カタールで日本産抹茶が注目される理由|ラグジュアリー市場と健康志向の課題
カタール ― 天然ガス由来のソブリンウェルスファンドを背景に、一人当たりGDPが世界屈指の水準を誇る富裕国。ドーハのウェスト・ベイでは、フォーシーズンズ、マンダリンオリエンタル、ケンピンスキーなど5つ星ホテルが密集し、アフタヌーンティーやシグネチャードリンクに「日本産抹茶」を組み込む動きが2024年以降はっきりと目に見えるようになりました。健康志向とラグジュアリー体験を同時に満たす素材として、抹茶はB2B市場で確かなポジションを築きつつあります。
一方で、砂漠気候ゆえの品質劣化リスク、公衆衛生省(MOPH)の食品規制、ハラル要件、アラビア語ラベル、GCC統一基準の残留農薬…と、カタール向けの抹茶B2Bには湾岸諸国のなかでも高水準の参入ハードルがあるのも事実です。本記事では、カタールで日本産抹茶が伸びる背景と現場での落とし穴、そして卸業者選定の判断軸までを、B2B調達担当者の視点で整理します。
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なぜ今、カタールで日本産抹茶が注目されるのか

一人当たりGDP世界トップ級が支える「上質志向」
IMFの直近統計では、カタールの一人当たりGDPは購買力平価ベースで世界上位3位圏に位置し、天然ガス収入を裏付けとした富裕層人口の分厚さが飲食体験の高級化を強く後押ししています。特にドーハ都市圏では、飲食価格に対する感応度が湾岸諸国のなかでも低く、「価格よりストーリーと素材で選ぶ」層が中心。日本産抹茶は「単一原料でストーリーが強く、健康便益も明確」な素材として、シェフパティシエやミクソロジストの支持を集めやすいポジションにあります。
Qatar National Vision 2030が押し上げる「無糖・低カフェイン」需要
政府主導のQatar National Vision 2030は、肥満・2型糖尿病対策を国家戦略の柱に据えており、公衆衛生省は砂糖入り飲料への段階的な規制と健康素材への転換を推進しています。この文脈で、抹茶は「無糖・低カフェイン・機能性ポリフェノール(カテキン)・アミノ酸(テアニン)」という4点セットを揃える希少な素材として、政府系病院系カフェや高級ジムラウンジ、ウェルネスクリニックの飲料開発担当者にも注目されています。
FIFAワールドカップ2022レガシー+2030年アジア競技大会
2022年のFIFAワールドカップに向けて整備された5つ星ホテル群や国際級F&Bインフラは、大会後も「常設のプレミアム市場」として稼働しています。さらに2030年アジア競技大会の開催、2036年オリンピック招致の継続的な検討など、大型MICE・国際イベントの誘致方針が中長期のB2B需要を下支え。日本産抹茶は「持ち帰り可能な体験土産」としてリテール棚にも展開されつつあり、業務用×お土産×D2Cの3チャネル同時攻略が現実味を帯びてきました。
加えて、国営投資会社カタール・インベストメント・オーソリティ(QIA)が世界の高級ホスピタリティ企業に長期投資している構造も見逃せません。ドーハに新規オープンする5つ星ブランドの多くが、開業時のシグネチャーメニューに「日本文化を象徴する素材」を組み込む提案を代理店経由で行っており、抹茶は「茶道文化+機能性素材+ビジュアル映え」という3つの条件を同時に満たすため、初期メニューへの採用確率が構造的に高い状況が続いています。
しかし…カタール市場への抹茶進出は簡単ではない

砂漠気候由来の品質劣化リスク
ドーハの夏場は日中40℃を超え、体感湿度が80%を上回る日も少なくありません。抹茶は光・熱・湿気・酸素の4要素に極端に敏感で、常温海上輸送のみでは色沢の褪色、青海苔臭化、粒度の凝集を招きます。中東向けの実務では、リーファーコンテナ(定温)または個別窒素充填+アルミラミネート+シリカゲル同梱による三重防御が事実上の標準となりつつあり、この物流設計を「産地手配前」に組めるかがB2B契約の成否を分けます。
