でもあります。その中で鮮やかな緑色の抹茶ラテや抹茶スイーツは、他のドリンクにない存在感を放っています。

大手チェーンの The Coffee HouseHighlands Coffee では、抹茶を使った新商品が次々に登場し、都市部のあらゆるカフェで抹茶がメインメニュー化。さらに、路地裏の専門店では茶筅を使った本格的な抹茶体験まで提供され、「抹茶=おしゃれで洗練されたライフスタイル」という新しいイメージが若者に定着しています。

健康志向・美容志向の高まり

近年、ベトナムの都市部では健康や美容への関心が急速に高まっています。抹茶はそのニーズに完璧にマッチする存在です。抗酸化作用のあるカテキンや、リラックスを促すテアニンを豊富に含む抹茶は、「飲むだけで健康や美しさをサポートできるスーパーフード」として注目されています。

また、コーヒーよりも穏やかに覚醒効果を得られる点も評価されています。カフェインに敏感な人や、長時間の勉強・仕事を効率よくこなしたい人にとって、抹茶は理想的な代替ドリンクです。特に美容やダイエットに敏感な若い女性層の間で、「美味しくて体に良い」抹茶ドリンクが日常的に選ばれるようになっています。

日本文化・アジアトレンドの波及

抹茶人気を語る上で、日本文化の影響は欠かせません。日本のアニメや観光コンテンツを通じて「抹茶=日本らしさの象徴」という認識が強く広がっており、日本旅行の経験者が現地でも抹茶を選ぶケースが増えています。

さらに、台湾や韓国といった近隣アジア諸国でも抹茶ブームが進行しており、そのトレンドがベトナムに波及。「アジアのライフスタイルをリードする存在=抹茶」というイメージが強まり、単なる一時的な流行ではなく、文化的に根付いた消費行動へと変化しています。

ベトナム抹茶市場の現状と拡大

ベトナムにおける抹茶市場は、ここ数年で一気に成長を遂げています。かつては一部の高級カフェや輸入食品店でしか見られなかった抹茶が、今や日常的な飲み物・食材として広がりを見せているのです。統計データや消費動向をもとにすると、その成長のスピードと規模の大きさがより明確になります。

輸入量・市場規模の推移

世界全体の抹茶市場は2024年に42億5,000万ドル(約6,300億円)に達し、年平均成長率も約9.5%と高水準を維持していますその中でもベトナムは特に急成長しており飲食業界の調査では「2024年に最も注目するメニュー」として抹茶が全体の29.6%を占め、トップに選ばれました。

これは、従来の「甘いお茶」や「砂糖入りコーヒー」から、より健康的で洗練された選択肢へのシフトを示しています。ベトナムの消費者は「手頃な価格で日常的に楽しむ抹茶」と「特別なシーンで選ぶ高品質な抹茶」の両方を求める傾向にあり、市場全体の二極化が進んでいるのも特徴です。

スーパー・コンビニ・オンライン販売の普及

抹茶の消費拡大を支えるのは、都市部を中心に普及する流通チャネルの多様化です。ShopeeやTikTok ShopといったECプラットフォームでは、2024年1月〜2025年6月の期間に2,264億ドン(約14億円)以上の抹茶関連商品が購入されました。特に20代・30代の若者層がオンラインで購入する傾向が強く、日常的な消費スタイルに溶け込んでいます。

さらに、VinMartやCircle Kなどのスーパー・コンビニでも、抹茶ラテや抹茶スティック飲料が棚の定番商品となり、家庭や職場で気軽に楽しめる環境が整いつつあります。「カフェで飲む特別な抹茶」から「いつでも買える身近な抹茶」とポジションが変化している点は、今後の市場成長を後押しする大きな要素です。

日本産抹茶と現地ブランドの競合

品質の高さで評価される日本産抹茶は、依然として「プレミアム抹茶」の代名詞です。EC市場だけでも880億ドン(約5.5億円)の売上を記録しており、富裕層やこだわり派の消費者に強い支持を得ています。

しかし一方で、価格競争力を持つ台湾産やベトナム産の抹茶もシェアを拡大中です。ベトナム国内では、ラムドン省やバオロクといった茶産地で抹茶用の茶葉生産が進み、品質改善のための設備投資や技術導入が行われています。これにより、輸入依存から脱却しつつ、「安定供給と手頃な価格」を武器にした現地ブランドが台頭し始めています。

