韓国の抹茶事情|デザート文化とウェルネス需要がつなぐ“第3の抹茶市場”
韓国の抹茶市場を徹底解説。デザートカフェ文化×ウェルネス志向で拡大する需要、流通チャネル(カフェ・コンビニ・EC)、国産抹茶と輸入抹茶の競合、商品・マーケティングの最新トレンド、規制・表示の留意点、参入チェックリストまでを網羅します。
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韓国の抹茶市場概況|デザート×ウェルネスで拡大

韓国ではここ数年、抹茶が単なる和風フレーバーではなく、日常的に選ばれるライフスタイル飲料として存在感を増しています。火付け役となったのは、ソウルの弘大やカロスキルといった若者の街で人気を集めたカフェメニュー。鮮やかな緑色の抹茶ラテや抹茶ケーキ、ティラミスが“映えスイーツ”としてInstagramに多数投稿され、「#말차(マルチャ=抹茶)」の検索数が急上昇しました。特に韓国では、新メニューの展開スピードが日本よりも早く、季節限定が定番化するサイクルが短いことが特徴です。SNSで話題になると、わずか数週間で大手カフェチェーンやコンビニPB商品に採用されることも珍しくありません。
さらに近年は、ウェルネス志向の高まりが追い風になっています。砂糖控えめ・低カロリー設計、オーツミルクやアーモンドミルクといったプラントベースの選択肢、さらには朝活や勉強前にカフェインを摂る「モーニングルーティン」としての抹茶ラテが支持され、飲料としての地位を確立しつつあります。韓国の若者はカフェイン量を意識する傾向が強く、コーヒーよりもやさしい覚醒感を得られる抹茶が「健康的な集中ドリンク」として評価されているのです。
結果として、韓国市場における抹茶は“嗜好品”と“機能性飲料”の中間ポジションを獲得。美味しさと健康イメージを両立した飲料として、コーヒー・紅茶・バブルティーに次ぐ“第3の選択肢”になりつつあります。
需要を押し上げる3つの背景
デザートカフェ文化の進化
韓国では新メニュー開発のスピードが速く、抹茶は季節限定から短期間で定番化。ロールケーキやパフェなど多層スイーツとの相性が良く、リピーターを生みやすい。
健康・美容志向の高まり
コーヒーの代替として選ばれるほか、プロテイン・コラーゲン配合ドリンクも登場。抹茶=美容・ダイエットに良いという認識が拡大。
SNS発信力
抹茶の鮮やかな色や泡立ちの美しさはショート動画と相性抜群。「層がきれいに見えるラテ」「撮りたくなるスイーツ」がトレンド化し、消費行動を加速。
流通チャネルの実態|カフェ・コンビニ・ECが主戦場

韓国の抹茶市場は、まずカフェ文化を起点にブームが広がり、コンビニPB商品やECに波及しました。都市部では「まずカフェで試す→気に入れば自宅用に購入」という購買行動が一般的で、来店型の体験と家庭内需要の両方を押さえることが売上拡大のポイントになっています。
カフェ|新商品の実験場
ソウル・江南や弘大の人気カフェ「Osulloc(オソルロク)」や「Cafe Knotted」では、抹茶ラテや抹茶ティラミスがSNSで大ヒット。特にOsullocは済州島の自社農園で栽培したてん茶を使い、鮮度とストーリー性を武器にしています。韓国のカフェは新商品投入のスピードが早く、トレンドが生まれると数週間で複数チェーンが追随する「メニューブーム現象」が発生します。これが抹茶を短期間で“定番化”させる大きな要因です。
コンビニRTD|日常導入の入り口
若者が気軽に試せるのが、GS25やCU、7-Elevenで販売されるRTD(Ready to Drink)タイプの抹茶ラテや抹茶ミルクです。価格は2,000〜3,000ウォン(約220〜330円)と手頃で、学校や会社帰りに「ちょっと一杯」の感覚で購入されます。さらに、季節限定やコラボパッケージを展開することでSNS投稿が促され、カフェに行かない層にも認知が広がります。
ECチャネル|まとめ買いとギフト需要
韓国のオンライン市場では、NAVERショッピングやCoupangが強力な販売チャネル。粉末抹茶やギフトセット、業務用大容量パックが人気です。韓国ではレビュー文化が非常に根強く、星評価や写真付きレビューが購買行動に大きく影響します。特に粉末抹茶は「泡立ち」「色」「味の濃さ」に関する具体的レビューが多く、信頼できるブランドが選ばれやすい傾向にあります。
このように、韓国ではカフェ→コンビニ→ECの三層で購買が広がり、相互に需要を喚起する構造ができあがっています。ブランド側は、カフェでの体験とECでのリピート購入をシームレスにつなぐ設計が求められます。
競合環境|国産抹茶 vs 輸入抹茶(日本・中国)

