抹茶はなぜ世界で人気なのか?グローバル市場で売れ続ける理由を解説
抹茶市場は今、構造的な成長フェーズにあります。2024年の市場規模は約42億ドルです。また2033年には78億ドル超への拡大が見込まれています(Straits Research, 2025)。本記事では、B2Bバイヤー向けに抹茶市場の需要データを整理します。さらに地域別トレンド・供給課題・仕入れ判断に使えるチェックリストまでまとめました。
\抹茶粉末をお探しの企業様へ/
弊社では、京都・宇治をはじめ、鹿児島・福岡・静岡など日本各地の産地から、
有機JAS認証付きのセレモニアルグレードから加工用まで、幅広いグレードの抹茶を取り揃えております。
「案件はあるのに、安定して抹茶を仕入れられない…」
「カフェの新メニューで抹茶を使いたい!」
数字が物語る”抹茶ブーム”の実態

輸出量・輸出額は過去最高を更新し続けている
まず押さえるべきは、日本の緑茶輸出データです。農林水産省の貿易統計によると、2024年の緑茶輸出量は約8,798トンです。前年比16.1%増えました(nippon.com, 2025)。また10年前の実績の約2.5倍に達しています。輸出額も364億円です。前年を24.7%上回りました。さらに2025年は1〜8月だけで380億円となっています。すでに2024年通年の実績を超えました。
これは一時的な流行ではありません。10年以上にわたって右肩上がりが続いています。そのため、抹茶市場の成長が「構造的なもの」であることがわかります。
最大輸出先は米国、地域によって売れ方が異なる
輸出先を国・地域別に見ると、米国が32%と最多で、次いで東南アジア(20%)、台湾(19%)、EU・英国(16%)と続きます。興味深いのは、国によって需要の「形」が大きく異なる点です。米国やEUでは粉末状の抹茶の割合が高い一方、台湾では依然としてリーフ茶の人気が根強く、単一のアプローチでは対応できない複雑な市場構造が見えてきます。
粉末茶が輸出の主役に躍り出た理由
輸出品目の内訳を見ると、粉末茶が5,092トンです。輸出全体の58%を占めています(nippon.com, 2025)。また、リーフ茶(3,706トン)を上回りました。「溶かして使える」という利便性が評価されています。カフェでの業務用途から家庭でのラテ作りまで対応できます。そのため、幅広いニーズを取り込んでいます。この粉末茶の台頭が、抹茶市場のグローバル普及を加速させました。
なぜ世界で売れ続けるのか?抹茶が支持される5つの理由

