抹茶原料を大量仕入れするには?100kg・500kg・1トン単位の調達ガイド

抹茶原料を大量仕入れするには?100kg・500kg・1トン単位の調達ガイド

食品・飲料メーカーが抹茶原料を100kg・500kg・1トン単位で安定的に調達するには、産地・グレード・品質規格の要件定義と、年間調達計画の策定が出発点となります。単なる大量購入ではなく、製品仕様に合う原料を継続して確保するための仕組みを整えることが、コストと品質の両面で長期的な競争力を生みます。

2025年の緑茶輸出額は約721億円とJETRO「2025年農林水産物・食品の輸出実績(品目別詳細版)」(財務省貿易統計集計)で前年比98.2%増となり過去最高を更新し、国内外で抹茶需要が急拡大しています。一方、碾茶(てんちゃ)の生産量は急増する抹茶需要に比べて供給の拡大ペースが追いつきにくい状況が続いており(全国茶生産団体連合会、2026年11月時点)、需給のひっ迫が続いています。こうした需給のひっ迫を踏まえた上で、調達戦略を設計することが重要です。

本記事では、食品・飲料メーカーの商品開発・原料調達担当者を対象に、大量仕入れの基本的な流れと押さえるべきポイントを実務的に解説します。カフェ向けの少量仕入れや小売向け商品選定は対象外とし、製造用途での法人調達に特化した内容としています。

この記事のポイント

  • 発注規模(100kg・500kg・1トン以上)によって、適切な仕入れ先の形態が異なる
  • COA(分析証明書)・残留農薬検査結果・規格書の確認が食品衛生法対応の基本
  • 年間調達計画と供給契約の設計が、価格変動・品薄リスクの緩衝材になる
  • 有機JAS・ハラールなどの認証要件は、販売先・輸出先によって事前確認が必要
  • サンプル評価→小ロット試作→本発注のステップを省略すると後工程でコストがかかる

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弊社では、京都・宇治をはじめ、鹿児島・福岡・静岡など日本各地の産地から、有機JAS認証付きのセレモニアルグレードから加工用まで、幅広いグレードの抹茶を取り揃えております。

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大量仕入れが必要になる場面と発注規模の考え方

食品・飲料メーカーが抹茶を大量仕入れする場面は、大きく「自社製品への原料使用」「OEM製品の受託製造」「業務用製品の卸売」の三つに分類できます。それぞれで必要とする発注規模、品質規格の精度、年間契約の有無が異なります。

以下の表は検討の出発点となる参考値です。実際の取引条件はサプライヤーごとに異なるため、見積もり時に個別に確認してください。

発注規模の目安主な利用場面仕入れ先の選択肢年間契約の必要性
〜50kg程度(小口)試作・新製品開発・限定商品専門卸・通販業者低い(スポット対応)
100〜500kg程度量産ライン導入前、製品ラインナップ拡充専門卸・商社・産地直結中程度(要相談)
500kg〜1トン以上定番製品の通年製造、輸出対応産地直結・輸出商社・専門商社高い(年間供給契約推奨)
複数トン以上大手メーカー・飲料チェーンの通年原料大手商社・産地連合窓口必須(複数年契約も検討)

自社の年間製造計画を確定させ、季節変動(夏場のアイスドリンク向けなど)を見越した月別需要を試算した上で発注規模を決めることが重要です。需要が不定形なまま大量発注すると、在庫リスクと資金繰りの両面で負荷がかかります。

仕入れ先の種類と特徴を比較する

大量仕入れを検討する際、サプライヤーの形態によって価格交渉の余地、品質保証体制、対応できるドキュメント(規格書・COA)の内容が大きく異なります。自社のニーズに合った形態を選ぶことが、長期的な調達コストを下げる鍵となります。

仕入れ先の形態主なメリットデメリット・注意点向いている場面
産地直結(製茶業者)産地・品種・農薬履歴が明確。価格交渉余地が大きい小ロット対応が難しい場合がある。書類対応に専門知識が必要大量・長期・単一産地にこだわる場合
専門卸・抹茶商社複数産地の品揃えあり。COA・規格書対応に慣れている中間マージンが加算される複数グレードを試したい場合、輸出書類が必要な場合
総合商社経由与信管理・物流・通関が一括で対応可能小口対応が難しい。専門知識は自社側にも必要海外拠点向け調達、通関込みで価格管理したい場合
産地連合窓口・輸出機構複数産地を束ねた安定供給。輸出実績あり問い合わせから契約まで時間がかかる場合がある輸出向け・認証書類が複数必要な場合

