抹茶輸出は東南アジアが狙い目?|東南アジア市場参入の実務ガイド

東南アジアは、抹茶輸出の有望市場です。まず押さえるべき結論を3つに整理します。

第一に、需要は都市部を中心に拡大しています。第二に、3カ国で輸入規制が大きく異なります。そのため、国ごとに準備すべき書類や認証が変わります。第三に、勝敗を分けるのは「規制対応のスピード」です。

つまり、商品力よりも先に、現地の許認可と認証を整える企業が伸びます。だからこそ、参入前の情報整理が欠かせません。

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なぜ今、東南アジアの抹茶輸出が伸びているのか

市場規模と成長率

アジア太平洋の抹茶市場は拡大が続いています。市場調査各社の予測では、年率7〜8%前後で成長する見通しです。

なかでも東南アジアは「新興市場」と位置づけられています。シンガポール、バンコク、クアラルンプールが成長をけん引しています。

日本側の数字も追い風です。2024年の日本茶輸出額は約364億円でした。これは前年比で約24%の増加です。さらに、粉末茶(主に抹茶)が伸びを主導しています。

都市部の富裕層とカフェ需要

需要の中心は、都市部の健康志向層です。彼らは品質に敏感で、価格より価値を重視します。

加えて、専門カフェやデザートチェーンが採用を広げています。抹茶ラテやソフトクリームが定番化しつつあります。

現地化という独自トレンド

東南アジアでは独自の進化も見られます。たとえば、南国フルーツと合わせた抹茶飲料です。また、タピオカ飲料への応用も人気です。

シンガポールでは、有力ブランドが抹茶シリーズを投入しています。さらに、単一産地の高級抹茶をECで売る動きもあります。

一方で、品質への理解はまだ発展途上です。そのため、上質な抹茶を「正しく伝える」企業に勝機があります。

東南アジアで売れる抹茶の「グレードと価格帯」

まず、どのグレードが売れるかを押さえましょう。グレード選びを誤ると、価格も用途も合わなくなります。

セレモニアルグレード(高級カフェ・ギフト)

最上位はセレモニアルグレードです。高級カフェやギフト向けに使われます。色・香り・旨味が重視されます。主に都市部の富裕層がターゲットです。

カリナリーグレード(製菓・飲料)

製菓や飲料にはカリナリーグレードが向きます。加熱や加糖に強く、コストも抑えられます。つまり、抹茶ラテやスイーツの主力です。

RTD・OEM向けの業務用

RTD飲料やOEMには業務用グレードを使います。安定した色と溶けやすさが求められます。また、大量・継続供給が前提になります。

そのため、まず用途を決めてからグレードを選びます。つまり「誰に・どう売るか」が出発点です。

タイ・シンガポール・マレーシアの参入難易度を比較

まず、3カ国の違いを表で整理します。比較してから、各国の実務に進みましょう。

項目タイシンガポールマレーシア
市場の特徴カフェ・タピオカ需要が拡大富裕層とハブ機能中間層拡大・ハラル市場
参入難易度
規制当局Thai FDASFAMOH/JAKIM
主な輸入手続き食品輸入ライセンス(3年更新)SFA登録+TradeNetFoSIM登録
必須に近い要件GMP/ISO22000衛生的生産の証明ハラル(JAKIM)
ラベル表示タイ語が必須英語でほぼ可マレー語/英語
現地輸入者必須必須必須

ポイントは明確です。シンガポールは最も入りやすい市場です。一方、タイとマレーシアは事前準備が重くなります。

タイ|Thai FDA登録と現地輸入者が鍵

必要な許認可

タイで販売するには、Thai FDAの食品輸入ライセンスが必要です。このライセンスは3年ごとに更新します。

また、製品ごとに「フードシリアルナンバー」を取得します。申請はオンライン(Food e-Submission)で行います。ただし、システムはタイ語が基本です。

申請には品質分析書や製造工程の資料が求められます。さらに、GMPやISO22000があると審査が進みやすくなります。

ラベル規制の注意点

タイは表示規制が厳格です。タイ語ラベルは輸入前に貼付する必要があります。表示を怠ると、商品が差し止めになります。

加えて、一部の食品は栄養表示(GDA)が必要です。そのため、ラベル設計は早めに着手しましょう。

実務のポイント

申請主体はタイ国内の法人に限られます。したがって、現地の輸入者・代理店が不可欠です。なお、食品の審査には数カ月かかる場合があります。だからこそ、信頼できる現地パートナー選びが最優先です。

