抹茶原料の仕入先を変更するには?代替サプライヤーの選び方と注意点
抹茶原料の仕入先を変更するには、現状課題の明確化→代替候補の選定→サンプル評価→書類確認→移行計画の策定という5つのステップを順に進めることが、品質トラブルやコスト超過を防ぐ近道です。価格上昇・品質のばらつき・供給不安など、切り替えを検討するきっかけはさまざまですが、いずれも「段階的な移行」と「評価基準の文書化」が成功の鍵になります。
食品・飲料メーカーにとって、抹茶原料はブランドの品質を左右する重要素材です。2024年(令和6年)産の荒茶生産量では、鹿児島県が統計開始以来初めて全国1位となり、2025年(令和7年)産でも1位を維持しています(農林水産省「茶をめぐる情勢」、2026年11月時点)。てん茶(抹茶の原料)の主要産地は鹿児島県・京都府・静岡県です。供給構造の変化を踏まえ、代替サプライヤーの選定スキルは今後ますます重要になっています。
この記事では、商品開発・原料調達担当の方が実務で直面しやすい課題を整理し、代替サプライヤーの探し方から切り替え完了までの手順を具体的に解説します。
この記事のポイント
- 仕入先変更を検討すべき主な4つのサインと、変更を急ぐべきでない状況を整理
- 代替サプライヤーの探し方・比較評価の手順と、産地別の特徴を一覧化
- 切り替え時に必要な書類・品質確認・移行計画のチェックリスト
- 原価試算の考え方と、リスク分散のための複数社体制の構築方法
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弊社では、京都・宇治をはじめ、鹿児島・福岡・静岡など日本各地の産地から、有機JAS認証付きのセレモニアルグレードから加工用まで、幅広いグレードの抹茶を取り揃えております。
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仕入先を変更すべきタイミングのサイン
仕入先変更は、コストがかかる割にメリットが見えにくい判断です。まず「今が変更すべき状況か」を確認するところから始めましょう。
変更を検討すべき4つのサイン
- 価格交渉が継続的に難航している:複数年にわたって一方的な値上げが続き、コスト転嫁が限界に近づいている場合。
- ロット間の品質ばらつきが増えている:色調・香気・溶解性などで規格外品の発生頻度が高くなり、社内検査コストが増大している場合。
- 供給リードタイムが不安定:急な欠品・納期遅延が繰り返され、製造計画の遂行に支障が出ている場合。
- 規制・認証の要件が変化した:輸出先国の規格、有機認証、ハラール対応など、現サプライヤーが対応できない要件が生じた場合。
変更を急がない方がよいケース
一時的な価格高騰や単発の納期遅れは、変更コストと比べると影響が限定的であることが多いです。まず現サプライヤーとの協議で解決できないかを確認してから、代替候補の評価に入るのが現実的な判断です。
代替サプライヤーの探し方と比較評価の基本
代替候補を探す段階では、「情報収集」「書類確認」「サンプル評価」の三段階を並行して進めることが効率的です。
情報収集の主な手段
- 産地・農協・茶業組合への問い合わせ:全国茶生産団体連合会や各都道府県の茶業振興センターは、業務用取引の仲介情報を持っていることがあります。
- 国際食品展示会・FOODEX・スーパーマーケットトレードショー:複数のサプライヤーを一度に比較でき、担当者と直接交渉できる機会です。
- 輸出振興機関・JETROの活用:海外輸出実績のあるサプライヤーは、COAや残留農薬試験成績書などの書類対応に慣れていることが多いです。
- 既存取引先や同業他社からの紹介:守秘義務に留意しつつ、業界ネットワークから信頼性の高い候補を得やすい手段です。
産地別の特徴を把握する
抹茶の原料となるてん茶は、産地によって風味・色調・価格帯・供給量が異なります。下表は一般的な傾向の整理です(実際の品質・価格は年産・グレード・取引条件により異なります。以下はあくまでも検討の出発点となる仮置きの整理です)。
| 産地 | 特徴・風味傾向 | 主な用途 | 荒茶生産量(令和7年産)と順位 | てん茶の生産順位(令和7年度) |
|---|---|---|---|---|