この構図は、「品質で選ばれる日本」「価格と供給力で伸びる現地産・台湾産」という競争の形を生み出しており、今後は差別化戦略がますます重要になるでしょう。

ハノイ・ホーチミンを中心とした抹茶カフェ文化

ベトナムの抹茶ブームを牽引しているのは、都市部を中心に広がるカフェ文化です。特にホーチミンやハノイでは、抹茶を取り入れた多彩なメニューが次々と登場し、若者のライフスタイルの一部として定着しています。伝統的な抹茶の点て方から、現地ならではのアレンジドリンクまで、幅広いスタイルで楽しまれているのが特徴です。

人気抹茶カフェの事例

ホーチミン市の「Một Bát Trà – Matcha Houjicha Premium」は、2024年のオープン以来、若者の間で高い人気を誇るカフェです。ココナッツやマンゴーと抹茶を組み合わせたドリンクは、ここでしか味わえない独創的なメニューとして話題になっています。

また、タンフー区にある「Daudo Cafe」では、茶筅で抹茶を点てる本格的なサービスを提供。内装に和の要素を取り入れ、日本庭園を模した装飾が施されるなど、“体験型の抹茶カフェ”として注目されています。こうした店舗は、単なる飲食の場を超え、抹茶を楽しむための特別な空間=“聖地”として愛されています。

抹茶スイーツ・抹茶ラテの多彩なメニュー

ベトナムのカフェは創造性に富んでおり、抹茶をベースにした多彩なメニューを展開しています。ケーキやティラミスといった定番スイーツに加え、バナナプディングやコーンミルクを組み合わせた斬新な抹茶スイーツも人気です。

特に注目されているのが、「抹茶×ココナッツ」や「抹茶×エッグクリーム」といった現地ならではの食材との組み合わせです。日本ではあまり見られない大胆なアレンジが、消費者に“新しい発見”をもたらし、リピーターを増やしています。これにより、抹茶は「伝統と革新が共存するドリンク」として幅広い層に受け入れられているのです。

SNSとインフルエンサーによる拡散力

抹茶ブームを支えているもう一つの大きな要素は、SNSでの発信力です。InstagramやTikTokでは、「#MatchaVietnam」「#抹茶ラテ」といったハッシュタグ付きの投稿が急増。美しいラテアートや鮮やかな緑色のドリンクは“映える写真”として拡散されやすく、インフルエンサーによるカフェ巡り動画も相まって人気を加速させています。

このSNS発信が若者にとっての「行きたいカフェリスト」を作り出し、実際の来店行動へと直結しています。つまり、ベトナムにおける抹茶ブームは、リアル店舗とデジタル文化が相乗効果を生んで成長しているといえるでしょう。

家庭で広がる抹茶の楽しみ方

ベトナムにおける抹茶人気は、カフェシーンにとどまりません。都市部を中心に、家庭で気軽に楽しむ文化が根付きつつあります。その背景には、DIY文化の定着・ECサイトの拡大・利便性の高い商品開発といった要素があります。カフェでの“特別な一杯”から、日常生活に寄り添う“身近な抹茶”へと進化しているのです。

DIY抹茶ラテ・スムージーの流行

自宅で手軽にカフェ気分を味わえる「DIY抹茶ラテ」や「抹茶スムージー」が大きなトレンドになっています。粉末抹茶を牛乳や豆乳と混ぜるだけで本格的な抹茶ラテが完成し、さらにバナナやマンゴーなどのフルーツを加えればスムージーに早変わり。

SNS上には「自宅で作る抹茶レシピ」が数多く投稿され、若い女性や学生を中心に支持を集めています。特にShopeeやTikTok Shopで購入できる小容量パックやお試しサイズの抹茶パウダーは、初めての人でも手を伸ばしやすく、DIY人気を後押ししています。

ベーカリー・スイーツでの抹茶活用

家庭での抹茶消費を牽引しているのが、スイーツ作りに使う抹茶パウダーです。2024年には製菓用抹茶だけで1,700億ドン(約10.6億円)の売上を記録し、家庭での利用が確実に広がっていることを示しています。

