一番茶・二番茶の違いとは?食品原料としての品質と価格を比較

一番茶・二番茶の違いとは?食品原料としての品質と価格を比較

食品・飲料メーカーの原料調達担当者にとって、「一番茶と二番茶のどちらを使うべきか」は、製品品質と調達コストを同時に左右する意思決定です。結論から述べると、テアニン由来の甘味・鮮やかな緑色・クリーンな風味が重要な製品には一番茶由来の原料が適し、渋味・苦味が許容されるコスト重視の用途では二番茶原料が選択肢になります。ただし、この判断を適切に行うには成分傾向の理解とCOA(品質分析証明書)の確認方法、残留農薬管理の実務を組み合わせた視点が必要です。

一番茶と二番茶の違いは収穫時期だけではありません。覆下(かぶせ)栽培の期間・強度・期間中の気温差が最終的な成分プロファイルを変え、食品加工での発色・風味・機能性訴求に直結します。本記事では消費者向けの茶期解説ではなく、調達担当者が仕入れ先を評価・比較するための実務的な判断基準を提供します。

この記事のポイント

  • 一番茶・二番茶の成分傾向(テアニン・カテキン・色調)と食品加工への影響を解説
  • 用途別適性比較表(プレミアム抹茶製品〜大量生産品)を提示
  • COA(品質分析証明書)で調達担当者が確認すべき8項目のチェックリスト
  • 残留農薬ポジティブリスト制度・有機JAS認証の実務対応フロー
  • 価格変動要因と仕入れ先評価の視点

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一番茶・二番茶とは?食品原料からみた基本定義

茶の「番(ばん)」は収穫回次を指します。冬から春にかけて養分を蓄えた新芽を最初に摘んだものが一番茶(主産地では4月下旬〜5月下旬ごろ)、一番茶摘採後に再生した新芽を摘んだものが二番茶(6月下旬〜7月ごろ)です。抹茶の原料となる「てん茶(碾茶)」は、いずれの茶期でも覆下栽培によって生産されますが、覆下の日数・強度・期間中の気温が成分プロファイルに影響します。

食品原料として重要なのは、単に収穫時期の違いではなく、その成分差が自社製品の品質設計にどう影響するかです。高付加価値の抹茶スイーツや抹茶ドリンクと、大量生産の抹茶フレーバー菓子では、求めるスペックが異なります。まず成分傾向を整理した上で、用途別の適性を考えましょう。

成分傾向と食品加工への影響

テアニン・カテキン・カフェインの分布傾向

一番茶と二番茶の成分傾向の差は、主に覆下栽培における光合成抑制効果の差から生じます。覆下栽培では遮光によってテアニンのカテキンへの変換が抑制されるため、テアニン(うま味・甘味の主要成分)が茶葉に蓄積します。一番茶は、春の生育期に充分な養分を蓄えた上で覆下栽培が行われるため、テアニン含有傾向が相対的に高くなります。

二番茶は一番茶摘採後の再生新芽であり、夏の高温・長日照の条件下で成長します。遮光前の光合成が活発なため、カテキン類(EGCG・EGC等)が比較的高くなる傾向があります。タンニン量も二番茶で多い傾向があることは、茶業試験場などの研究で報告されています。ただし成分値は産地・品種・栽培管理・気候によって年次変動があり、最終的な数値はサプライヤーのCOAで確認することが不可欠です。

成分・特性一番茶原料(春摘み)二番茶原料(夏摘み)
テアニン傾向比較的高い比較的低い
カテキン傾向比較的低い比較的高い
カフェイン傾向やや低めやや高め(個体差大)
色調(緑色鮮やかさ)鮮やか(クロロフィル高め)やや黄みがかる場合あり
渋味・苦味少ない・やわらか強い傾向
甘味・旨味高い少ない傾向
価格帯傾向高め(生産量が限定的)低め(供給量多い年も)

※上表の成分傾向は一般的な傾向であり、産地・品種・栽培条件・加工方法によって異なります。実際の調達判断にはCOAの数値を使用してください。

色調・風味が製品設計に与える影響

食品加工での実用上、色調の差は製品の訴求力に直結します。鮮やかな緑色を活かしたプレミアム抹茶製品では、一番茶由来の原料が品質設計上の優先選択肢となります。一方、加熱工程(焼成・加圧・殺菌)で色調が劣化する製品や、抹茶風味を主体にしながらも外観色を他素材で補完できる場合は、二番茶原料のコストメリットを活かせます。