| 京都(宇治) | 深い旨味・鮮やかな緑色・高い覆下栽培率 | 高級製菓・スイーツ・セレモニアル | 2,280トン(全国4位、京都府全体) | 全国2位 |
| 鹿児島 | 爽やかな香り・量産用途向き・大規模機械化 | 飲料・RTD・大量製造向け | 30,000トン(全国1位) | 全国1位 |
| 静岡 | 品質の幅が広い | 飲料・ブレンド原料 | 24,100トン(全国2位) | 全国3位 |
| 三重(伊賀・水沢) | 中価格帯・品質安定性 | 製菓・飲料・バランス重視用途 | 4,860トン(全国3位) | ―(玉露・かぶせ茶が全国1位) |
出典:農林水産省「茶をめぐる情勢」(2026年11月時点)。荒茶生産量と順位は令和7年産、てん茶の順位は令和7年度の値です。荒茶は茶全体の一次加工品であり、抹茶の原料となるてん茶の生産量そのものではありません(てん茶の都道府県別の生産量はこの資料では確認できないため掲載していません)。
品質・規格の確認ポイントと評価チェックリスト
サプライヤーを絞り込む段階では、「書類で確認できる事実」と「サンプルで確認すべき事実」を分けて整理すると抜け漏れを防げます。
| 確認項目 | 確認方法 | 必須 / 推奨 |
|---|---|---|
| 残留農薬試験成績書(COA) | 書類請求・ロットごとに確認 | 必須 |
| 重金属(鉛・カドミウムなど)分析値 | 第三者機関の試験成績書 | 必須 |
| 原料の種類(碾茶か緑茶粉末か) | 製品仕様書・原産地証明 | 必須 |
| 食品衛生法・残留農薬ポジティブリスト適合 | 試験成績書の基準値との照合 | 必須 |
| 有機JAS認証(必要な場合) | 認証証書のコピー | 用途による |
| ハラール認証(必要な場合) | 認証証書のコピー | 輸出先による |
| 色調(L*a*b*値)・粒度(μm)規格 | 製品規格書 + サンプルの実測 | 必須 |
| 溶解性・分散性 | 社内試作での評価 | 必須 |
| 官能評価(色・香・味) | ブラインドテスト | 推奨 |
| BCP・供給継続計画 | 書面での確認または面談 | 推奨 |
| ロット間ばらつきの実績データ | 過去6〜12ヶ月の管理グラフ等 | 推奨 |
残留農薬に関しては、厚生労働省が食品衛生法に基づくポジティブリスト制度(2006年5月施行)を運用しており、個別に残留基準が設定されていない農薬は原則0.01ppm以下とされます(食品安全委員会「残留農薬のポジティブリスト制度に関するQ&A」、2026年11月時点)。輸出用途では仕向国の基準との照合も別途必要です。
切り替え時の実務ステップと注意点
「評価が終わった」=「切り替えができる」ではありません。製品への実際の採用には、社内承認・配合変更の手続き・在庫調整など複数の工程が伴います。
切り替えまでの標準的なプロセス
- 課題の文書化:現在のサプライヤーに対する課題(価格・品質・納期)を社内で合意し、変更の理由を記録する。
- 候補の選定とNDAの締結:2〜3社を候補として絞り込み、評価前に秘密保持契約を結ぶ。
- 書類審査:COA・規格書・認証証書・製品仕様書を収集し、食品衛生法・自社規格との適合を確認する。
- サンプル取得と社内試作:代表的な自社製品(例:抹茶ラテベース、抹茶スポンジ生地など)を用いて試作し、現行品との差異を評価する。
- ロット確認(パイロットロット):量産前に数ロット分を実際に購入し、ロット間ばらつきを確認する。
- 社内承認と規格書の更新:品質保証部門・購買部門の承認を経て、製品規格書・レシピを更新する。
- 段階的移行:いきなり全量を切り替えず、まず一製品・一工場から開始し、問題がなければ全面移行する。
- 現サプライヤーへの通知:契約上の解約予告期間(一般に30〜90日)を守って通知する。
見落としがちな落とし穴
- 成分表示・原材料名の変更手続き:産地や仕様が変わると、加工食品の原材料表示が変わる可能性があります。食品表示法(消費者庁管轄)に基づき、届出・変更が必要なケースを品質保証担当に確認しましょう。
- 既存在庫の消化計画:移行期は旧サプライヤーの在庫と新サプライヤーの在庫が同時に存在するため、混入防止と使い分けのルールを事前に決めておくことが重要です。