シンガポール|東南アジアの玄関口で最も入りやすい

SFA登録とTradeNet

シンガポールでは、SFA(シンガポール食品庁)への登録が必要です。商用販売には、輸入者としての登録が求められます。

抹茶は「加工食品」に分類されます。この区分は比較的、手続きが軽い分野です。通関にはTradeNet経由の許可を取得します。

事前に、ACRAのUENとTradeNet口座を準備します。また、SFAとのGIRO口座も必要です。

実務のポイント

シンガポールは英語が公用語です。そのため、ラベル対応の負担が小さくて済みます。

さらに、物流ハブとして機能します。つまり、まずシンガポールで実績を作る戦略が有効です。そして、そこから周辺国へ広げる流れが定石です。

マレーシア|JAKIMハラルが事実上の必須条件

食品輸入の基本ルール

マレーシアでは、一般加工食品の事前登録は不要な場合があります。とはいえ、パッケージ食品はFoSIM登録やMOHの管理対象です。

根拠法はFood Act 1983などです。表示は正確かつ完全である必要があります。

ハラル認証の位置づけ

マレーシアで重要なのがハラル認証です。認証機関はJAKIMで、原則として年次更新です。

法律上、ハラルと表示するには正式な認証が必要です。抹茶は植物由来で、本来ハラルに適合しやすい製品です。しかし、認証がないと「ハラル」と謳えません。

そのため、ムスリム市場では認証が事実上の前提になります。なお、認証では工場監査や原料確認が行われます。

実務のポイント

まず、ハラル表示の要否を販路ごとに確認します。次に、サプライヤーの認証状況を点検します。だからこそ、ハラル対応済みの供給網があると有利です。

MRL(残留農薬基準)と必要書類

なぜ抹茶でMRLが問題になるのか

抹茶は茶葉を丸ごと粉にします。そのため、残留農薬がそのまま製品に残りやすいです。

各国はMRL(残留農薬基準)を定めています。しかも、基準は国ごとに異なります。つまり、輸出先に合わせた管理が必要です。

用意すべき書類

まず、COA(成分分析書)を準備します。次に、残留農薬の分析結果を添えます。さらに、原産地証明や製造工程の資料も役立ちます。

加えて、有機ならJAS有機などの認証書が信頼を高めます。つまり、書類の充実が通関のスピードを左右します。だからこそ、書類対応力のある供給元が有利です。

物流と品質保持|抹茶輸出の実務

抹茶は繊細な商品です。だからこそ、物流設計が品質を左右します。

包装:光・酸素・湿気・熱から守る

抹茶は光・酸素・湿気・熱に弱いです。そのため、多層のバリア包装が基本です。アルミ積層フィルムが広く使われます。さらに、窒素充填で酸化を抑えます。業務用は10〜20kgのアルミ袋が一般的です。

空輸と海上輸送の使い分け

高級グレードは空輸が向きます。鮮度を保てるからです。一方、業務用は海上輸送がコスト面で有利です。

ただし、2026年は海上運賃が大きく変動しています。そのため、リードタイムと在庫に余裕を持たせます。

賞味期限と保管条件

適切な包装なら、賞味期限は半年〜1年が目安です。なお、高温多湿の東南アジアでは保管管理が重要です。だからこそ、現地での冷暗保管を取引条件に含めましょう。

次の新興国|ベトナム・フィリピン・インドネシア

東南アジアには「次の市場」もあります。ただし、規制リスクには注意が必要です。

ベトナム|2026年に規制が激変

ベトナムは2026年に食品規制を大きく見直しました。新ルール(Decree 46)は輸入審査を厳格化しました。施行直後には通関の大渋滞が起きました。その後、適用は一時的に延期されています。つまり、最新の運用を必ず確認すべき市場です。

フィリピン|LTOとCPRが必要

フィリピンでは2段階の手続きが基本です。まず、輸入者がLTO(営業許可)を取得します。次に、製品ごとにCPR(製品登録)が必要です。そのため、現地パートナーの許可状況が鍵になります。

インドネシア|2026年10月ハラル義務化

インドネシアは大きな転換点を迎えます。流通食品にハラル認証が義務化されます。期限は2026年10月17日です。つまり、ハラル未対応の商品は締め出されます。したがって、参入前に認証計画を立てましょう。

よくある失敗パターン3つ

最後に、ありがちな失敗を3つ挙げます。事前に知れば、回避できます。

1つ目は「価格だけで選ぶ」失敗です。安い抹茶は品質がばらつきます。結果として、リピートにつながりません。

2つ目は「規制を後回しにする」失敗です。ラベルや認証の不備で出荷が止まります。だからこそ、規制対応は最初に着手します。

3つ目は「単発で終わる」失敗です。継続供給を確保しないと、棚を失います。つまり、安定供給こそが取引の土台です。

東南アジア輸出を始める前のチェックリスト

参入前に、以下を確認しましょう。1つでも欠けると、出荷が止まるリスクがあります。

  • 現地に輸入ライセンスを持つパートナーがいるか
  • サプライヤーがGMP/ISO22000を保有しているか
  • COA(成分分析書)を提出できるか
  • 各国のMRL(残留農薬基準)に適合しているか
  • ハラル認証の要否を確認したか
  • 現地語ラベルを準備できるか
  • グレードと用途が市場に合っているか
  • 物流(空輸/海上)と運賃変動を織り込んだか
  • 賞味期限と保管条件を明示できるか
  • 年間の安定供給量を約束できるか

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抹茶を使ったドリンク・スイーツ・食品開発の需要は年々高まっています。
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まとめ|「安定供給」と「規制対応」をセットで

東南アジアの抹茶輸出は、確かに伸びています。しかし、需要だけでは勝てません。勝敗を分けるのは「規制対応」と「安定供給」です。

まず、国ごとに許認可と認証を整えます。次に、グレードと用途を市場に合わせます。さらに、安定した供給網を確保します。この3つがそろって、はじめて継続的な取引が成り立ちます。

なお、規制は頻繁に変わります。だからこそ、最新情報の確認を習慣にしましょう。

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