抹茶がここまで世界に広がった背景には、複数の要因が絡み合っています。以下では、特に重要な5つの理由を解説します。
理由①「飲む健康食品」スーパーフードとしての科学的評価
抹茶が世界の健康志向層に受け入れられた最大の理由は栄養成分です。
- カテキン(EGCG): 強力な抗酸化作用を持つポリフェノールです。コレステロール低下・代謝促進に寄与するとされています
- テアニン: リラックス効果・集中力アップが期待できるアミノ酸です。カフェインの覚醒作用を穏やかに抑える効果もあります
- ビタミンK・ルテイン: 抗炎症・抗老化作用が注目されています。美容・コスメ分野でも活用されています
さらに、抹茶は茶葉を丸ごと粉末にして飲みます。そのため、通常の緑茶と比べてカテキン含有量が約2倍とも言われています(日経ビジネス)。「健康に近づける飲み物」として欧米のウェルネス市場に浸透しました。
理由②カフェ文化との融合と”抹茶ラテ”の世界的普及
抹茶市場の大衆化を加速させたのがカフェチェーンとの融合です。米国ではスターバックスが抹茶ラテをメニューに加えました。また「ダンキンドーナツ」などの大手チェーンでも定番化しています。さらにニューヨークの「Cha Cha Matcha」や「MATCHAFUL」のような専門店も増加しました(井元産業, 2024)。
家庭での需要も高まっています。抹茶版エスプレッソマシン「World Matcha」は2020年の米国発売以来、累計1万台以上を販売しました。取引先は現在20カ国以上に拡大しています(nippon.com, 2025)。カフェチェーン→専門店→家庭用マシンと、抹茶は「日常の飲み物」へと進化しています。
理由③TikTok・InstagramがつくりだしたSNS拡散の連鎖
抹茶市場の「第2波」をつくったのはSNSです。2024年にはTikTokで「#matcharecipe」の再生回数が5億回を超えました(matcha-times, 2025)。また、ユーザー投稿が大手メディアにも取り上げられました。
背景には抹茶の「映え」特性があります。鮮やかな翡翠色はカメラ映えに優れています。フォロワー1,200万人超えのエマ・チェンバレンが自社ブランドで抹茶を販売しました。さらにミランダ・カーやビリー・アイリッシュもSNSで発信しています。「ヘルシーで洗練されたライフスタイルの象徴」として定着しました。
また、老舗の丸久小山園(京都・創業約300年)もコメントを出しています。「TikTokインフルエンサーが弊社商品を取り上げたことで自然に拡散され、多くの人々の目に触れることになった」(Bloomberg, 2025)。SNSが産地ブランドの発信力をも変えています。
理由④訪日体験が”帰国後の需要”をつくる日本文化効果
訪日観光客の増加も、世界的な抹茶ブームを下支えする重要な要因です。2024年度に静岡県島田市の「ふじのくに茶の都ミュージアム」を訪れた外国人は7,072人で、コロナ禍前(2019年度)比で約2.8倍に増加しています(nippon.com, 2025)。
訪日旅行で茶道体験をした外国人が、帰国後も本格的な日本産抹茶を求めて購入するサイクルが生まれており、これが継続的な需要の底上げにつながっています。福岡・八女の大石茶園では、SNSを活用した海外への直接販売で取引先を40カ国・地域500社以上に広げた事例も報告されており、訪日体験と情報発信の掛け合わせが市場開拓の有力な手段になっています。
理由⑤東南アジア・中東という新興市場の急台頭
これまで欧米が主役だった抹茶市場に、新たなプレーヤーが登場しています。東南アジアおよび中東では、抹茶スイーツ・デザート向け市場が年間10%以上の成長率で拡大中です(arches-global, 2025)。
シンガポールでは健康意識の高さと日本文化への深い関心が重なり、抹茶ラテや抹茶スイーツが街中のカフェで定番メニューとして定着しています。
タイではタピオカと組み合わせた「抹茶×アジアスイーツ」が若者に人気を博しており、飲料だけでなく食品・デザート分野での需要拡大が顕著です。
地域別トレンド|市場ごとに異なる”抹茶の使われ方”

抹茶市場はひとつではありません。地域によって求められるグレード・用途・購買動機が異なります。
北米:チェーン主導の大量業務用需要
北米ではスタバ・ダンキンを軸に、カフェ業務用の大量需要が市場を牽引しています。昨年の訪日外客数は前年比47%増の約3,700万人に達し(Bloomberg, 2025)、帰国後のSNS投稿が抹茶の認知をさらに押し上げています。「コーヒーの代替カフェイン飲料」として、特にミレニアル世代・Z世代に浸透しています。
欧州:オーガニック・高付加価値品へのこだわり
欧州市場の特徴は、品質と認証へのこだわりです。有機JASやEU Organic認証を取得した抹茶は、高価格帯でも指名買いされる傾向があります。また、抹茶の抗炎症・抗老化作用を活かしたフェイスマスクやスキンケアクリームへの配合も広がっており、化粧品分野での需要が新たな収益源となっています(Straits Research, 2025)。
東南アジア:スイーツ・デザート市場がけん引
シンガポール・タイ・インドネシアでは、「日本ブランドへの信頼感」が消費の根底にあります。日本旅行で本場の抹茶を体験した消費者が帰国後も高品質な日本産を求める動きが強く、「本物志向」が市場全体の価格帯を底上げしています(arches-global, 2025)。
中東:コーヒー文化と抹茶が共存する新潮流
コーヒー文化が根強い中東でも、健康志向の高まりを背景に緑茶・抹茶の需要が拡大しています(ARAB NEWS JAPAN, 2025)。ハラール対応が整った製品であれば参入ハードルは低く、高所得層向けのプレミアムポジショニングも有効な市場です。
拡大市場の”影”|供給不足と品質格差という構造的課題