複数のサプライヤーに見積もりを依頼する際は、単価だけでなく「年間供給量の保証可否」「品質規格書(グレード・水分・色差値・農薬試験結果)の提出形式」「緊急対応の可否」を統一フォーマットで確認することを推奨します。比較が容易になり、後工程での認識齟齬を防ぎます。

品質規格と規格書・COAの確認ポイント

食品原料として大量に仕入れる場合、品質管理の文書整備は必須です。国内販売向けであれば食品衛生法、輸出向けであれば仕向地の基準に対応した書類が必要になります。

COA(Certificate of Analysis:分析証明書)の主要確認項目

  • 一般成分:水分、灰分、タンパク質(一般的な品質確認用)
  • 色差値:L値(明度)・a値・b値(製品の色調管理に直結)
  • 粒度:メッシュサイズまたは平均粒径(溶解性・用途適合性の確認)
  • 残留農薬検査結果:厚生労働省「残留農薬等のポジティブリスト制度」(2006年5月29日施行)に基づく対象農薬の不検出または検出値
  • 重金属:鉛・カドミウム(欧州・北米向けの場合に特に重要)
  • 放射性物質:輸出向けの場合、仕向国によって検査証明書が必要
  • 微生物:一般生菌数・大腸菌群(製品規格への適合確認)

厚生労働省が運用するポジティブリスト制度では、基準値が設定されていない農薬等が一定量を超えて残留する食品の販売等を原則として禁止しています(2026年11月時点)。製茶・碾茶の産地によって使用農薬が異なるため、仕入れ先が変わるたびにCOAで確認する習慣が品質事故防止の基本となります。

グレード別の特徴と用途の目安

抹茶の業務用グレードは大きくセレモニアル(点前・高品質飲料向け)、プレミアム/カリナリー(スペシャルティ飲料・製菓向け)、フード/ベーキング(加工食品・大量製造向け)に分かれます。グレードによって色差値・風味・価格帯が異なるため、製品の用途に合わせた選定が必要です。

  • セレモニアルグレード:鮮やかな緑色、繊細な旨味。飲料フラッグシップ製品・ギフト向け
  • プレミアム/カリナリーグレード上位:製菓・アイスクリーム・抹茶ラテに幅広く対応
  • フード/バルクグレード:コスト優先の大量加工用途(チョコレート・パン・麺類などの着色・風味付け)

大量仕入れでは「グレードの固定化」が重要です。ロットごとに産地・収穫時期・ブレンド比率が変わると、製品の色調や風味に変動が生じます。製品仕様書に色差値の許容範囲を明記し、サプライヤーと共有することで受入検査の基準が明確になります。

食品衛生法・JAS制度と調達リスク管理

食品原料を大量仕入れする際、法令遵守の観点から以下の枠組みを把握しておく必要があります。

食品衛生法のポジティブリスト制度

2006年5月29日に施行されたポジティブリスト制度(食品衛生法第13条に基づく。厚生労働省「ポジティブリスト制度導入までの経緯」参照)では、残留基準値が設定されていない農薬等を含む食品については一律基準(0.01ppm)を超えて残留する場合の販売等を原則として禁止しています(農林水産省消安第8282号通知(平成17年12月20日)参照。一定量は厚生労働省告示第497号により0.01ppmと定められています)。茶類は農薬の種類と基準値が細かく設定されており、産地・栽培方法によって使用農薬が異なります。仕入れ前に最新のCOAで検査結果を確認し、自社製品の販売先で問題がないことを確かめることが必要です。

有機JAS制度

農林水産省「有機農業の推進」(有機JAS制度、2026年11月時点)に基づく有機JAS認証は、化学合成農薬・化学肥料を原則使用しないことを第三者機関が認証するものです。製品に「有機」「オーガニック」と表示するには、原料の有機JAS認証取得が必要です。認証の有無・認証機関・対象範囲を規格書で確認することが、表示管理上の基本となります。

輸出向けの追加要件

製品を海外に輸出する場合、日本国内の基準に加えて仕向地の基準への適合が必要です。EU向けでは残留農薬基準が日本より厳しい品目があり、産地別の農薬使用記録の提出を求められるケースがあります。また、ハラール認証・コーシャ認証など宗教的要件は販売先市場によって事前確認が必要です。仕入れ前にサプライヤーが対応可能な書類の種類を確認することが、輸出計画を立てる上で重要です。