渋味・苦味については、乳製品(バター・クリーム・乳脂)や砂糖との配合で緩和できる場合があり、アイスクリームやチョコレートの用途では二番茶原料でも十分な品質が得られることがあります。最終的な判断はブランドポジショニングと製品コンセプト次第です。

用途別適性比較:どの製品に向くか

以下は、主な食品・飲料カテゴリと一番茶・二番茶原料の適性を整理した参考表です。判断の出発点となる仮置きの適性分類であり、実際は製品仕様・ターゲット価格・ブランド戦略に照らして検討してください。

用途・製品カテゴリ推奨原料主な理由
高級抹茶ラテ・抹茶スイーツ(プレミアムライン)一番茶原料鮮やかな緑色・テアニン由来の甘味・クリーンな風味が差別化要素
セレモニアル・茶道用抹茶製品一番茶(有機JAS等)伝統的品質基準・消費者の品質期待が高い
有機表示付き健康食品・機能性飲料有機JAS一番茶原料有機JASの表示要件を満たす認証原料が必要
大量生産の抹茶アイスクリーム・抹茶菓子二番茶原料可コスト最適化が重要。渋味は乳脂・砂糖で緩和可
EGCG等カテキン訴求の健康飲料二番茶原料可カテキン含有傾向が高め。ただし含有量はCOAで確認
抹茶フレーバー菓子(チョコレート・クッキー等)二番茶原料可焼成で色調が変化するため、強い風味を重視した設計にも対応
輸出向けパッケージ製品(ハラール対応等)要件による輸出先の規制・認証要件(ハラール・有機等)を確認の上選定

原価計算の際は、仮に一番茶原料の単価が二番茶より高い場合でも、色調・風味の差が最終製品の販売価格に反映できるなら、コストパフォーマンスの評価が逆転することもあります。歩留まり率(粉砕前のてん茶から抹茶粉末への収率)・輸送・保管コスト・品質検査費用も含めた総調達コストで比較することをお勧めします。

仕入れ先評価のためのCOA確認チェックリスト

原料調達時にサプライヤーから入手するCOA(Certificate of Analysis:品質分析証明書)は、原料品質の客観的な判断根拠です。口頭や資料の「グレード名」だけでなく、以下の項目を数値で確認することが調達実務の基本です。

  • 水分含量:保管・流通中の劣化リスクと製品規格への影響を確認。一般に5%以下が目安とされます
  • 粒度分布:平均粒径(μm)・特定ふるい通過率。製品の口当たり・分散性に影響します
  • 色差測定値:L*値(明度)・a*値(赤緑)・b*値(黄青)。自社製品規格との照合に使用します
  • アミノ酸分析(テアニン):テアニン含量(mg/g)。うま味・甘味設計・機能性表示が必要な場合に確認します
  • カテキン類プロファイル:EGCG・EGC等の各カテキン量。機能性訴求や成分表示が必要な場合に確認します
  • 残留農薬検査結果:使用農薬リストと各農薬の測定値(後述のポジティブリスト対応)
  • 重金属検査:鉛・ヒ素・カドミウム・水銀の測定値。食品安全管理の基本です
  • 微生物検査:一般生菌数・大腸菌群・カビ酵母。自社の衛生管理基準との照合に使用します

COAの各項目には必ず試験方法・試験機関・試験実施日・ロット番号が明記されていることを確認します。試験方法が不明なもの、自社規格に引用できない形式のものは、サプライヤーに差し替えを求めるか別途確認してください。有機JAS認証原料の場合は、COAとは別に有機JAS証明書の原本または認証機関からの確認文書が必要です。

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残留農薬管理と食品衛生法対応の実務

ポジティブリスト制度と茶の取り扱い

日本では2006年5月29日に食品衛生法に基づく残留農薬ポジティブリスト制度が施行されました(厚生労働省「食品中の残留農薬に係るポジティブリスト制度について」、2026年11月時点)。この制度では、個別基準が設定されていない農薬等については一律基準(原則0.01ppm)を超えて残留する食品の販売等が原則禁止されます(厚生労働省「残留農薬に関するQ&A」、2026年11月時点)。

茶の場合、原料の荒茶・てん茶に使用された農薬が最終製品にも残留している可能性があります。調達実務では次の確認が必要です。

  • サプライヤーから使用農薬リスト(農薬名・使用時期・使用量)を入手する
  • COAに使用農薬全項目の測定結果が含まれることを確認する
  • 輸出向け製品の場合は輸出先国の基準値と照合する(EU・米国・中国等で基準値が日本と異なる)
  • 有機JAS原料は化学合成農薬不使用が要件だが、隣接農地からの飛散・混入リスクの管理も重要