急拡大する需要の裏側では、深刻な課題も顕在化しています。
宇治抹茶が品薄になった本当の理由
京都で創業約300年の老舗・丸久小山園は、2024年10月に販売制限を実施しました(Bloomberg, 2025)。また、日本茶販売大手も抹茶パウダーの販売を制限するなど、国内でも供給逼迫が現実のものとなっています。てん茶の入札価格は過去5年間で約4倍に高騰しており、2025年春の入札では創業170年の老舗すら高値を理由に入札を見送ったという事例も報じられています(matcha-times, 2025)。
中国産の台頭と”ニセ抹茶”問題
供給不足を追い風に、中国・貴州省銅仁市が「中国抹茶の都」として急成長しています。2023年には1,000トン超を生産し、400トン以上を海外輸出。品質面でも一定の評価を得た中国産は、米国スターバックスや外食チェーンの調達先となり始めています(arches-global, 2025)。一方で、品質表示を偽った“宇治抹茶”模倣品の流通も問題となっており、バイヤーが「本物」を見極める目を持つことがこれまで以上に重要になっています。
日本が進める「抹茶」の国際定義づくり
こうした状況を受け、農研機構が主導して「抹茶」の国際標準化をISOに働きかける取り組みが進んでいます。2022年4月には、日本で発展した抹茶の栽培・製造方法と歴史をまとめた内容がISOの技術報告書に掲載されました(nippon.com, 2025)。日本産ブランドの競争力を守るうえで、定義の明確化は欠かせない戦略です。
2033年に向けた市場展望|抹茶の成長はどこまで続くか

CAGR 7.12%で安定成長が続く見通し
Straits Researchの調査によると、世界の抹茶市場は年平均成長率(CAGR)7.12%で拡大を続け、2033年には78億6,000万米ドル規模に達すると予測されています。需要が爆発的に伸びる一方で生産が追いつかないリスクもあるため、安定供給体制の確立が市場参加者に求められています。
「飲む」から「使う」へ、用途は美容・機能性食品へ拡大
抹茶の成長を支えるのは、飲料市場だけではありません。化粧品メーカーがフェイスマスク・クリーム・トナーへの抹茶パウダー配合を加速させているほか、食品業界でも抹茶フレーバーのウエハースやアイスクリームなど新製品が続々と登場しています(Straits Research, 2025)。「飲む抹茶」から「使う抹茶」へという新たな成長軸が、市場全体の裾野を広げています。
アジア太平洋地域が最大市場へ
地域別では、アジア太平洋地域がCAGR 7.1%で成長し、2033年時点で27億5,500万米ドルの最大シェアを占める見込みです(Straits Research, 2025)。中国・日本・ベトナム・インドネシアで健康飲料への需要が増加しており、都市化と所得向上が消費拡大を後押しする構図が続いています。
抹茶業界の最新情報は「抹茶タイムズ」でチェック!
抹茶市場の動向や最新トレンド、国内外の注目事例、
茶園インタビューや開発現場の裏側など、抹茶の”今”がわかる専門メディア【抹茶タイムズ】を運営中です。
✅ 抹茶ビジネスに関わる方
✅ 新メニュー・新商品開発を検討中の方
✅ 抹茶業界の動きをキャッチしたい方
ぜひ【抹茶タイムズ】をチェックしてみてください!
まとめ|抹茶の人気は”一過性ブーム”ではない
本記事で解説した内容を振り返ります。
- 輸出データ:2024年の輸出量は10年前の2.5倍。輸出額も過去最高を更新中
- 5つの人気の理由:スーパーフードとしての機能性、カフェ文化との融合、SNS拡散、訪日体験効果、新興市場の台頭
- 地域別の特性:北米は業務用大量需要、欧州はプレミアム志向、東南アジアはスイーツ・デザート市場、中東は新潮流
- 構造的課題:供給不足・価格高騰・品質格差・模倣品問題
- 市場展望:2033年までCAGR 7.12%で安定成長、用途は美容・機能性食品にも拡大
抹茶の世界的な人気は、健康・SNS・文化という3つの追い風が同時に吹いているからこそ生まれたものです。単なるトレンドではなく、データが裏付ける構造的な成長であることが、本記事を通してご理解いただけたかと思います。
品質・供給安定性・規制対応の3点を押さえた企業や産地こそが、長期的な市場での優位を確立できます。 今後の抹茶ビジネスを検討されている方は、パートナー選びの段階から「信頼できる産地との継続的な関係構築」を意識することが成功への近道です。