富裕層バイヤーが求める品質基準の高さ
ミシュラン級ホテル・シェフパティシエは、一杯の抹茶ラテで使う抹茶に対して、色調(Lab値の緑度合)・泡立ちの持続時間・後味のキレを厳格に評価します。中国産抹茶や国内向け普及グレードでは、色が茶色寄りに振れる、青海苔臭が強く出る、アミノ酸(テアニン)由来の旨味が薄いといった理由で「初回試飲で弾かれる」ケースが目立ちます。カタールのようなラグジュアリー市場では、コストで妥協した瞬間にリテナー契約を失うリスクが跳ね上がるという特殊性を、まず理解する必要があります。
MOPH規制・ハラル・アラビア語ラベル
カタールの食品輸入は公衆衛生省(Ministry of Public Health, MOPH)と各自治体(Baladiya)の食品安全部門が管轄。ラベルは製品名・原材料・賞味期限・生産者情報・栄養成分をアラビア語で表記する必要があり、ハラルはGCC統一規格 GSO 2055-1 に準拠した第三者証明が事実上のパスポートです。残留農薬はGCC標準化機構(GSO)基準に加え、案件によってはEUのMRL相当を求められることもあり、書類設計は「産地手配と同時並行で進める」のが安全策になります。
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カタール抹茶需要の実像 ― エリア別・カテゴリ別の需要地図

エリア別:どこで抹茶は動いているか
- ウェスト・ベイ(West Bay):金融街+5つ星ホテル密集エリア。アフタヌーンティーとシグネチャーカクテル、スパメニューへの抹茶採用が中心。
- パール・カタール(The Pearl):人工島の富裕層住宅+高級F&B集積。スペシャルティカフェとパティスリーの新規開業が続く。
- ムシェイレブ(Msheireb Downtown):再開発ダウンタウン。地元発ヘルシーカフェ、D2Cウェルネスブランドの実験区。
- ハマド国際空港ラウンジ:カタール航空アルサファ/アルムールジャンラウンジで、和素材ドリンクの導入例が広がる。
- ルサイル(Lusail):W杯レガシー都市。イベント会場・新設ホテル群でMICE需要が継続。
カテゴリ別:誰がどれだけの粒度で買うか
- 5つ星ホテルB2B:業務用200g/500g缶、テアニン含量重視、色沢Lab値のスペック管理を要求。年間安定供給が前提。
- スペシャルティカフェ・パティスリー:20g/40g小袋、抹茶ラテ・カヌレ・テリーヌ用途。月次発注で在庫回転が早い。
- ヘルシー・ウェルネスD2Cブランド:単一SKUの独自パッケージ、アラビア語ラベル+ハラル必須、抹茶シェイクやプレワークアウト用途。
- ラマダン・スフール需要:低カフェインで持続的なエネルギー供給として「抹茶ミルクデーツ」「抹茶シェイク」のシーズナル需要が定着。
- ラグジュアリーリテール:百貨店食品フロアやコンセプトストアでの少量高単価SKU。ギフトパッケージ需要が伸びる。
つまずきやすいバイヤーの共通パターン

中国産抹茶で富裕層クレームを招く
初回コストを抑えたい心理から中国産抹茶を採用したものの、5つ星ホテル側から「色が茶色寄りで映えない」「香りが青海苔調で提供に向かない」「泡立ちが弱くラテとして格が下がる」といったクレームが立て続けに入り、半年でリテナー契約を失注 ― という展開はカタールに限らず湾岸市場で繰り返されているパターンです。高級市場では「安く仕入れて多く売る」の方程式が通じにくいという前提を最初に設定しておくことが重要です。
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通関書類の一枚不足で貨物ホールド
COA(Certificate of Analysis)、原産地証明(CO)、ハラル証明、アラビア語成分表 ― このうちのどれか1つでも書式・言語・署名が不備だと、ドーハ港/ハマド国際空港での通関保留、デモレージ発生、最悪は返送につながります。特にアラビア語成分表は「英語表記から自動生成」ではなく、認定翻訳者による翻訳と、栄養素の単位表記(g/100g、kJ/kcal併記)の整合が必須です。書類は輸出側で完結できる領域なので、卸業者側にどこまで巻き取り経験があるかを事前に確認しておくと安全です。