韓国市場では、済州島産の国産抹茶と輸入抹茶(日本・中国)が用途別に棲み分けされています。結論として、「鮮度とストーリー重視の国産」「安定供給と品質バリエーション重視の輸入」という住み分けが成立しており、ブランド戦略上もこの二軸をどう活かすかが重要です。
国産抹茶の特徴とポジション
韓国の国産抹茶は主に済州島で栽培されるてん茶を原料にしており、代表ブランドはOsulloc(オソルロク)です。済州島は火山灰土壌と温暖な気候が特徴で、茶葉の生育に適しているため、鮮度の高い抹茶が得られます。
国産抹茶は「韓国産」「済州島産」と明確に産地を打ち出せることから、観光地での体験型ショップやギフト需要と相性が良いのが強みです。旅行客がその場で飲んだ味をお土産として購入する流れができており、体験と購買をセットで訴求できます。
一方で、供給量の制約とコスト高が課題です。てん茶生産面積は日本や中国と比べるとまだ限定的で、大手カフェチェーンで大量展開する場合には供給量が追いつかないケースもあります。また、生産コストが高いため、最終製品価格もやや高めになる傾向があります。
輸入抹茶(日本・中国)の活用と役割
韓国の多くのメーカーやカフェは、用途に応じて日本や中国から抹茶を輸入しています。
- 日本抹茶
- 宇治・西尾などの産地から輸入される抹茶は、グレードの選択肢が豊富で、色・香り・泡立ちの再現性が高いため、特に高級スイーツやドリンクメニューで好まれます。スターバックス韓国の「抹茶ラテ」も日本産原料を使うことで、安定した品質を確保しています。

- 中国産抹茶
- コスト面で優位性があり、アイスクリームやベーカリーなど大量生産用の原料として重宝されています。発色の良さを重視する用途では、価格と色味のバランスを取るために採用されるケースが多いです。

結果として、韓国市場では国産=ストーリーと体験価値、輸入=安定供給と多用途対応という形で棲み分けが進み、ブランド側は用途・価格帯・ターゲットに応じたブレンドや調達戦略を選択しています。
プロダクトトレンド|抹茶ラテ・スイーツ・高たんぱく商品が三本柱
韓国市場では、「飲む」「食べる」「機能性」の3軸で抹茶商品が進化し続けています。単なるフレーバーとしての抹茶ではなく、体験価値と健康価値を両立させた商品設計が主流になりつつあります。
ドリンク分野|抹茶ラテの多様化とプラントベース対応
抹茶ラテは韓国のカフェメニューの中でも定番化が進んでおり、甘さの調整やトッピングの選択ができるのが当たり前になっています。フォームミルクを厚めにして層を際立たせたり、チーズフォームや黒糖シロップを追加してSNS映えする見た目を演出するカフェも増えています。
さらに、オーツミルクやアーモンドミルクを選べるプラントベース対応も拡大。乳製品アレルギーやビーガン層にとっても「飲める抹茶ラテ」が身近になり、潜在的な需要が広がっています。
スイーツ分野|多層・濃度差・“映える断面”
スイーツ分野では、抹茶ロールケーキやタルト、パフェといった層構造を活かした商品が人気。韓国では断面映えがSNS投稿の重要要素であるため、「二層抹茶ティラミス」や「抹茶+黒ごま+チーズ」の3層パフェなど、視覚的に楽しめるスイーツがヒットしています。さらに、濃度別に抹茶感を選べる「濃い抹茶シリーズ」や「抹茶2倍」メニューも登場し、リピーターを獲得しています。
機能性アプローチ|健康志向と差別化
最近では、抹茶にプロテインやコラーゲン、乳酸菌などを配合した“機能性抹茶”が登場。筋トレ後に飲める「プロテイン抹茶ラテ」や、腸活を意識した「乳酸菌入り抹茶」が若年層・女性層を中心に人気です。また、カフェインを抑えた“デカフェ抹茶”や韓方素材(ナツメ・高麗人参など)をブレンドしたメニューも話題になり、抹茶が単なる甘味料から“健康提案型飲料”へと進化しています。
マーケティングの勘所|Instagram×NAVER×YouTubeの三位一体戦略