有機JAS認証原料の確認フロー

有機JAS制度は農林水産省が所管するJAS(日本農林規格)の一つです(農林水産省「JAS(日本農林規格)」、2026年11月時点)。有機JAS認証の農産物は、種まき・植え付け前3年以上禁止されている農薬や化学肥料を使用していない農地で栽培されたものであることが要件の一つです。

有機JAS抹茶を原料に使用する場合(「有機」「オーガニック」等の表示が必要な場合)は、次の書類を確認します。

  • 登録認証機関が発行した有機JAS証明書(原料ロット単位で紐づいていること)
  • 証明書の有効期限と認証機関名・登録番号(農林水産省の公開リストで確認可能)
  • 加工・製造工程でJAS認証規格に適合した管理手順書(加工食品への有機表示に必要な加工業者の認証要件は、農林水産省の有機JAS関連の公式資料で最新情報を確認してください)
  • 輸出向けに「Organic」等を表示する場合の輸出先国の同等性協定・認証スキームとの関係(EU向け等は個別確認が必要)

価格変動要因と調達判断の視点

一番茶と二番茶の価格差は、一般に一番茶が高い傾向にありますが、その理由は単純な品質差だけではなく供給構造と需要集中によります。農林水産省の作況調査によれば、令和7年産(2025年産)の全国荒茶生産量は約6万8,000トンと報告されています(農林水産省九州農政局宮崎地域センター「令和7年産茶の生産状況」、2026年11月時点)。

価格変動に影響する主な要因を以下に示します。

  • 気象リスク:晩霜・台風・高温障害が一番茶収量を直撃しやすく、不作年の一番茶価格は大きく変動することがある
  • 輸出需要の拡大:近年の抹茶グローバル需要の増加(特にセレモニアルグレード)が一番茶原料の需給を引き締める要因
  • 有機JAS一番茶の供給制約:認証農地の拡大には3年以上の移行期間が必要なため、供給量が需要増加に追いつきにくい
  • 二番茶の価格安定性:供給量が多い年はコスト最適化に有利。ただし気候変動による夏季高温が品質・収量に影響する年も増加傾向

原料価格の比較は、単価だけでなく歩留まり率(粉砕前てん茶から抹茶粉末への収率)・輸送・保管コスト・品質検査費用も含めた総調達コストで行うことが実務上重要です。一番茶原料の単価が高くても、色調・風味の差が最終製品の販売価格に反映できれば、コストパフォーマンスの評価が逆転することもあります。

日本抹茶輸出機構(JMEX)が選ばれる場面

日本抹茶輸出機構株式会社(JMEX)は、日本産抹茶を海外へ輸出している事業者で、43カ国への海外輸出実績があります。京都・宇治をはじめ、鹿児島・福岡・静岡など日本各地の産地の抹茶を取り扱っており、有機JAS認証付きのセレモニアルグレードから加工用まで、幅広いグレードの抹茶を取り揃えています。

本記事で解説したような「産地・茶期・グレード・認証の条件整理」や「COA・残留農薬検査結果・有機JAS関連書類」の準備については、JMEXは輸出で培った書類対応の知見をもとに相談に応じています(個別案件での提供可否は都度確認)。ハラール認証を取得しており、ハラール対応が必要な製品設計についても対応できる場合があります。

業務用・OEM用の粉末抹茶サンプルについては問い合わせを受け付けており、用途・販売先に応じた産地・グレードを提案しています。一番茶と二番茶のどちらが自社製品に合うかの判断に迷う場合は、まずサンプルテストからの検討が実務的なアプローチです。具体的な対応範囲・条件については個別にご相談ください。

抹茶の規格・品質条件について相談する

必要な規格・品質条件、サンプル、取引条件などについて、日本抹茶輸出機構(JMEX)へご相談いただけます。

よくある質問(FAQ)

一番茶と二番茶の成分(テアニン・カテキン)はどのくらい違うのですか?

成分値は産地・品種・栽培管理・気候によって年次変動が大きく、公的機関が標準値として公表した汎用の数値は存在しません。一般的な傾向として、一番茶はテアニンが比較的高く甘味・旨味が出やすい、二番茶はカテキンが比較的高く渋味が強いとされます。実際の調達判断には、サプライヤーのCOAに記載されたロット固有の測定値を使用してください。

食品加工に二番茶原料の抹茶を使うことは問題ありませんか?