- 価格変動リスク:抹茶の市場価格は収穫量・需要動向・為替に影響されます。新旧サプライヤー間での単純な「今日の価格」比較は、半年後の調達コストを保証するものではありません。
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原価・コスト試算の考え方
サプライヤー変更の判断には、単価だけでなく「総調達コスト(TCO:Total Cost of Ownership)」の視点が欠かせません。以下は、考え方を整理するための仮置きの例示です(実際のコスト・条件は取引先と別途確認してください)。
TCO比較の構成要素(考え方の例示)
仮に現行サプライヤーの総調達コストを「100」とした場合、代替候補との比較は次のような要素で構成されます。
- 原料単価(グレード・数量・シーズンにより大きく変動)
- 輸送費・梱包費(産地から工場までの距離・輸送モードによる)
- 社内検査・品質管理コスト(新サプライヤーは最初の数ロットで検査頻度が上がることが多い)
- 切り替え初期費用(サンプル評価・試作・社内承認手続きに要する人件費・外部試験費)
- ロスリスク(品質トラブル発生時の廃棄・再製造コスト)
仮に「原料単価が10%安い」サプライヤーへ切り替える場合でも、切り替え初期費用・検査コスト増・ロスリスクを加味すると、実質的なコスト削減効果が1年目に現れないケースもあります。「何年で回収するか」という回収期間の視点を意思決定に含めることを推奨します。
複数産地・複数社体制でリスクを分散する
1社依存体制は、気候災害・工場事故・輸送トラブルなどで供給が一気に止まるリスクを抱えています。特に年間使用量が一定規模を超える場合は、メインサプライヤー+サブサプライヤーの2社体制を最初から設計することが安定調達の基本です。
複数社体制の設計ポイント
- 産地を分ける:気候リスク(霜害・干ばつ)に対して、宇治と鹿児島のように気候条件が異なる産地を組み合わせると安心度が上がります。
- グレードを揃える:異なるサプライヤーで同等の品質規格(粒度・色値・農薬基準)を取れるか、事前に書類と試作で確認します。
- 取引を継続的に維持する:サブサプライヤーへも一定量を継続発注することで、関係を保ちつつロット間品質の追跡データを蓄積できます。具体的な発注比率は自社の生産計画・契約条件に合わせて設定してください。
- 切り替え時の移行シナリオを用意する:緊急時にどちらの比率を増やすか、あらかじめ手順を文書化しておくことで、実際の対応速度が上がります。
てん茶の生産・需給に関する基礎情報は、全国茶生産団体連合会や農林水産省の生産統計(2026年11月時点)で定期的に確認することをお勧めします。
日本抹茶輸出機構(JMEX)が選ばれる場面
日本抹茶輸出機構株式会社(JMEX)は、日本産抹茶を海外へ輸出している事業者で、43カ国への海外輸出実績があります。
JMEXが相談先として選ばれやすいのは、次のような状況です。
- 複数産地の抹茶を一括で比較したい場合:京都・宇治をはじめ、鹿児島・福岡・静岡など日本各地の産地の抹茶を取り扱っており、用途・グレード別の提案を受けることができます。
- グレードの幅が広い:有機JAS認証付きのセレモニアルグレードから加工用まで、幅広いグレードを取り揃えています。
- 書類対応に慣れている:輸出で培ったCOA・残留農薬検査結果・有機JAS関連書類などの対応知見があり、書類整備の相談ができます(個別案件での提供可否は都度確認)。
- ハラール対応が必要な場合:ハラール認証を取得しています。
- 業務用・OEM用サンプルの問い合わせ:業務用・OEM用の粉末抹茶のサンプルについて問い合わせを受け付けており、用途・販売先に応じて産地・グレードを提案します。
価格・最低発注数量・納期・対応可能な具体的な数量・認証の詳細範囲など、個別条件については直接お問い合わせください。
業務用抹茶の仕入れ・調達について相談する
抹茶の仕入れ先選定、用途に合ったグレード、サンプル、取引条件などについて、日本抹茶輸出機構(JMEX)へご相談いただけます。
よくある質問(FAQ)
仕入先を変更するとき、現在のサプライヤーにはいつ伝えるべきですか?
