なぜ抹茶は世界で売れ続けるのか?輸出市場の成長性と持続可能性を分析
「抹茶ブームは一過性では?」という疑問への答えは明確です。抹茶の需要拡大は構造的なトレンドです。健康志向・日本文化人気・政策支援という3つの力が重なっています。この記事では最新の輸出統計と市場調査データをもとに解説します。成長の実態だけでなく、リスクと今後の展望まで包括的にまとめました。
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数字で見る抹茶輸出の現実|10年で2.5倍に拡大

まず輸出統計で実態を確認します。数字が成長の確かさを証明しています。
輸出量・輸出額が過去最高を更新し続けている
財務省の貿易統計によると、2024年の緑茶輸出量は約8,798トンです。前年比16.1%増を記録しました。また金額ベースでは364億円に達しています。前年から24.7%も上回りました。さらに、2025年1〜8月の輸出額は380億円です。すでに前年実績を超えるペースで伸び続けています。
10年前と比較すると輸出量は約2.5倍に拡大しました。単なるブームであれば、とっくに頭打ちになっているはずです。しかし実態は、毎年着実に過去最高を更新し続けています。これは市場の底堅さを裏付ける揺るぎない証拠です。
粉末茶がリーフ茶を逆転した理由
注目すべきは輸出全体の58%を粉末茶(抹茶)が占めているという事実です。かつての日本茶輸出は煎茶などのリーフ茶が中心でした。しかしいまや数量・金額ともに粉末茶がリーフ茶を上回っています。
また抹茶はリーフ茶に比べて輸出単価が大幅に高いです。そのため市場の拡大が収益性の向上にも直結しています。これは業界にとって非常に好ましい構造です。
輸出先が多極化:米国一極集中から分散へ
2024年時点の輸出先は以下の通りです。
| 地域 | シェア |
|---|---|
| 米国 | 32% |
| 東南アジア | 20% |
| 台湾 | 19% |
| EU・英国 | 16% |
かつては米国への依存度が特に高かったです。しかし東南アジアやEUが急速にシェアを伸ばしています。また地域ごとに抹茶の使われ方も異なります。米国・EU・英国では粉末茶のシェアが高いです。一方、台湾では茶葉の人気が根強いです。つまり産地や品質を柔軟に提案できるサプライヤーの価値が高まっています。
なぜ一過性で終わらないのか|成長を支える5つの構造的要因

以下の5つが抹茶の需要を構造的に支えています。
要因①スーパーフードとしての健康訴求力
抹茶が世界で受け入れられた最大の理由は健康訴求力です。これは科学的根拠に支えられています。抹茶にはカテキン・L-テアニンなどの機能性成分が豊富に含まれています。また、クロロフィルも含まれています。欧米では「スーパーフード」として認知されています。また健康意識の高いミレニアル世代・Z世代を中心に支持を集めています。
Grand View Researchの調査によると、2023年の世界市場規模は43億ドルです。2030年には74億ドルへの成長が予測されています(CAGR 7.9%)。さらに、コーヒーや炭酸飲料に替わる「クリーンな覚醒剤」として選ばれています。このトレンドはライフスタイルの変化と連動しています。そのため簡単には逆転しません。
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要因②SNSが生み出した需要の第2波
加えて、SNSによるビジュアル訴求が第2の成長エンジンです。TikTokやInstagramには抹茶ラテのASMR動画が溢れています。また、カフェ映え写真も多数投稿されています。また特に2022年以降に大きな変化がありました。海外インフルエンサーが「マッチャ・ルーティン」を発信しました。そのため東南アジアや欧州の若い層に一気に広まりました。
東南アジアのカフェでは、抹茶ラテが1杯4〜6ドルで日常的に選ばれています。さらにシンガポールやタイでは高級カフェの定番ドリンクとして定着しています。「健康+おしゃれ+日本文化」という組み合わせは模倣が難しいです。したがってSNS発の需要は継続的に湧き出てきます。
要因③「飲む」から「使う」へ用途が拡大
かつての抹茶は「お茶として飲むもの」でした。しかし現在の海外市場では用途が劇的に広がっています。
| 分野 | 主な用途 |
|---|---|
| カフェ・飲料 | 抹茶ラテ・フラペチーノ・RTD飲料 |
| 食品・製菓 | アイスクリーム・マカロン・焼き菓子 |
| OEM・機能性食品 | サプリメント・プロテイン・美容製品 |
特に東南アジア・中東地域では成長が目立ちます。スイーツ・デザート向け市場は年間10%以上の成長率で拡大しています。これはカフェ需要とは独立した新しい消費層です。そのため市場の多層構造が需要の安定性を高めています。
要因④「日本産」ブランドへの絶対的な信頼
世界中に「抹茶風」の製品があふれています。しかし日本産抹茶への需要は衰えていません。むしろ安価な模倣品が増えるほど「本物志向」の消費者が日本産を求めています。
静岡県島田市のミュージアムでは2024年度の外国人来館者が増加しました。また前年比4割超という大幅な伸びを記録しました。「日本で本物の抹茶を味わった」という体験は強力です。そのため海外での継続的な需要を生み出しています。この好循環は世界規模で起きています。
要因⑤ISOによる国際規格化が市場を守る
長期的な市場の持続可能性を考えるうえで、国際規格化の動きは重要です。農研機構を中心に抹茶をISOで定義する取り組みが進んでいます。また2022年にはISO技術報告書に日本の抹茶の歴史が掲載されました。さらに栽培・製造方法も記録されました。規格が確立されれば偽物抹茶の流通が減ります。そのため日本産の競争優位性がさらに高まることが期待されています。
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見落とせない3つのリスク

