ドイツの抹茶事情|健康志向とオーガニック文化が支える新市場
ヨーロッパの中でも特に「オーガニック文化」と健康志向が根付くドイツでは、いま抹茶が新たなブームを迎えています。
ベルリンやミュンヘンでは抹茶ラテや抹茶スイーツを提供するカフェが急増し、スーパーでは有機認証の抹茶パウダーが並ぶほど。
抹茶はもはや一時的な流行ではなく、「ウェルネス×サステナビリティ×日本文化」を象徴する存在として定着しつつあります。
本記事では、以下を詳しく解説しています。
- ドイツで抹茶が人気を集める理由
- 現地市場の拡大状況とカフェ文化の実態
- 家庭での新しい楽しみ方
- そして日本ブランドに広がるビジネスチャンス
“ドイツの抹茶ブーム”の裏側と、その持続的な成長の理由を一緒に探っていきましょう。
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ドイツで抹茶が注目される理由

ドイツで「抹茶」が注目され始めたのは2010年代前半。
当初は一部の健康志向層に支持されていましたが、現在ではベルリンやミュンヘンなどの都市部を中心にカフェの定番メニューとして定着しました。
その背景には、ドイツ社会全体に広がる健康志向・オーガニック文化・日本文化への関心という3つの大きな潮流があります。
これらが交差することで、抹茶は単なる“流行のグリーンドリンク”ではなく、ウェルネスライフスタイルの象徴として広がっているのです。
健康志向・ウェルネスライフスタイルの定着
ドイツでは古くから「健康は自己責任」という価値観が強く、ハーブティーやオーガニック食品が日常的に親しまれています。
そこに登場した抹茶は、ナチュラルで機能性の高い健康飲料として受け入れられました。
抹茶に含まれるポリフェノール(カテキン)は抗酸化作用、テアニンはリラックス効果、ビタミンEは血流改善が期待されるなど、ドイツ人が求める「内側から整える」健康理念と一致しています。
特にヨガや瞑想といったマインドフルネス文化と相性が良く、「抹茶と瞑想」をテーマにしたワークショップがミュンヘンで開催されるなど、心身のバランスを整える飲み物として注目されています。
コーヒーに代わるカフェイン源としても人気が高く、“穏やかに覚醒できる飲み物”という新しいポジションを確立しつつあります。
オーガニック・サステナブル文化との親和性
ドイツはEUの中でもオーガニック市場が最も成熟した国の一つです。
「Bio(ビオ)」「Nachhaltigkeit(サステナビリティ)」という言葉が生活のあらゆる場面に浸透し、食品選びでも環境・生産者への配慮が重要視されています。
そのため、有機JASやEUオーガニック認証を持つ抹茶は高く評価され、オーガニック系スーパー(AlnaturaやDenn’s Biomarktなど)では常に人気商品。
また、リサイクル素材を用いたパッケージや、カーボンニュートラルな製造を打ち出すブランドも支持を集めています。
抹茶が「環境にも体にも優しいグリーンパウダー」として受け入れられているのは、単なる健康トレンドではなく、倫理的消費(Ethical Consumption)の延長線上にあると言えるでしょう。
日本文化と“ティーセレモニー”への関心
もう一つの大きな要因は、日本文化そのものへの深い興味です。
アニメや和食に続き、茶道を通じた「静寂」「調和」「美意識」への憧れが広がっています。
抹茶を点てる所作や茶筅(Chasen)の美しさ、茶碗のデザインなどは、“ミニマルアート”としての美しさも評価されています。
ベルリンやハンブルクでは、日本人講師による茶道体験イベントやワークショップが定期的に開催され、参加者の多くはドイツ人。
「忙しい日常から離れて心を整える時間」として、茶道がウェルネス体験の一環として人気を得ています。
このように、健康・環境・文化という3本柱が有機的に結びついたことで、抹茶はドイツ社会において“新しいライフスタイルの象徴”として定着したのです。
ドイツ抹茶市場の現状と拡大

ドイツにおける抹茶市場は、この10年で確実に成長を遂げています。
農林水産省の統計によると、日本からの「粉末茶(抹茶を含む)」輸出先のうち、アメリカ・台湾に次いでドイツが第3位。
EU圏内では最大の消費国となっており、抹茶は“健康志向と文化価値の両立ドリンク”として確固たる地位を築きつつあります。