ベトナムでは、パンやケーキ作りを趣味とする人が増加しており、抹茶は“ちょっと特別感を出せる素材”として人気です。抹茶クッキーや抹茶マフィンはもちろん、現地食材と組み合わせた抹茶×ココナッツケーキ抹茶×マンゴープリンなど、オリジナリティあふれるレシピが次々に誕生しています。こうした家庭発のアレンジは、カフェメニューにも逆輸入されるほど注目されています。

ティーバッグ・スティック製品の普及

一方で、もっと手軽に抹茶を楽しみたい層にはティーバッグやスティックタイプの抹茶が人気です。お湯やミルクに溶かすだけで簡単に飲めるため、オフィスや外出先でも重宝されています。

スーパーの常温棚やコンビニでも取り扱いが増え、オンラインではまとめ買いが主流に。こうした利便性の高い商品は、忙しい都市生活者の需要を満たし、抹茶の裾野を大きく広げています。特に若い世代にとって「抹茶=手間のかかる飲み物」というイメージが薄れ、「抹茶=日常的に楽しめるドリンク」へと進化している点が大きな特徴です。

日本の抹茶ブランドにとってのビジネスチャンス

ベトナム市場はここ数年で急速に成長し、今後も拡大が見込まれています。こうした環境は、日本の抹茶ブランドにとって大きなチャンスとなります。とくに「高品質・ブランド力・文化的価値」を強みにした戦略は、現地での差別化に直結します。

高品質・プレミアム抹茶の需要

ベトナムの消費者は、「日本産=高品質」という強い認識を持っています。儀式用のセレモニアルグレードから、家庭向けのプレミアムグレードまで幅広い層にニーズが存在し、とくに“特別な一杯”に価値を見出す富裕層や健康志向の高い層は、価格よりも品質を重視します。

実際、ECサイトにおける日本産抹茶の売上は880億ドン(約5.5億円)に達しており、現地や台湾産抹茶との差別化に成功しています。つまり、日本ブランドが「高級感」と「文化的ストーリー」を武器にすることで、競争の中でも揺るぎないポジションを確立できるのです。

健康・サステナブル訴求の効果

抹茶はウェルネスやサステナビリティの文脈と非常に親和性が高い飲み物です。抗酸化作用やリラックス効果といった健康メリットに加え、オーガニック栽培・無農薬・環境配慮型の生産方法を打ち出せば、現地の若い世代やエシカル消費に敏感な層から支持を集めやすくなります。

さらに、サステナブル訴求は「日本茶ブランド=安心・信頼」という既存のイメージを補強し、長期的なブランド価値の向上にもつながります。健康と環境を同時に訴えることで、価格競争に巻き込まれず、独自のポジションを築けるのです。

現地企業とのコラボレーション事例

日本ブランドが現地カフェや食品企業と提携する動きも増えています。例えば、日系カフェチェーンがベトナム市場向けに「抹茶×ココナッツ」や「抹茶×マンゴー」といった限定メニューを開発すれば、現地の味覚に合致しつつ「日本品質」を体感できる仕掛けとなります。

また、スーパーマーケットやEC大手と組んだ共同キャンペーンや、インフルエンサーを起用したプロモーションは、話題性と拡散力の両面で効果的です。ベトナム特有の創造性と日本の品質を組み合わせることで、新しい需要を開拓し、“日本ブランドだからこそ提供できる特別な体験”を実現できます。

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まとめ|ベトナム抹茶市場は成長の最前線

ベトナムにおける抹茶ブームは、単なる流行ではなく社会的な価値観の変化とライフスタイルの進化を映し出しています。若者文化とカフェブーム、健康・美容への意識、そして日本文化やアジアトレンドの波及が重なり合い、抹茶は都市部を中心に日常生活へと深く浸透しました。

市場規模は年々拡大し、カフェから家庭、さらにオンラインへと消費の場は広がっています。日本産抹茶は「高品質の代名詞」として確固たる地位を築いていますが、ベトナム産や台湾産との競合も激化しており、今後は「本物志向」と「手軽さ」の二極化がさらに進むと考えられます。

日本ブランドにとっては、プレミアム市場をリードするだけでなく、現地とのコラボレーションやサステナブルな取り組みを強化することで、より広い層に浸透するチャンスがあります。

つまり、ベトナムは東南アジアにおける抹茶拡大の最前線であり、この市場をどう攻略するかが、日本ブランドのグローバル戦略において大きな意味を持つのです。

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