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年間調達計画と発注フローの設計

大量仕入れで失敗する原因の一つは、「必要になったときに都度発注する」スポット調達への依存です。抹茶は年1〜2回の収穫期(一番茶は4〜5月が中心)に品質と価格が決まる農産物です。年間計画を立てた上でサプライヤーと事前交渉することで、価格の安定化と品薄リスクの回避が可能になります。

年間調達計画の作成ステップ

  1. 年間製造計画を確定する:製品別・月別の製造量から、必要な抹茶使用量を算出する
  2. バッファーを設定する:品薄・輸送遅延などのリスクを見越した在庫余裕を計画量に加算する
  3. 調達先を複線化する:メインサプライヤー(概ね7〜8割)+サブサプライヤー(概ね2〜3割)の2社体制が目安
  4. 供給契約の内容を詰める:数量・品質規格・納期・価格改定条件・不可抗力条項を明文化
  5. 交渉時期を把握する:新茶シーズン前(前年12月〜翌年2月頃)が当年産の事前交渉に適したタイミングとされている(供給側の慣行による)

原価構造の把握(仮定例)

仮にある飲料製品(250ml缶)1缶あたりの抹茶使用量を5gとした場合、月産10万缶のラインでは月間500kgの抹茶原料が必要になります。この前提での年間必要量は仮に約6,000kgとなり、年間供給契約の数量交渉の目安になります。これは考え方を示す仮定例であり、実際の調達量・単価は製品仕様とサプライヤーとの交渉によります。単価ではなく、物流コスト・在庫維持コスト・品質検査コストを含めたトータルコストで判断することが重要です。

大量仕入れで失敗しやすいパターンと対策

食品原料調達における一般的なリスクシナリオを整理します。これらは特定の企業事例ではなく、業種横断的に起きやすい失敗パターンです。

失敗パターン1:サンプル評価を省略した大量発注

カタログやスペックシートだけで大量発注し、製造ラインに投入してから色調・溶解性・風味が製品仕様と合わないことが判明するケースです。初回取引では必ずサンプルを取得し、実際の製造条件(湯温・pH・加熱工程等)での評価を行うことを推奨します。

失敗パターン2:グレードの基準を言語化していない

「品質の良いもの」という曖昧な指示では、ロットごとに品質が変動します。色差値(L値・a値・b値)・水分・粒度の許容範囲を数値で定めた受入基準書を作成し、サプライヤーと共有することで受入検査の判断が明確になります。

失敗パターン3:単一サプライヤーへの依存

気候変動・病害虫・政策変更などにより、特定産地の供給量が急減するリスクがあります。主要サプライヤーと予備サプライヤーを分散し、産地も複数にまたがる体制を整えることが安定調達の基本です。

失敗パターン4:規格書・COAの更新を把握していない

同じサプライヤーでも産地・ブレンド比率が変わると規格書の内容が変わる場合があります。定期的(少なくとも年1回)に最新のCOAと規格書を取り寄せ、自社の受入基準との整合性を確認する仕組みを社内で設けることが重要です。

日本抹茶輸出機構(JMEX)が選ばれる場面

日本抹茶輸出機構株式会社(JMEX)は、日本産抹茶を43カ国に輸出している事業者です。京都・宇治をはじめ、鹿児島・福岡・静岡など日本各地の産地の抹茶を取り扱い、有機JAS認証付きのセレモニアルグレードから加工用まで幅広いグレードを揃えています。ハラール認証も取得しており、中東・東南アジア市場向けの製品を扱う企業からの問い合わせにも対応しています。

業務用・OEM用の粉末抹茶のサンプルについては問い合わせを受け付けており、用途・販売先に応じた産地・グレードの提案が可能です。また、輸出で培ったCOA・残留農薬検査結果・有機JAS関連書類などの書類対応の知見を踏まえて相談に応じています(個別案件での提供可否は都度確認)。

価格・最低発注数量・供給可能数量・納期などの取引条件の詳細は、用途・数量・時期によって異なります。まずは数量・年間供給条件についての相談窓口からお問い合わせください。

抹茶の調達条件について相談する

必要な数量や供給期間、サンプル、取引条件などについて、日本抹茶輸出機構(JMEX)へご相談いただけます。

よくある質問(FAQ)

抹茶の業務用グレードと食品用グレードの違いは何ですか?