背景には、健康・美容需要の高まりと、オンライン流通の拡大があり、コロナ禍を経てドイツの消費者が「家庭で抹茶を楽しむ」ライフスタイルを受け入れたことが市場拡大を後押ししています。
抹茶輸入・販売の推移(EU圏の中でも注目度上昇)
ドイツで抹茶が一般に知られるようになったのは、2012年ごろ。
当時、健康系メディアやティー専門店が「Matcha=スーパーフード」として紹介したことがきっかけでした。
その後、InstagramやTikTokの“抹茶ラテ動画”の拡散を機に、若年層にも人気が波及。
特に2020年代に入ってからは、免疫力向上・美容効果を意識した消費が増え、コロナ禍以降は“おうちウェルネス”の象徴として定着しています。
オーガニック輸入業者による日本産有機抹茶(Bio-Zertifikat取得品)の取扱量は年々増加しており、EUのオーガニック市場全体の拡大とも歩調を合わせています。
スーパー・ドラッグストア・オンライン販売の増加
抹茶はすでに“特別な商品”ではなく、日常に手に取れる健康食品へと進化しました。
大手ドラッグストア「dm」やスーパー「REWE」「EDEKA」では、Bio認証を受けた抹茶パウダーが常設コーナーに並びます。
価格帯は30gで約10ユーロ(1,600円前後)と決して安価ではありませんが、それでもリピーターが増加しており、品質への信頼が根付いていることが分かります。
さらにAmazon.deではスティックタイプやティーバッグ抹茶が人気上位にランクイン。
「Matcha Set」「Matcha Starter Kit」などの検索数も伸びており、初心者層が家庭で抹茶を点てる文化が拡大しています。
また、ドイツ人の栄養士やインフルエンサーがSNSで「抹茶スムージー」「抹茶プロテインバー」などのレシピを紹介し、“健康×映え”トレンドとして消費を牽引しています。
日本ブランドと欧州ブランドの競争状況
現在のドイツ市場では、「本格派の日本ブランド」と「カジュアルな欧州ブランド」が共存する形で拡大しています。
- 日本勢は「宇治」「西尾」など産地ブランド力と品質の高さで信頼を獲得。
- 一方、現地ブランドは「オーガニック」「フェアトレード」「お手頃価格」を前面に打ち出し、スーパーを中心にシェアを伸ばしています。
代表的なブランドには、ドイツの人気ドラッグストアが展開する「DM Bio Matcha」、老舗ティーブランド「TeaGschwendner(ティーグシュヴェンドナー)」、オーストリアの「Sonnentor(ゾネントア)」などがあります。
これらは「便利で毎日使えるマッチャ」をテーマにし、消費者のライト志向ニーズを的確に捉えています。
結果として、現在のドイツ市場は
- “文化的・高品質志向のプレミアム層”(日本ブランド)
- “健康・手軽さ重視のカジュアル層”(欧州ブランド)
の二層構造に分かれ、抹茶が多様な層に支持される成熟段階へと進化しています。
ベルリン・ミュンヘンを中心とした抹茶カフェ文化

ドイツの都市部では、抹茶がもはや“異国の飲み物”ではなく、トレンドドリンクの象徴として定着しました。
ベルリン・ミュンヘン・ハンブルクなど感度の高いエリアでは、コーヒーやエスプレッソに並ぶ選択肢として「抹茶ラテ」が人気を集めています。
背景には、SNS映えするビジュアル、健康志向の高まり、そして「日本文化=洗練」のイメージが融合したことがあります。
いまドイツの若者にとって抹茶は、“おしゃれでクリーンなライフスタイル”を象徴するキーワードになりつつあるのです。
人気抹茶カフェの事例(ベルリン・ハンブルクなど)
ベルリンでは、日本人オーナーが営む「Matcha Komachi」や「Kame Japanese Bakery」が人気。
抹茶ラテや抹茶ケーキだけでなく、おにぎり・どら焼き・和菓子など日本の軽食も提供しており、異文化体験の場として観光客にも支持されています。
また、ドイツ人オーナーが運営するモダンカフェ「Goodies Café」や「Daluma」でも抹茶を使用したスムージーやスイーツが登場し、“日本×ウェルネス”の融合が進んでいます。
ミュンヘンでは日本人パティシエが手がける「たんぽぽカフェ」が注目の的。
抹茶ミルフィーユや抹茶シュークリームなど本格スイーツを提供し、地元メディアでも「日本品質の抹茶デザート」として紹介されました。
さらに、ハンブルクやデュッセルドルフなど日本人居住者の多い都市でも抹茶専門カフェが増えており、現地ローカルが日常的に抹茶を楽しむ光景が珍しくなくなっています。