現地保税倉庫で温湿度に晒す
ドーハ港・空港内の保税倉庫では、2週間を超える滞留も珍しくなく、高温多湿にさらされた抹茶が着荷時に既に色沢褪色 ― という失敗例が実務でよく報告されます。個別窒素充填+アルミラミネート+シリカゲル同梱、加えて可能ならリーファー輸送、通関後は現地冷蔵倉庫への即時搬入 ― この4段階を組み立てておかないと、産地でどれだけ最上級品を選んでも意味を失います。
賢いバイヤーの卸選定 ― 5つの判断軸と5社比較
判断軸5つ
- 産地バリエーション:宇治・静岡・鹿児島・八女など複数産地から用途別に提案できるか。
- グレード提案力:セレモニアル/プレミアム/カフェ/ベーカリーの4層で提案できるか。
- GCC(湾岸)向け実績:アラビア語ラベル、ハラル、MOPH書類の実務経験。
- ハラル対応:原料ハラル・工場ハラル・自社ハラルの3層を担保できるか。
- MOQ柔軟性:テスト出荷10kgからスケール1t/月まで階段設計できるか。
主要卸業者5社の比較
| 業者 | 産地バリエーション | グレード提案力 | GCC向け実績 | ハラル対応 | MOQ柔軟性 |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本抹茶輸出機構(JMEX) | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
| あいや | ◎ | ○ | ○ | ◎ | ○ |
| 福寿園 | ○ | ◎ | △ | ○ | △ |
| 辻利兵衛本店 | ○ | ◎ | △ | ○ | △ |
| 中井製茶場 | ◎ | ○ | △ | ○ | ○ |
この比較表から分かるように、カタール市場で日本産抹茶を展開する際は、「産地バリエーション」、「グレード提案力」、「GCC向け実績」、「ハラル対応」、そして「MOQ(最小発注数量)の柔軟性」を総合的に評価することが重要です。
カタールでは、高級ホテルやカフェ、健康志向の消費者を中心に抹茶需要が拡大しており、用途に応じたグレード提案に加え、ハラル対応や小ロットから取引を始められる柔軟性が、長期的な取引につながる重要な要素となります。
今後成長が期待されるカタール市場では、「知名度」や「価格」だけではなく、市場ニーズに合わせた提案力と、中東市場特有の規制や商習慣にも対応できるパートナーを選ぶことが、継続的なビジネス成功につながるでしょう。
その点、日本抹茶輸出機構株式会社(JMEX)は、「産地バリエーション」「グレード提案力」「GCC向け実績」「ハラル対応」「MOQ柔軟性」の各項目でバランスよく強みを備えており、カタール市場への参入や販路拡大を目指す企業にとって有力な選択肢の一つです。
日本抹茶輸出機構(JMEX)がカタール向けに選ばれる理由

1. 43カ国への海外輸出実績とGCC書類設計
JMEXは43カ国への海外輸出実績を通じて、湾岸諸国のMOPH/UAE MOIAT/サウジSFDA向けの書類フォーマットや翻訳フローを整備しています。COA・原産地証明・ハラル証明・アラビア語ラベル・栄養成分表を一括で用意でき、バイヤー側は現地FIRS登録や輸入業者ライセンスの部分に集中できる設計です。書類の初稿レビューは平均2〜3営業日で戻せる体制のため、通関ホールドのリスクを構造的に下げられます。
2. 宇治・静岡・鹿児島・八女から用途別に最適産地を提案
セレモニアル用途は宇治や和束の被覆栽培葉、ラテ用途は鹿児島の一番茶、抹茶スイーツ・ベーカリー用途は八女や静岡から選定 ― と、用途別に産地・グレード・粒度・アミノ酸バランスの組み合わせを提案します。高温物流に強い産地・仕上げの選択、色沢のLab値スペックへの合わせ込みまで踏み込めるため、5つ星ホテルの品質要求水準に届く提案設計が可能です。