取引基本契約書に記載された解約予告期間(一般的に30〜90日)を守るのが原則です。代替候補の評価・社内承認が完了した時点で、書面で速やかに通知することをお勧めします。変更理由は簡潔に説明し、過渡期の在庫・発注の扱いを事前に合意しておくとトラブルを防げます。
代替サプライヤーの評価にはどれくらいの期間がかかりますか?
書類審査からパイロットロットの確認まで、最低でも3〜6ヶ月を見込む企業が多いです。特に社内の品質保証・購買・開発の複数部門が関与する場合は、承認プロセスだけで2〜3ヶ月かかることもあります。抹茶は収穫・加工が春〜秋に集中するシーズン制も念頭に置いて計画を立ててください。
COAは第三者機関発行のものが必要ですか?
自社試験成績書でも法的には可能ですが、食品衛生法上の適合確認やバイヤーへの提示を目的とする場合は、第三者機関(公的認定機関または公認試験機関)発行のものを求めることが一般的です。輸出用途では仕向国の規制により第三者機関が必須となるケースもあります。
有機JASとオーガニック認証は同じですか?
有機JASは農林水産省が定める日本の認証制度です(農林水産省 有機農産物のJAS規格、2026年11月時点)。EUの有機認証やUSDAオーガニック(NOP)とは基準・申請手続きが異なります。輸出先での「オーガニック」表示に有機JASが認められるかは仕向国ごとに確認が必要です。
産地が変わると製品の色や風味は変わりますか?
産地・グレード・加工工程が変わると、色調(緑色の鮮やかさ)・苦味・うま味・粒度に差が出ることがあります。発売済み製品の場合は、消費者に知覚される変化がないかを試作で確認し、必要に応じて処方の微調整を行ってください。
仕入先を変えると、食品表示の変更は必要ですか?
産地・加工方法・有機認証の有無などが変わる場合は、加工食品の原材料名・原産地表示の変更が必要になることがあります。食品表示法(消費者庁管轄)の規定を確認し、品質保証部門・法務担当と連携して対応してください。
サプライヤーの比較評価で最初に見るべき書類はどれですか?
まず残留農薬試験成績書(COA)と製品仕様書(原料種別・粒度・色調規格)を請求してください。これらで食品衛生法適合と基本品質の枠組みが確認でき、次のサンプル評価に進むかどうかの最初の判断基準になります。
情報源と確認方法(Sources & Methodology)
本記事は、下記の公的機関などの公開情報と、編集部による実務観点の整理に基づいて作成しています。法令・統計・市況は更新されるため、最新情報は各一次情報でご確認ください。
Last reviewed: 2026年11月2日(編集部による情報源の確認時点)。数値例・計算例は考え方を示す仮定であり、実勢価格や特定事業者の取引条件を示すものではありません。
開示:抹茶タイムズは、日本産抹茶の輸出・供給を行う日本抹茶輸出機構株式会社(JMEX)が運営するメディアです。記事内のJMEXに関する記述は同社に関する事実に限り、editorial process として一次情報と照合しています。
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まとめ
抹茶原料の仕入先変更は、「なぜ変えるか」の課題整理から始まり、候補選定・書類審査・サンプル試作・パイロットロット・段階的移行という5〜8ヶ月のプロセスです。要点を整理します。
- 変更を急ぐべきサインは「品質ばらつき」「供給不安」「認証要件の変化」「交渉難航」の4つ。一時的な問題との切り分けが最初のステップ。
- 書類で確認できること(COA・食品衛生法適合・認証証書)は事前に揃えてからサンプルを依頼する。
- 原価比較は「単価」だけでなく、切り替えコスト・検査費・ロスリスクを含むTCOで判断する。
- 産地・供給体制の特性を理解し、1社依存を避けるメイン+サブの複数社体制を設計することが長期的な安定調達の基本。
- 段階的移行と現サプライヤーへの適切な通知が、トラブルなく移行を完了する鍵。
次のステップとして、まず社内で変更の優先度と評価基準を文書化し、その後2〜3社にサンプルを依頼するところから始めると、比較評価が具体的に進めやすくなります。産地・グレード・書類対応についてのご相談は、JMEXのような輸出実績のあるサプライヤーに問い合わせることも選択肢の一つです。
業務用抹茶の仕入れ条件(用途・数量・規格)を整理したうえで、お見積もりのご相談を承ります。用途・販売先に応じて、最適な産地・グレードをご提案します。