問題ありません。二番茶原料の抹茶は多くの食品・飲料メーカーが大量生産品に使用しています。重要なのはグレード名より製品規格への適合性(色調・成分・衛生管理基準)と、ラベル・パッケージの表示が実態と一致していることです。「一番茶使用」と表示する場合は原料証明が必要で、特段の表示をしない場合は品質さえ満たせばいずれの茶期でも使用できます。

業務用抹茶の残留農薬管理はどのように行うべきですか?

国内販売向けには食品衛生法のポジティブリスト制度(2006年5月29日施行)に基づき、基準値が設定されていない農薬は一律基準(0.01ppm)以下であることを確認します(厚生労働省「食品中の残留農薬に係るポジティブリスト制度について」;同Q&A、2026年11月時点)。サプライヤーから使用農薬リストと測定結果を含むCOAを入手し、問題がないことを確認した上で記録として保管してください。輸出向けの場合は、輸出先国(EU・米国・中国等)の基準値が日本と異なることが多いため、個別に照合が必要です(農林水産省「諸外国における残留農薬基準値に関する情報」、2026年11月時点)。

COAで確認すべき最重要項目は何ですか?

用途によって異なりますが、色差(L*a*b*)・水分含量・残留農薬・重金属・微生物検査の5項目が調達実務の最低確認事項です。機能性訴求をする場合はテアニンやカテキン類のプロファイル、有機表示をする場合は有機JAS証明書が追加で必要になります。試験機関・試験日・ロット番号が明記されたCOAを要求し、原料ロットとの紐付けを確認してください。

有機JAS抹茶の仕入れで注意すべき点は何ですか?

有機JAS認証の対象範囲と、加工食品に有機表示をするための認証要件(農産物の生産者と加工業者それぞれに関わる要件)については、農林水産省の有機JAS関連の公式資料で最新情報を確認してください。サプライヤーに農産物の有機JAS証明書だけでなく、加工・製造工程の認証状況も確認してください。また、一番茶の有機JAS原料は供給量が限られているため、必要量を確保するには早期からの産地・サプライヤーとの関係構築が重要です。

輸出向け製品でハラール対応が必要な場合、原料に何を確認すればよいですか?

ハラール認証の要件は認証機関・輸出先国・製品カテゴリによって異なります。一般的に、原料サプライヤーのハラール認証書(認証機関名・有効期限・対象範囲)の確認、加工工程でのハラール禁忌成分との接触回避、最終製品としてのハラール認証取得可否の確認が必要です。原料段階での書類要件は、最終製品の認証取得予定の認証機関に事前確認することが確実です。

情報源と確認方法(Sources & Methodology)

本記事は、下記の公的機関などの公開情報と、編集部による実務観点の整理に基づいて作成しています。法令・統計・市況は更新されるため、最新情報は各一次情報でご確認ください。

Last reviewed: 2026年11月5日(編集部による情報源の確認時点)。数値例・計算例は考え方を示す仮定であり、実勢価格や特定事業者の取引条件を示すものではありません。

開示:抹茶タイムズは、日本産抹茶の輸出・供給を行う日本抹茶輸出機構株式会社(JMEX)が運営するメディアです。記事内のJMEXに関する記述は同社に関する事実に限り、editorial process として一次情報と照合しています。

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まとめ

一番茶と二番茶の違いを食品原料の調達視点から整理しました。

  • 成分傾向:一番茶はテアニン高め・色鮮やか・甘味重視。二番茶はカテキン高め・渋味あり・コスト重視の傾向
  • 用途別適性:プレミアム製品・有機JAS表示・セレモニアルは一番茶原料。大量生産品・カテキン訴求・コスト優先は二番茶原料も選択肢
  • COA確認:色差・水分・残留農薬・重金属・微生物の5項目が最低限。有機・機能性訴求には追加確認が必要
  • 法規制:ポジティブリスト制度(食品衛生法)に基づく残留農薬管理(厚生労働省参照)。有機JAS表示の要件は農林水産省の公式資料で最新情報を確認してください
  • 価格変動:気象リスク・輸出需要・有機JAS供給制約が一番茶価格を押し上げる要因

原料選定の次のステップとして、まず自社製品仕様と照合したCOA評価を行い、次にサンプルテストによる製品適性の確認、そして規格・認証・数量・納期条件を明確にしたサプライヤーとの詳細協議という流れで進めることをお勧めします。

必要な規格・品質条件(色・粒度・検査書類など)をお聞きし、対応可能な範囲をご案内します。用途・販売先に応じて、最適な産地・グレードをご提案します。

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