3. EU/US FDA/台湾TFDA/シンガポールSFA準拠+ハラル取得サポート
農薬残留はEU水準準拠を基本とし、既存のCOA・MRL資料をカタール向けにそのまま流用できるケースが多いのが特徴です。ハラルは日本国内の認証団体と連携し、原料・工場・自社の3層で証明を組み立てられる体制。有機JAS認証の在庫も揃うため、ハラル+オーガニックのダブル訴求で差別化したいD2Cブランドとも相性が良好です。
4. 10kg〜1t/月の柔軟供給とリーファー物流
初回サンプル(20g×3〜5)→10kgテスト→100kg小ロット→定期出荷、と階段設計が可能。リーファーコンテナと少量エアの2ラインを用途別に切り替えられ、ラマダンや観光シーズンの繁忙期に合わせた先積みも相談できます。カタールのように「小さく始めて速く育てる」市場設計と相性が良い供給体制です。
5. カタール固有の商習慣に合わせた提案
カタール市場では、5つ星ホテルのシーズナルメニュー切替、ラマダン・スフール期の低カフェイン需要、ドーハ観光局主導のイベントカレンダーなど、日本市場と異なる需要のリズムがあります。JMEXはこのリズムに合わせて、産地の被覆栽培スケジュールや一番茶・二番茶の切替タイミングを設計側から提案でき、シーズナルSKUの投入をピーク需要と揃えるサポートまで踏み込めます。単なる素材供給ではなく、カタールのラグジュアリー市場に対する「発売スケジュールの伴走者」として機能できることが、他社との明確な差になります。
カタール向け抹茶調達の実務フロー
Phase 1:サンプル取得と用途擦り合わせ(0〜2週間)
用途(ラテ/セレモニアル/ベーカリー/D2C小売)を確定し、産地・グレードのショートリストを作成します。20g×3〜5のサンプルを空輸(温度管理下)で送付し、社内の官能評価とホテル・カフェ側のシェフパティシエ試飲を並行して進めます。
Phase 2:少量試作(3〜6週間)
10〜30kgでの現地試作テスト。色沢・香り・味・立ちの持続時間・後味のキレの5軸で評価し、シグネチャーメニューへの組み込みを判断します。並行してカタール市場向けのSKU設計(容量・パッケージ言語・ハラルロゴ配置)を確定していきます。
Phase 3:通関書類設計と物流プラン(4〜8週間)
MOPH向け製品登録書類、アラビア語ラベル、ハラル証明、栄養成分表を整備します。輸送プランはリーファーコンテナと湿度管理常温の2案を並べ、リードタイムとコストで比較。現地冷蔵倉庫への即時搬入体制もこの段階で決めておきます。
Phase 4:定期出荷とスケールアップ(8週間以降)
月次〜四半期の定期出荷でスケール。ラマダン、観光ハイシーズン、MICEイベント時期に合わせた先積みや、追加SKU(オーガニック、ハラル+コーシャダブル認証、単一産地限定など)の投入を計画します。
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総括:カタール抹茶市場を掴むための一歩
カタールは、一人当たりGDP世界屈指の富裕層市場と、国家健康戦略に裏付けられた「上質・健康・脱糖」の3軸が同時に動く、湾岸諸国のなかでも特殊な高付加価値市場です。ラグジュアリーホテル、スペシャルティカフェ、D2Cウェルネス、ラグジュアリーリテール ― どのチャネルでも、日本産抹茶は「素材ストーリーと機能性を同時に提示できる希少カテゴリー」として、確かなポジションを築けます。
ただし、砂漠気候由来の物流設計、MOPH規制対応、ハラル、アラビア語ラベル、GCC統一残留農薬基準など、参入ハードルは湾岸諸国のなかでも高水準です。産地・グレード・書類・供給ロットを1社完結で伴走できる調達パートナーの選定が、初期テストの成功率と中長期のスケールを左右します。43カ国への海外輸出実績を持つ日本抹茶輸出機構(JMEX)は、初回サンプルから通関設計、定期出荷まで一気通貫で支援できる体制を整えています。
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