抹茶ラテ・抹茶スイーツ・ビーガン対応商品の拡大
スターバックスをはじめ、ドイツ全土で「Matcha Latte mit Hafermilch(オーツミルクの抹茶ラテ)」が定番メニューに。
植物性ミルク(オーツ・アーモンド・ソイ)と相性が良いため、ビーガン層や乳糖不耐症の人々にも選ばれています。
また、カフェでは抹茶ティラミス・抹茶チーズケーキ・抹茶ドーナツなどが続々登場。
乳製品や精製糖を控えたヴィーガン対応抹茶スイーツが特に人気で、
「罪悪感のないご褒美(Healthy Indulgence)」としてドイツらしい“サステナブルな甘味文化”を形成しています。
さらに、グルテンフリーやラクトースフリー対応など、アレルギー配慮商品としての需要も高く、抹茶が健康志向スイーツの定番素材として定着しているのが特徴です。
SNSと観光客による拡散効果
抹茶ブームをさらに加速させたのが、SNSを通じた“フォトジェニック文化”です。
InstagramやTikTokでは「#MatchaBerlin」「#MatchaLoverGermany」などのハッシュタグ投稿が増加。
鮮やかなグリーンのドリンクやスイーツ写真は「クリーンで美しいドイツの新トレンド」として拡散され、
ベルリンのカフェ巡りは“抹茶スポット探し”と同義になるほどの人気です。
観光客が「ベルリンで飲んだ抹茶ラテ」や「日本人バリスタの点てる抹茶」を投稿することで、
観光×SNS×抹茶文化が連鎖的に広がり、海外からの訪独旅行者にとっても“抹茶体験”が旅の定番になっています。
こうしてドイツのカフェシーンでは、
抹茶=美味しさと美意識を両立する文化的ドリンク
という新しいポジションが確立されつつあるのです。
家庭で広がる抹茶の楽しみ方

カフェにとどまらず、ドイツでは家庭でも抹茶を楽しむ人が増えています。
背景には健康・美容志向とおうち時間の充実があります。
DIY抹茶ドリンク・スムージーの流行
YouTubeやPinterestでは、抹茶スムージーや豆乳抹茶ラテのレシピが多数シェアされています。
「ミルク+抹茶+はちみつ」で作る簡単“モーニング抹茶”は特に人気です。
コーヒーの代替としてカフェイン量をコントロールできる点も評価されています。
抹茶スイーツ・ベーカリー・ミューズリーへの活用
ケーキやクッキーだけでなく、グラノーラやミューズリーに抹茶を混ぜる健康的アレンジも定番化。
「抗酸化パウダー」として抹茶をトッピングするスタイルが女性層に広がっています。
オーガニック認証ティーバッグ・スティック商品の人気
茶筅を使わず手軽に楽しめるティーバッグ型抹茶やスティック抹茶が売上を伸ばしています。
「Clipper」や「Pukka」など欧州ブランドも抹茶ブレンドを展開し、抹茶が“日常の一杯”になる流れが進行中です。
日本ブランドにとってのビジネスチャンス
ドイツ市場は、品質・文化・サステナビリティの3軸で勝負できる可能性を秘めています。
プレミアムグレード・有機認証抹茶への需要
ドイツでは「Bio認証」が購入判断のカギ。
有機JASやEUオーガニック認証を持つ日本産抹茶は高価格でも選ばれる傾向があります。
特に京都・宇治・西尾といった産地ブランドの訴求力が強く、ギフト需要も拡大中です。
健康・美容・サステナブル訴求の相性
ドイツではサプリメント市場も盛んで、「内側から整える」考え方が根付いています。
抹茶はその価値観と合致し、美容・デトックス・集中力アップといった機能性訴求が効果的です。
また、リサイクル素材のパッケージやフェアトレード表示も重要な差別化要素となります。
現地コラボ・専門店展開の可能性
日本ブランドがドイツのパティスリーやカフェとコラボし、“文化体験型カフェ”を展開する動きも期待されます。
特にベルリンのカフェカルチャーは感度が高く、日本茶体験とアート・デザインを融合した店舗は現地メディアでも注目されるでしょう。
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まとめ|ドイツの抹茶市場は“ウェルネスとサステナビリティ”の象徴
ドイツにおける抹茶人気は、単なる流行を超えて「健康・文化・環境の調和」を象徴する存在になりつつあります。
抹茶ラテやスイーツの広がりから家庭での定着まで、その浸透度は欧州随一。
今後は“ウェルネス×サステナブル×ジャパニーズカルチャー”を融合した新しい市場が形成されるでしょう。