韓国の消費者は、発見→検証→購入の流れが非常に明確です。まずInstagramやTikTokでトレンドを見つけ、NAVERブログやカフェレビューで情報を検証し、納得したらECや実店舗で購入する——この行動パターンが多くの抹茶ブランドに共通しています。したがって、マーケティング設計ではチャネルごとに役割を分担させ、シームレスに導線をつなぐことが重要です。
SNS戦略|Instagram・TikTokで“発見”を作る
韓国ではInstagramのリール動画やTikTokがトレンド発生源です。ハッシュタグ「#말차」「#抹茶」「#抹茶라떼」で検索される投稿は、色・層・泡立ちの美しさが決め手。
ブランドは、UGCを誘発する仕掛けとして、
などを用意することで、自発的な投稿を増やしています。韓国ではレビューやUGCの量が認知と信頼を同時に高める最大の武器となるため、インフルエンサー起用よりもUGC誘発設計が重視されます。
コンテンツマーケティング|NAVERで“検証”を支える
NAVERは韓国で圧倒的シェアを誇る検索エンジンで、消費者はここでレビュー記事・成分・カフェイン量を調べます。
ブランドはNAVERポストやブログで公式コンテンツを発信し、
などの“検証情報”を提供することで、購入への不安を払拭します。FAQ形式や比較表を入れると、コンバージョン率が上がりやすい傾向があります。
動画戦略|YouTube・ショートで“購買欲”を刺激
ショート動画では泡立つ瞬間やラテの層ができる過程を映すことで視覚的に訴求できます。韓国の消費者は「味わい」だけでなく「作る楽しさ」「美しい瞬間」に価値を感じるため、
を通じてブランドの世界観を伝えることが効果的です。
規制・表示の留意点|MFDS基準と効能表現

韓国で抹茶を販売する際には、食品医薬品安全処(MFDS)による厳格な表示基準を遵守する必要があります。とくに抹茶は「健康的」「集中力アップ」などポジティブなイメージを訴求しやすい飲料ですが、効能・効果の表現には法的な制約があります。
効能表現は慎重に
MFDSは医薬的な表現を禁止しており、
といった表現はNGです。許容されるのは「気分転換に」「リフレッシュ」「集中サポート」など、一般的な感覚表現や生活提案レベルのメッセージにとどめること。ブランド側はマーケティング表現を“機能訴求”から“ライフスタイル提案”にシフトさせる必要があります。
成分・栄養表示の明確化
消費者保護の観点から、
をパッケージ・ECページに明確に表示することが求められます。特に韓国ではカフェイン摂取量を気にする層が多いため、カフェイン量の明示は購入ハードルを下げる効果もあります。
健康機能食品としての取り扱い
もし「抗酸化作用」「免疫サポート」など特定の健康効果を表示したい場合は、健康機能食品(Health Functional Food)としての別途申請とMFDSの審査が必要です。申請時には科学的根拠(ヒト試験・論文データなど)を提出する必要があり、認可が下りれば認証マークを付けることができます。この認証はブランド信頼性の向上にもつながるため、長期的に韓国市場を狙うブランドには検討価値があります。
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韓国の抹茶市場は今まさに成長フェーズ。
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まとめ|韓国市場は“嗜好×機能”の二層で進化中
韓国の抹茶市場は、デザート文化とウェルネス需要が交差するユニークな成長ステージにあります。ソウル発のカフェブームが牽引し、RTDやECチャネルに広がることで日常飲用が浸透。さらに、済州島産の国産抹茶と日本・中国からの輸入抹茶がハイブリッドで市場を支え、幅広い価格帯・用途に対応しています。
今後は、甘さ設計やミルク代替の多様化、機能性訴求の精度向上が競争優位を左右します。特に韓国では「SNS映え+健康感」の両立が購買動機になるため、ビジュアル・栄養表示・ライフスタイル提案を一貫させた商品設計が求められるでしょう。ブランドにとっては、単なる輸出ではなく現地文化や嗜好への最適化が成功のカギです。
韓国市場は、アジアの中でも新しいトレンドが短期間で広がるテストベッドの役割を果たします。ここで得た知見をもとに、他国展開やグローバルブランディングに活かす戦略も視野に入れたいところです。