「業務用」「食品用」という区分は法定用語ではなく、サプライヤーごとに定義が異なります。一般に、セレモニアルグレードは点前での飲用に適した高品質品を指し、フード/ベーキンググレードは加工食品の着色・風味付けに適した品を指します。仕入れ時には色差値・粒度・農薬検査結果など数値仕様を書面で確認することが重要です。

有機JAS認証の抹茶だけを仕入れる必要がありますか?

製品に「有機」「オーガニック」と表示しない限り、有機JAS認証は必須ではありません。ただし、欧州・北米・中東などの特定市場向け製品では、有機認証や残留農薬基準の適合証明をバイヤーから求められるケースがあります。自社の販売先・輸出先に応じて、事前に必要な認証を確認してください。

サプライヤーを途中で変更する場合、何を確認すればよいですか?

産地・ブレンド比率が変わると色調(L値・a値・b値)・風味・溶解性が変化する可能性があります。切り替え前に十分なサンプル評価を行い、必要に応じて製品配合の微調整や製品規格書の更新が必要です。消費者向け製品では食品表示内容の見直しが生じる場合もあります。

碾茶(てんちゃ)と抹茶の関係を教えてください。

碾茶は抹茶の原料となる荒茶です。茶葉を蒸して乾燥後、石臼などで粉砕したものが抹茶となります。碾茶の生産量は需要の拡大ペースに対して供給が限られており(全国茶生産団体連合会、2026年11月時点)、この碾茶を粉砕加工した抹茶の流通量が業務用供給量の上限に影響します。仕入れの安定化には碾茶生産量の動向もあわせて把握することが有益です。

年間供給契約を結ぶ際に注意すべき条項は何ですか?

主要な確認事項として、①品質規格の定義と受入基準の明記、②数量変動の許容範囲(上下○%以内等)、③価格改定条件(原料費高騰時の取り扱い)、④不可抗力(天候不順・自然災害等)時の免責・延期条件、⑤規格書・COAの提出タイミングと更新頻度、の五点が重要です。法務担当と連携して契約書を確認することを推奨します。

抹茶の供給ひっ迫状況は今後改善されますか?

茶園の新規造成には一般に数年を要するため、短期的な増産には限界があるとされています。JETRO「2025年農林水産物・食品の輸出実績」(財務省貿易統計集計)によると2025年の緑茶輸出額は約721億円と過去最高を更新しており(前年比98.2%増、2026年11月時点)、需要の伸びが供給拡大を上回るペースで続く可能性があります。調達側としては、複数年の供給契約や複数産地からの分散調達が現実的なリスクヘッジとなります。

情報源と確認方法(Sources & Methodology)

本記事は、下記の公的機関などの公開情報と、編集部による実務観点の整理に基づいて作成しています。法令・統計・市況は更新されるため、最新情報は各一次情報でご確認ください。

Last reviewed: 2026年11月2日(編集部による情報源の確認時点)。数値例・計算例は考え方を示す仮定であり、実勢価格や特定事業者の取引条件を示すものではありません。

開示:抹茶タイムズは、日本産抹茶の輸出・供給を行う日本抹茶輸出機構株式会社(JMEX)が運営するメディアです。記事内のJMEXに関する記述は同社に関する事実に限り、editorial process として一次情報と照合しています。

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まとめ

食品・飲料メーカーが抹茶原料を100kg・500kg・1トン単位で安定的に調達するために押さえるべきポイントを整理します。

  • 発注規模に応じた仕入れ先の選択:産地直結・専門卸・商社・産地連合窓口のそれぞれに強みがあり、規模と用途で使い分ける
  • COA・規格書の徹底確認:残留農薬(ポジティブリスト基準)・色差値・粒度・微生物の項目を数値で管理する
  • 年間調達計画の策定:スポット調達からの脱却と供給契約の文書化が価格・品質リスクを下げる
  • 認証要件の事前確認:有機JAS・ハラール等は販売先・輸出先によって必要性が異なる
  • 複線調達体制の構築:単一産地・単一サプライヤー依存を避け、供給途絶リスクを分散する

まずは現状の年間調達量と製品仕様を整理し、品質要件(COAに必要な項目)をリストアップしてください。その上で複数のサプライヤーにサンプルを依頼し、比較評価を行うことが、スムーズな本発注への近道となります。数量・年間供給条件についての相談窓口を活用し、適切な仕入れ先とグレードを絞り込んでいくことをお勧めします。

必要な数量と供給期間をお聞きし、対応可能な供給条件をご案内します。用途・販売先に応じて、最適な産地・グレードをご提案します。

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