成長性が確かだからこそ、リスクを正確に把握することが重要です。楽観的な見通しだけで参入すると思わぬ落とし穴にはまりかねません。
リスク①供給制約と原料価格の高騰
需要の急拡大に対して、日本産原料の供給が追いついていません。2024年秋以降、宇治抹茶は品薄状態に陥りました。また創業300年の老舗・丸久小山園や一保堂茶舗が販売制限を余儀なくされました。碾茶の取引価格は2024年5月時点で1kg 8,235円に達しています。前年から大幅に上昇しています。
世界の抹茶需要が年率7%で成長し続けるシナリオがあります。そのシナリオでは毎年3〜5%の仕入れ価格上昇が見込まれます。したがって安定した調達ルートの確保が最重要課題です。
リスク②品質の二極化(1kgで価格が10倍以上違う)
市場には1kgあたり20ユーロの低品質品が存在します。また200ユーロを超えるセレモニアルグレードも混在しています。産地・茶期・グレードの違いを正確に把握することが大切です。しかし把握せずに仕入れると品質トラブルに直結します。また、カフェ向けと製菓・OEM向けでは求められるスペックが異なります。そのため用途ごとの最適グレードを理解したうえで調達する必要があります。
リスク③国ごとに異なる輸出規制・MRL基準
残留農薬基準(MRL)は国・地域によって大きく異なります。EU・米国FDA・台湾TFDAはそれぞれ独自の基準を持っています。また、シンガポールSFAも独自基準があります。適切なCOA(分析証明書)を提示できないと輸出停止のリスクがあります。また有機認証の取得も必要です。有機栽培茶の輸出比率は米国向けで64.9%に達しています。さらにEU・英国向けでは75.3%です(農林水産省データ)。そのため認証対応の重要性は年々高まっています。
長期的に勝てる抹茶市場への参入戦略

政府の輸出拡大政策が後押しする長期成長
農林水産省は日本茶輸出額の政府目標を設定しています。また、HACCP認証・有機JAS取得への補助金交付も実施しています。さらにスマート農業技術の導入支援など具体的な政策を推進しています。国家レベルでバックアップされている産業です。そのため長期的な供給基盤の安定性が保証されています。
国内産地が増産体制にシフト
静岡県浜松市の農事組合法人「天竜愛倶里ふぁ〜む」が増産体制を整えました。また2025年5月に生産設備を増設・本格稼働させました。また鹿児島県では碾茶の生産が全国1位になりました。さらに、主要産地が増産へシフトしています。供給制約への対応が官民ともに本格化しています。そのため中長期的には需給バランスの改善が期待できます。
次の成長エリアは東南アジア・中東・東欧
現在、米国・EUといった先行市場では市場が成熟フェーズに入りつつあります。一方で東南アジア・中東・東欧では普及フェーズの入口にさしかかっています。市場の「継ぎ足し構造」が存在します。そのため世界全体での需要が急落するリスクは低いです。バイヤーにとっては地域を分散させた調達戦略が功を奏しやすいタイミングです。
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まとめ|抹茶市場の成長は「構造的」なもの
本記事の要点を整理します。
成長の3本柱
- 健康志向の定着: 科学的根拠があり、ライフスタイルの変化と連動している
- 日本文化人気: 観光体験がリピート需要を生む好循環が世界規模で起きている
- 政策的バックアップ: 国家目標・補助金・産地増産という3層の支援体制がある
見落とせないリスク3点
- 供給逼迫と価格上昇(信頼できるサプライヤーの確保が急務)
- 品質の二極化(グレード選定の知識が不可欠)
- MRL・輸出規制の複雑化(COA対応力のある仕入れ先が条件)
抹茶市場は「流行」ではありません。構造的な長期トレンドです。しかし参入障壁が高いことも事実です。品質・規制対応・安定供給の3点が大切です。この3点を兼ね備えたパートナーと組むことで、成功の確度は大きく高まります。



